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第十五話「ダンジョン調査隊」

 新たな仲間であるハヤテを加えて、また魔物でも討伐しようかと冒険者ギルドへ訪れた。

 すると、受付嬢の一人が僕を見るなり駆け寄ってきた。


「お待ちしていました、アースさん」

「どういうことですか?」

「実は、東の森に新しいダンジョンが生まれたんだです。冒険者ギルドは、早急に調査を行うため調査隊を編成しているところなのですが、アースさんにも参加して頂きたいと思っておりまして」


 東の森。つまり、僕がロウガを召喚したところだ。

 まさか、あそこに新しいダンジョンが生まれたなんて。ただでさえ、闇のダンジョンのせいで街はピリピリしているというのに。

 

 ダンジョンは、魔素が濃い場所に生まれやすい。

 だから、今現在世界中で次々にダンジョンが生まれているんだ。なにせ、汚染された魔素―――瘴気が漏れ出る闇のダンジョンが存在しているのだから。

 

 大気中の魔素と、闇のダンジョンから漏れ出ている瘴気が混ざり合い、よりダンジョンが生まれやすくなっている。

 それも、普通じゃないダンジョンが。

 

 ダンジョンは、ある種の異空間。

 出入り口の周りは見慣れた光景だったとしても、ダンジョン内に入れば一変。まったく違った光景になってしまう。

 闇のダンジョンと違い、ダンジョンの奥に居る階層主を倒したとしても消滅することはない。

 それゆえに、力試しや資源確保などに扱われる。


 今回、僕に要請があった調査は、文字通り生まれたばかりのダンジョンを実力者達がパーティーを組んで、調査する。

 本来なら中級以上の冒険者達に要請がかかるはずなんだけど……。


「なぜ、僕に?」

「あ、いや」


 なんだろう。少し言いずらそうに口籠っている。


「よう、聞いたぜ? めがねの兄ちゃん」


 すると、先日僕に酔いながら言葉を投げてきた冒険者が肩に寄りかかって来た。

 髪の毛が一本もないつるつるとした頭で大柄の男だ。座って居たであろう席にある武器を見る限り、大剣使いだろう。


「お前。勇者パーティーを追放されたんだって?」

「……」


 わかっていたことだけど、もう広まったんだ。


「俺見たぜ? 勇者達が、新しい仲間を出迎えていたところをよぉ」

「そん時に、俺さ。聞いたんだよ。勇者様に」

「そう、ですか」

「お? 否定しねぇってことは、やっぱ本当なんだな」

「ちょっと何よ! 文句でもあるの!! というかアースから離れなさい!! しっ! しっ! てかあんた! 酒臭い!!」


 明らかに酔っている冒険者の男をティナが威嚇しながら遠ざける。

 

「おっと! ははは! だけど、よかったじゃねぇか? 今は、冒険者として活躍できてるみたいだしよぉ」


 そういえば、この人……ロックワームのことを報告した時も絡んできたっけ。


「まあ、頑張りな!! ぎゃははは!!」

「なによあいつ。馬鹿にしてるんだが、応援してるんだか。わけわかんない……」

「あははは。あっ、すみません。話の途中でしたね」


 ずっと黙っていた受付嬢に謝罪をし、僕は話の続きを聞いた。

 どうやら、僕が勇者パーティーを追放され自由になり、更に先日のロックワームを単身で撃退した功績を考慮して、調査隊に組み込もうとギルドマスターが進言したようだ。

 ちなみに、今回の調査になぜかギルドマスターも参加するようで……。


「それで、その……」

「はい。僕で良ければ」

「あ、ありがとうございます! それでは、ギルドマスターからお話がありますので、こちらへ」


 まさか、ギルドマスターと会話することになるとは。

 チャールは、勇者として話し合ったみたいだけど。どんな人なんだろうか?

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