調査団がやってきた!
教皇庁から調査団の方々がやってきた!
白を基調とした品の良い恰好で、剣を佩いているのが印象的だ。
しかもみんな面がいい。
私は思った。
調査団の方々は教皇庁に勤めるエリート神官!
ここで調査団の方々と仲良くなっておけば、もっと食べ物を融通してくれたりするのでは?
さっそく私は調査団のひとりに話を伺いにいった。
「こんにちは。いまはなにされてるんですか?」
まあ見れば分かる。彼は素振りをしているのだ。
「ああ、剣の修行をしているんだよ」
エリートな彼らに剣の修練が必要なのだとは知らなかったが、まあやっているということは必要なのだろう。
「そうなんですね! 戦うことってあるんですか?」
「もちろん! ぼくらは特に、遠くまで来てモンスターを倒さなきゃいけないこともあるからね 今回もそうさ」
「すっごーい!」
私は大げさに驚いた。
そこへカノーレ神父が近づいてくる。
「あ、カノーレ神父! こんにちは!」
「おはようございます。ナイア……そして、挨拶が遅くなりまして申し訳ありません。わたくし、このゲッティーローグで神父を務めております、カノーレと申します。」
「ふんそうか」
え、なんだコイツ。カノーレ神父が出てきてから急に態度が悪くなったんだが。
カノーレ神父は「なるほど」という顔をしていた。
「ああそういえば」
「はい……?」
「我々調査団はもうすぐ森に入って件のモンスター、キング・グリズリーを討伐したいと思う。森の案内に誰か村で森に詳しい人間をよこしてくれ」
「は、はあ……」
「どうした? なにか文句でもあるのか?」
「いえ、文句といいますか、キング・グリズリーはもうすでに討伐されていまして」
「そうだったか?」
「そのように報告書に書いていたと思いますが……」
「ふん、辺境のド田舎の戦力でよく王級魔獣を倒せたな。そういえば報告書にはナイア……とか書いてあったな。お前のことか?森に詳しそうだな。来い」
「あ、はい……」
いやお前報告書ちゃんと読んでるやんけ。てかこいつあれだ。教皇庁には務めてるけど自分がしたっぱであることに不満で、辺境に住む我々を見下すことでアイデンティティーを保ってるド畜生だ。
まあ当初の予定通り教皇庁の人間とお近づきになることができましたね。ぜんぜん嬉しくないが。