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第四十八話「階層主戦(2)」

「……確かにな」


 吹き飛ばされた鎧の魔物を見た後、クリントはにっと笑う。


「はいはい。お喋りはほどほどにしますって。そんで」


 杖を掲げ、魔力を放出。

 その魔力は、吹き飛ばされた鎧の魔物へと注がれた。


「こっからは、マジで殺しにいくぜ。人間ども」

「魔物の姿が」


 魔力を注がれた鎧の魔物の姿が変化する。

 先ほどまでは、シンプルな鉄の鎧に両刃の長剣を一本装備しているだけだったが……胸の部分に赤い宝石が出現し、兜の後頭部から炎の尾のようなものが生え、剣が一本増えた。


「獣女。そいつは、てめぇにとって天敵だ」

「へえ?」


 クリントの言葉を聞いてロメリアさんは、やる気が削がれるどころか俄然やる気が増したように笑みを浮かべる。


「ファイアスピリットナイト。炎に耐性があるスピリットナイトだ」


 やっぱりスピリットナイトだったか。

 だけど、普通のじゃない。

 炎の耐性がある個体だったか。


「はっはっはっは! そいつはいいね! けど、中途半端な耐性じゃ、あたしの赤炎に焼かれちまうよ?」


 ファイアスピリットナイトは、中級六位ほどの強さだ。

 耐性があろうと、本来ならロメリアさんの敵ではないのだが……。


「お? ゴブリンどもが一掃されちまったか」


 小型と戦っていたハヤテは役目を終え、こちらに戻ってきていた。隙を見つけてクリントに直接攻撃をと思っていたけど……。

 クリントの魔力障壁は相当な硬度なうえに、常にスカルウィッチが傍に居る。

 こうして、僕達と対峙していた時も魔力を練り上げて魔法を即座に放てるようにしていた。


「やっぱ、雑魚じゃ相手にならねぇみてぇだな」


 やれやれと首を左右に振りながらクリントは、何かを思いついたのかにやりと笑みを浮かべる。

 

「んじゃま、こうしようかね!!」


 何かが起こる。

 そう思った刹那……レッドキャップゴブリンが送還される。残ったのは、クリントの傍に居るスカルウィッチとファイアスピリットナイト。

 戦力を減らした? 


「どう見ても、そこの獣鎧にはレッドキャップゴブリンは勝てねぇからな。そっちの獣女は、ファイアスピリットナイトの任せるとして」

「まさか」


 新たな召喚陣が展開する。

 そこから現れたのは、見上げるほどの巨体。鋼鉄の体を持つ魔物―――アイアンゴーレムだ。


「数より質で勝負してやるよ」


 そう言ってクリントも杖の先端に魔力を纏わせ、まるで槍かのように構える。


「アースさん。あの魔物は」

「うん」


 僕らが知っているアイアンゴーレムより何倍も大きい。まるで巨人だ。本来アイアンゴーレムは大きくても二階建ての家ぐらい。

 だが、クリントが召喚したアイアンゴーレムは明らかに倍はある。あんな巨体からの一撃を受けたらただではすまないだろう。

 部屋自体が広いとはいえ、目の前のアイアンゴーレムは圧巻。部屋の半分は占領している。


「こいつらが、俺が使役する魔物の中でもトップスリーの強さを誇る。どっからでもかかってきな」


 クリントの言葉に、僕は生体センサーを消し、自らの手に〈武装召喚〉にてエネルギー砲を召喚する。


「なら、遠慮なくいかせてもらう」


 僕は、エネルギー砲を構え魔力を注ぎ込み。


「発射!!」


 トリガーを引き、エネルギー弾をクリント達目掛けて解き放つ。


「良い攻撃だが」


 クリントも、スカルウィッチとアイアンゴーレムも動かない。

 スカルウィッチは、僕の攻撃を魔力障壁で防ぎながら魔法を唱え、アイアンゴーレムは右腕を振り上げていた。


「それはこっちも同じです!」


 シャルは、スカルウィッチの魔法に対抗すべく光の剣を展開。その場から一歩も動かず、正面を向いている。

 ロメリアさんは、離れた場所でファイアスピリットナイトと一騎打ち中。

 魔力障壁が硬い……なら。


「さらに魔力を込めるまで!」


 それと同時に、ロウガとハヤテを合体させる。

 長引けば、僕達は瘴気に蝕まれ格段に動きが鈍くなる。そうなる前に、一気に片を付ける!

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