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迷路のゴール

 結論から言えば、迷路のゴールなどどこにもなかった。三日探した結果がこれとあっては、皆の機嫌もすこぶる悪く、私たちはほとんど何も語らい合うことなく迷路階層を後にすることを決めた。


 階層をぐるりと一周し、スタート地点に戻ってきた際のこと。もはや先に進む手立てを思いつかないと悟り、階層を後にすることを提案した私に対し、婆さんは目を普段よりも見開き、何か言いたげに口を動かしたが、なにか心の内で抑制が働いたのか結局何も言わずじまいだった。


 そんな折のこと。ふわたろうが言った。


「ここの壁になにか違和感がある」


 おもむろに後ろ足を岩の壁に立て、思い切り踏み抜いた。


 バゴン、と音を立てて、岩の壁がすっぽりと抜けた。どうやら、先に進むための道はあったらしい。それは果たして道と言っていいのか分からない、注意力を欠いた状態では見つけることも難しいであろう、そんな仕掛けであったが。


「なるほど。迷路で疲弊した冒険者たちは周囲の違和感に対してきちんと意識を向けられない。あえてモンスターなどを送り込んで倒すことは望まず、あくまでも自主的に迷宮からの帰還を促すとは……このダンジョンを作った者はよほど人間を手玉にとることに長けているらしい」


 フスー、フスー、と鼻息を吐きながら私と意思を共有しているふわたろう。そして、そんなふわたろうを奇異の目で見つめる婆さん。


「どうやら、ダンジョンの主との知恵比べに唯一人勝ったのはアンタの相棒みたいだねえ」


 どうやらダンジョンマスターは、私たちをなめていたらしい。


「なめるなよダンジョンマスター。私たちの知恵を!」


 自分の手柄なのに……と釈然としないという表情を浮かべるアルミラージ。


「あたしゃツッコまんよ」


 婆さんが言った。

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