第四十三話「魔界ゴーレム戦(2)」
「おー! ゴーレム達がどんどん穴だらけになっていく!!」
さすがハヤテの武装。
凄まじい威力だ。
だけど、反動が凄い。ちゃんと構えてないと照準が乱れてしまう。まあ、あれだけ並んでいれば多少乱れても当たってはくれるだろうけど。
「さすがアースさん! 私も! 〈シャイニング・スピア〉!!!」
杖を構え、呪文を唱えるとシャルの頭上に光の槍が十本生成される。
しかもただの槍じゃない。
貫通力を高めているのか。矛先が螺旋状になっている。ここまで自在に魔法を操れるなんて……。
「貫け!!」
一斉に放たれた光の槍は、確実に一体一体貫いていく。
「さすがシャルだ」
「ふひっ」
「聖女として、その笑い方はどうなのよ?」
褒められて嬉しかったのか。シャルは、どこか不思議な笑い声をあげた。
できるだけ狙いを定め、魔力を抑えながらエネルギー弾を小型ゴーレム達に放ちながら、僕は他の通路へと視線を向ける。
まずは、ハヤテが向かった左側の通路。
僕が使っているエネルギー砲よりも小型で、それを二つ生成し、空中から一方的に攻撃をしていた。
そして、問題の正面。
中型ゴーレムはロメリアさんが。ロウガは中型を相手しつつも、小型を確実に倒していた。
(今のところは特に問題はない。ゴーレム達の動きもいたって単調)
こちらが優勢だというのは明白。
けど、このまま何もなく終わるとは思えない。
「よし。先行部隊はこれで片付いた」
僕達に近づくことすらできずに右側の小型ゴーレム達は全て倒された。後続もまだ距離がある。ここは、ロメリアさん達の援護を。
「待って、アース! ゴーレム達が!」
ティナの声に、僕は右側の通路へ視線を向ける。
「さすがゴーレムと言ったところでしょうか」
ゴーレムの特徴。
それは、心臓となる魔力核を完全破壊しない限り、何度でも復活する。今回は更に厄介なことに、体のパーツとなるものは大量にある。
今まさに、魔力核が無事だった小型ゴーレム達が、体を再構築していた。
(数と火力を考えてエネルギー砲を選んだけど……その分命中率に問題があった、か)
だけど、数は半分以上も減っている。
これなら。
「接近戦は久しぶりだな」
僕は、エネルギー砲を消し、違う武装を召喚する。
「〈武装召喚〉」
手に収まったのは、先ほどのエネルギー砲とは違い、とてもシンプルな形をしていた。
僕の手よりも少し大きいぐらいの鋼鉄の板だ。
「アースさん。それは」
「ロウガの武装の本質は、エネルギーの刃」
そして、僕が召喚したこれは。
「イメージすれば、どんな形の刃にも変化する」
魔力を注ぐと、エネルギーへと変換され、両刃が生成される。
「シャルは、魔力核を確実に破壊するために、魔力感知を使って確実に魔法で貫くんだ」
「わかりました」
「アース。気を付けて」
久しぶりの接近戦。ティナも、僕のことを心配してくれている。正直、召喚士としては前に出るべきじゃないんだろうけど。
今は、そんな常識は考えない。
「ふう……」
一呼吸し、僕は走り出す。
ティナの強化魔法がまだ効いているため、足取りは軽い。
「まず一体」
僕の接近に気づき、小型ゴーレムは再構築されたばかりの右腕を振り下ろしてくる。
「遅いっ!」
だが、それを僕は回避し、魔力感知により魔力核の位置を把握。
そこへ目掛けてエネルギーの刃を振り下ろす。
真っ二つに両断された魔力核は、魔素となって四散し、二度と体を構築していた岩は動かなくなった。
「次だ!」




