ゲッティーローグの終焉
ゲッティーローグはお祭り騒ぎになっていた。
まず三体ほどのキング・グリズリーが暴れているのが見えて、よく分からない猿のモンスターや全く知らん形のモンスター、そしてさらにモンスターと言っていいのか分からない知らない生き物(液体?)が街を襲っていた。
「え、これなんなんですか」
「これはなんとひどい……」
「神父、ひとまず逃げてる人がいたら助けましょう。そして私たちもその流れに乗じて逃げるべきです」
「いえ……すいませんナイア。この状況をなんとか出来るのは私だけです」
「え…!? 神父、なにを言って……」
「普段は人前でやることはないのですが……まあ今回だけは特別です。」
そう言って、神父はおもむろに着ていた服を脱ぎ、上半身をはだけた。
「それでは行きましょうか」
そこからの神父は最強だった。
目にもとまらぬ速さでモンスターたちに肉薄すると素手でモンスターの胸に腕を突き刺し、魔石を砕いた。そこからはまるで一方的な蹂躙のようにモンスターたちがやられていった。
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、という表現の通りにモンスターの死骸が投げられ、積み重なっていく。わたしはその様子をどこか夢でも見ているかのように感じながらも単純にその強さに憧れていた。
五分後、すべてのモンスターを殺し、返り血を浴びた神父のもとに私は駆け寄ると、しゃがみ込んで、額を地面に擦り付けて言った。
「カノーレ神父……いえ、師匠! 弟子にしてください!」
「ナイア、私の指導は厳しいですが耐えられる自信はありますか?」
「分かりません! ですがやってみないと分からないです! やらせてください!」
「良い答えです。当たって砕けろ、の思いで諦めないところはあなたの良さでしょう。いいでしょう。多少厳しい指導にはなるかもしれませんが、これも強さのためです」
そう言って、師匠は言った。
「それでは、まずここにある肉を全て解体してください。今夜は宴ですよ」