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思考誘導

 術中に嵌まった私を助けるものは何もない。万策尽きたかに思われたが、ひとつ、ただひとつの希望があるのだとすれば、それはこのままここで待って、助けを待つことだろう。


 そうと決めたら私は強い意思でそれを遂行する女だ。


 その場にどっかりと座って、ひんやりとした石の壁に背をもたれて、寝る準備をする。


 視線がひどく気になる……いや、気にしては負けだ。近づくと、どんな攻撃をしてくるか分からない。


 それに、いい加減毒や疲労で肉体が限界だった。もう立ってもいられない。


 私の意識は、微睡の中に溶けていく。その最中、私の身体は私の意思と逆らって、震える足で立ち上がり、なおもニタニタと笑う巨大な化け物の方へと足を運んでいく。


 なぜだ。


 私はそんなこと望んでない!


 慌てて頭を覚醒させる。しっかりと目が覚めれば、意思の乗っ取り、思考の誘導を受けているかのような感覚はなくなった。


 深く理解した。この巨大な単眼巨人のボスは、その図体で敵をひねりつぶすだけが能ではないのだ。その本質は、他者を幻惑して思考を誘導したり、相手に自分が望むような行動をさせることなのだ。


 想えばここへ来た時、酷い毒の症状にも拘わらず私が引き返そうと思わずに、単眼巨人たちを前に先に進もうと考えたのは、そうした思考の誘導の一つであったのだろう。


 といっても、その思考の誘導も完ぺきではない。強く拒絶すれば拒否できるほどの幻惑だ。裏を返せば、拒絶できない隙を作ってはならないということにはなるが……。むろん、睡眠などとってはならないだろう。


 しかし、……なんて奴だ。


 今から私は、寝ることも許されずにひたすらこの巨人からの精神攻撃を受け続けるしかないのだ。

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