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エピローグ

「ふーん、じゃあなにもなかったのね?」

「ほ、本当だってば」

「ふふふ。私は、アースさんのことを信じています。ええ、信じています。でも……本当に、何もなかったんですね? ロメリアさんとは」

「ち、誓って!! この噛み痕も、ただ普通に噛まれただけで、それ以上のことはなかったんだ!!」


 旅立ちの朝。

 こういう旅立ちは、もっとこう気持ちよくというか。爽やかにというか……だけど、実際はこうだ。僕は、今まさに共に旅立つ仲間二人に迫られている。


 その理由は、朝帰りしたからだ。

 しかも、肩や腕などに何者かの噛み痕を残して。

 そこからはずっとこうだ。

 だけど、僕は言い続けた。誓って何もなかったと。


「ろ、ロメリアさんからも言ってください! 僕達は、何もなかったって!」


 こうなったらと、見送りに来てくれたロメリアさん本人に弁明してもらおうと頼み込む。


「あー、いやー……正直、記憶が曖昧でさ。あははは!! あっ、あんたのことをさんざん噛んだことは覚えてるよ? 悪かったねぇ、アース」


 だがしかし、微妙な感じで終わった。

 

「まあ、ここまで言うんだから本当になかったんでしょうね。とりあえずは、信じてあげるわ」

「あ、ありがとう。ティナ」

「……」

「えっと、シャル。君は、なんで僕の腕を噛もうとしてるのかな?」


 ティナは許してくれたけど、なぜかシャルはロメリアさんの噛み痕に噛みつこうとしていた。


「上書きしなくちゃ」

「こら、馬鹿聖女! なにしようとしてんのよ!?」


 それをティナが止めようとする。


「たくよ、これは愉快なパーティーだぜ!」

「ドッゴさん。笑い事じゃないですよ……」


 なんだかんだあったけど、なんとか落ち着きを取り戻し、僕達は街の出入り口でロメリアさん達へと向き合った。


「それでは、皆さん。お世話になりました」

「なに言ってんだ兄弟! 世話になったのは、俺達のほうだぜ!」

「その通りよ。街を救ってくれてありがとう!」

「お前らの活躍! 楽しみにしてるぜ!!」


 故郷を旅立った時も、世話になった人達から見送られたけど……この感覚は、あの時と違う。

 

「頑張りな! あんた達ならできる! やり遂げられる!!」

「あったりまえよ!! アースには私がついてるんだからね!!」

「私もです。聖女として、アースさんの相方として、ずっとお傍に。ふふっ」

「お、おう! 頼もしいね!!」


 なんだろう。いつも以上に、シャルから異様な空気を感じた。それは、ロメリアさんも感じたらしく珍しくたじろいでいる。


「それでは……行ってきます!!」

「じゃあね! あんた達!!」

「行って参ります」


 街を出る時は、勇者パーティーのしがない召喚士として、と思っていた。

 チャール達の後ろをついていくだけの男。

 でも、僕は闇のダンジョンを攻略できるほどの力を手に入れて、自ら先頭に立って。


「こんなに清々しい旅立ちになるなんて」

「あはは! 突然なに言ってんの? アース」

「でも、わかります。とても……気持ちのいい旅立ちです」


 さあ、行こう。世界を救いに……。

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