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敵を見くびるなかれ

「これがオーガ」


 それは初めて目の当たりにする生き物だった。ゴブリンのようで、しかしその牙は太く、表面に血走った血管のようなものを見ても、より筋肉が発達していることがうかがえる。


 背中に背負っていた石斧を構えると、私は躊躇なく振り下ろす。


 オーガがその攻撃を受ける。オーガは想像していなかった重さのせいで態勢を崩しそうになりながらも斧の直撃を受けきった。その表情は動揺や焦りといった感情を反映している。


 こちらを弱く見くびっていたのだろう。


「たいしたものね。人面熊程度じゃ受け流せなかったのに」


 それには熊に武器をもつだけの知能と、それを扱うための手がなかったという肉体の構造上の運命があったのかもしれないが。


「といってもまあ、B級冒険者はこのくらいってことね」


 次の攻撃で処理しよう。そう思って、斧を構えた瞬間異変が起きた。


(なんだ、体が、重い……?)


 そして、世界がゆっくりと……時間の流れが緩慢に感じる。というか、私の身体がゆっくりとしか動けないようになっているのか。


 ああ、目の前に、オーガの腕が迫ってきて……


 ものすごい衝撃と共に、私の身体が吹き飛んで壁にたたきつけられた。


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