出会い
「ここか。」
ナイアは遺跡を見つけた。石材を組み合わせて作られたピラミッド状の構造物だ。
構造物に近づいて、石の壁を観察してみる。ピッタリと組み合わされた石材と石材の隙間は限りなく小さい。
「どこから入るんだ? この建物は……」
ぐるっと一周してみるが、特に入口らしいものは見つからない。
「よし、アルミラージ。いつものやっちゃって。」
アルミラージは外壁に後ろ足をセッティングすると、思い切り踏み抜いた。
轟音と共に崩壊する石材の壁。バラバラになった石のかけらが散らばり、土煙が立つ。
「ありがとう」
壁に描かれた文様が淡く青っぽい光を放っている。
ナイアたちはその光に照らされながら、建物内部を進んでいく。
『ナイアよ。人の子よ。』
狭い通路の中をただ進む。
『……ナイア。人の子、ナイア。』
「アルミラージ。曲がり角だ。敵はいるか?」
アルミラージが首をふりふりする。
『……おい、なぜ無視する。ナイアよ。』
「驚いたわ。ほんとにいたのね。お迎えが来ないから、てっきり夢だったのかと思ったわ」
『どうやって中に入るのか、少し観察させてもらったよ。アルミラージが仲間でなかったら、君はどうしたと思う?』
「……さあ。知らないわ」
『ふむ。まあいい。いま道を開けよう』
目の前の壁が左右に分かれ、その奥には通路が続いている。真っ暗な通路の奥には白い光があった。
『その先に私はいる』
少女と大兎は進む。闇の奥で待つという存在に向かって。
通路の先、広い空間に出た少女はそこで、その異質な存在と出会った。
「これは……岩?」
それは、ゴツゴツとした岩の塊であり。
「人の……顔?」
人の顔でもあった。
「人の顔をした…岩?」
そう、ナイアとアルミラージを待ち受けていたのは、人面をした大岩であった。
大岩は柱に取り込まれる形で佇んでおり、その周囲の地面には文字のような記号のような複雑な文様がびっしりと描かれている。
人面大岩が厳かに口を開けた。
「ウィウィウィウィ!!! ウィウィウィ? ウィウィウィウィウィウィウィウィ!!」
「……見たことのないモンスターだ」
ナイアは危険を感じ、アルミラージと共に来た道をダッシュで戻った。
主人公の名前を変更しました。それと表現を少しいじりましたがお話は大筋変わっていません。m(_ _)m