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海を越えた梢の花とウィルバートン家の呪い  作者: 高台苺苺
第一章 梢の花は海を越えて富豪と家出
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第44話 余談・出会いの答え合わせ


「大体!!由華里様は鈍感無防備すぎます!!パーティーでも!あのロータリーでも、アーネスト様がお声を掛ける前に、何人の男性に声を掛けられていたんですか!!冗談じゃありません!」


 ウィルバートン専用ジャンボに乗り込み、機内を案内され、無事に離陸して平行移動になり、機内とは思えないダイニングルーム兼会議室でフルコースの食事を取り、一息ついて今までの事を話していたら、いきなりアニカが憤然と言い出した。


「ロータリー?アニカ!!あそこに居たの!?」


 ロータリーとは由華里とアーネストが出会ったU市駅前の小さなロータリーの事だった。


 駅と隣接するショッピングエリアやデパートのビルを繋いだ地下通路を通り、真ん中に楕円形のバス・ステーションがある。その周囲にバスレーン、タクシー等の商業車レーンと、一般レーンと3種類のロータリーになっている。


 アーネストはO市の友人=本物の木暮雅人氏に会いに行き、そこで彼所有のフル装備の大型ベンツで運転を勧めらて都心のFホテルに戻る途中で道に迷い、何故かUロータリーに迷い込んだ。


 そこで休憩と位置確認をするために降りたところで・・


 駅前にいた由華里と出会い一目ぼれし、そのままホテルまで連れてきて、臨時秘書と仕事をつけて傍にいさせて、すったもんだの大騒動の末に、現在は婚約者として自家用ジェット機でバカンス先のインドネシアに向かっている。


 と、言う二人にとっては思い出の場所なのだが…。何故、アニカが駅前でも数人の男性に声を掛けられたことをしっているのだろうか??


 由華里は小首を傾げた。


「当たり前です!最初からお二人を見ていたからこそ!こんなに苦心してるんじゃないですか!言いましたよね?あの時点でアーネスト様の車の周囲あ我々で囲んでいたと!」


「ああ…そう言えば。‥‥と、言うことは…」


「ええ!!見ていました!由華里様が3人の!!男に声を掛けられ、笑いかけたのを!!」


「アニカ、誤解招く言い方しないで…笑いかけたのではなくお断りを言っていたの」


「でも微笑んでいました!」


「よく見えたわね」


「折り畳み双眼鏡で確認いたしましたので!」


「なんでそんなの持っていたの?」


「野鳥を見るのが好きなので」


「成程」


「おかげで素敵な愛らしい黒い瞳の小鳥に会えました!」


「平野家と言う籠から逃げ出してきた小鳥だ!!」


 わっと沸き立つブレーン達に、由華里は「はいはい」と頷く。話がエンドレスになりそうだ。


「由華里様が悪漢に絡まれ」

「駅前の勧誘女性ね」


「それ!でも我々にとっては由華里様を騙そうとした悪漢です!」

「それを颯爽とアーネスト様が追い払い!」


「由華里様をエスコートしてホテルで出迎えた」

「…なんか凄い脚色されているわね」


 由華里は苦笑した。


「もう一つ言えば、アーネスト様が運転なさるベンツの後ろから、白いBMWが追随していたのをお気づきになりませんでしたか?」


「クラクションを鳴らして怒っていたBMW!」


「そうです!木暮雅人様からいただいたベンツの周囲にいた車は、全て関係者の車でしたので、アーネスト様と由華里様がいちゃついたあれくらいのふらつき、問題ございません!」


 威張って言うアニカに、由華里が真っ赤になる。


「アニカ、それ違う」

「アニカ、何度も言うがあれは私の運転ミスではない」


「わかっています。逃げ出そうとした由華里様をナイスキャッチしたアーネスト様のファインプレーです」


 あの無謀な高速道路の醜態をほじくり返されて、由華里は穴があったら入りたくなった。


「なので、私は由華里様を迎える準備を万全にするために、アーネスト様にエールを送り!先にホテルに戻り手配をしまくりました!」


「もしかして…あのドレスとか、クローゼットの服とか?」


「ドレスは抱き着いたときに採寸しました。服などはスーツケースを開けて中身確認したクラリサ達が手配を」


「凄い連携プレーね。もうその時から、私はあそこから逃げられなかったのね」


「もちろん!ですが…ドレス等は少し完璧にやり過ぎたと思いましたわ」

「何故?」


「その後のパーティで、どれだけ虫が由華里様に寄ってきたことか!追い払うのに大変でした。由華里様は気づいていなし!」


「…考えすぎではなくて?単に社交辞令と、スカウトじゃない」

「恋人としてのスカウトですよ。単なるスカウトはバーに呑みに行きません」


「あー…それで木暮はしつこく私をスカイ・バーに誘うと言い張っていたのね」


 アーネストは苦笑する。


「それもありますが、貴女をバーに連れだっていいのは私だけですから」

「もうその時点で凄い自信に上から目線ね」


「由華里様の自覚が足りないので!さらに先手を打っべく、由華里様のご両親への御挨拶もさっさと済まさせていただき、内堀から埋める作戦もさせていただきましたわ!」


「?どういう事?」


 ああと、アーネストはレノックスのカップを持ち上げおかしそうに言う。


「きっと理解していないでしょうから説明しましょう。アニカが着物を着たいといい、平野家に行くことになりましたよね?あれもアニカの策でした」


「うそ!」


「本来の目的は貴女のご両親に御挨拶するためです」

「は!?」


「大切なお嬢さんを異国に連れて行くんです。礼を尽くし、ご両親にきちんと大切なお嬢様をお預かりいたしますとご挨拶したかったのです。事実、お父様達は宜しくお願いしますと仰られた」


「お父さんはそんな風に受け取っていないわよ!!絶対!!」


「そうでしょうねえ、あの石頭は。ですが構いません。私達は親の許可のいる子供ではないのです。しかもこの私が礼を尽くして日本式に挨拶に行ったのです。文句言われる筋合いはありませんね」


 ですが・・・と、キャスーンの淹れた紅茶を受け取りながら、アーネストは残念そうに言う。


「母様は瞬時に理解されていましたね。驚きました。あの洞察力。お義母様は主婦にしておくにはもったいない程、サポート力と判断力がありますね。惜しいです」


「ありがとう。お母さんに言っておく」

 ありがとうございます、と、アーネストはさりげなく由華里にキスをして真っ赤にさせる。


「これにも慣れないとね」

「大丈夫ですよ」


 そしてまたキスをする。


 機内は一気に温度が上がったような気がすると、キャスーンは幸せそうに二人を見つめて目を細めた。

おまけその①でした。

田口さんの話は次でした。すみません。

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