武器
『なるほど。私の身体で出来た武器……それで、お前は成長できるということかい? ────ナイア』
「さあ。それは試してみないと分からないけど」
『ふむ。それならやろう。これを授ける。』
「これは?」
『私の身体から削って作った戦斧だ。』
空中に急に現れた大斧を拾う。
「お、重い……」
『これを使って強くなれ』
「ええ……これを振り回して戦うの……?」
これは、きついトレーニングが必要かなあ。
「キエエエエイアアア!!!!」
掛け声とともに飛び上がる。私の奇声とともにキング・グリズリーが振り向く。
もう遅い。
その瞬間には私の大斧が大熊の脳天に食い込んでいる。
斧にかかる抵抗を鍛え上げた筋力で黙らせる。
着地したときにはキング・グリズリーの身体は真っ二つになっていた。
ドン、と音を立てて倒れる大熊の肉体。
「殺した…」
トクトクと波打つ鼓動がいとおしい。
「気持ちいい」
愛用のバトルアックスにたっぷりと血を吸わせた私は、ねぐらに帰ってまた大斧の整備をする。
次の日も、その次の日も、そのまた次の日も。来る日も来る日も私はキング・グリズリーを殺し続けた。
斧のグリップが外れかけていたので、そこらへんに生えている草を編んでグリップを作る。
「なんでこの斧、持ち手の部分まで石なんだろ」
そこは木製にするなり、もとから手に優しい素材にしてほしかった。
硬すぎてそのままじゃ振り回せないなんて、とんだ欠陥品を邪神の野郎は押し付けてきたものだ。
まあこれがあったからキング・グリズリーを己の力だけで殺せるようになったのだけど。
「おーい! ふわたろう! 大丈夫?」
ふわたろうが倒したキング・グリズリーを咥えて(というか半分引きずりながら)持ってきてくれた。
「おお、追加の肉だ!」
今晩の夕食はさらに豪華になりそうだぞ!