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冒険者

「さっきから、ものものしい恰好をした人が多いね」


「それはそうじゃろなあ。ヴェルサのダンジョンは比較的に魔獣も弱いから冒険者たちの肩慣らしに最適と聞いとる」


 婆さんの話によれば、この街はダンジョンから産出される鉱石や魔獣の素材で経済が成り立っているのだとか。にしても、武器をひっさげた連中が街を闊歩している姿は、田舎の小都市の風景とはだいぶ違っていて、すごく新鮮だ。


「ダンジョン……。そういえばそんなものもあったなあ……。」


 ダンジョン。それは謎多き場所だ。その種類も様々で、地下にあるものもあれば、地上にあるものもある。灼熱であったり、極寒であったり、猛毒のガスに満たされていたり……たいてい他とは隔絶した異質な環境を有している場合が多く、人が探索可能なダンジョンは稀である。


「私もダンジョンに行ってみたいなあ……」


「それなら王都にもダンジョンがある。行ってみるといいさ」


「王都地下大迷宮……だっけ?」


 一生ゲッティローグに住んで、一生をゲッティローグで終えるのだと思っていた。ゲッティローグから王都まではどのくらいの距離があるだろう。一度も目にすることはないだろうと思っていた王都が、もうすぐ目の前にやってくる。


「行ってみたい!」


 テンション上がってきたな。








 翌日のお昼ごろ、私は仕事仲間に会いに行くと言って消えた婆さんを探して通りをぶらついていた。


「お金がない……」


 そう、私は一文無しなのだ。さっき買い食いしたいなと思ったらお金を持ってないのを思いだし、悔しい思いをした。婆さんにお金をもらいたいところなのだが、行き先を聞いていないし、困ったな。


 ケイブバ、と言ったか、不思議な形の、小さな魔獣の翼のようなものを焼いた料理……。そんな不思議な料理が露店にあったのだ。食べてみたい。


 待てよ、ナイア。私はそんなのでいいのか? 誰かに物を恵んでもらって生きる。そんな状況に甘んじてしまって、本当にいいのか?


 いいや。


「お金を稼がなくちゃ。」


 心機一転。私は婆さんに養ってもらう生活から抜け出すことを決意した。


「冒険者だ、冒険者になろう。」


 冒険者という職業はゲッティローグに無かった。主な仕事は魔獣の討伐ということだが、討伐が必要になるほど強力な魔獣がいなかったことと、教会の結界があればたいていの魔獣は街にまで来ないからだ。


 それと婆さんにいろいろ聞いてみたのだが、冒険者というのはいまいちよく分からない仕事だ。粗暴で社会の底辺みたいなやつもいれば、ヒーローのような扱いを受ける者もいる。後者はその傑出した強さを認められてのことだと思うけど……魔獣の被害のことを考えれば、魔獣を倒してくれる冒険者はありがたがられる存在なのかな。


 冒険者はギルドという場所に行けばいつでも登録できるらしい。そして身元の確認は不要。面倒な手続きがいらないのでサクッと行ってサクッと帰ってこよう。


「よーし、ギルド行くか~」


 

 




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