調査団と森へ来たぞ!
調査団の奴らどうなってるんだろう。どいつもこいつも人間のクズみたいな感じだった。例外なくこちらを見下している時点でお察し。
まじでカノーレ神父を見習ってくれ。
「ここがキング・グリズリーが死んでたところです」
「ふん、キング・グリズリーか。私は見たことがないが、強い魔獣だと記憶しているが……ナイアといったか、よく生き残れたものだな」
調査団の中で最年長の薄らハゲが何か言っている。こいつらぱっと見顔立ちが整って見えなくもないから最初普通にイケメンかと勘違いした。あのときの私を殴りたい。
「キング・グリズリーといえば『キング』の等級通り、王級に分類される魔獣ですね。その力は一軍に匹敵し、街を一つ滅ぼすことができます」
「え、あれってそんなに強かったんだ」
あれ? そんなに強い印象は受けなかったぞ?
「確認した死骸はまだ子供でしたからね。成熟した個体はもっと強いですよ」
「そうだったんだ……」
わたしって運いいんだなあ。
調査団は森を引き返す。そんなときだった。先頭を歩いていた薄らハゲの頭が、草むらから飛び出してきた黒い影に引きちぎられた。
赤い血のシャワーがかかる。
なんだ?
私たちは束の間、ぼーっとしてしまった。なにがなんだか分からない。パニックだった。
死んだの?
「ナイア、私の後ろへ」
カノーレ神父が私を後ろに隠す。
その瞬間、奴らが現れた。
グルルルルルルルルル……
低い唸り声と共に三匹の狼が現れた。
「マーダー・ウルフ……」
調査団で残ったメンバーは私とカノーレ神父、他に三人の教皇庁から来た神官たち。
神官たちは私たちに言った。
「君らはここに残ってオオカミたちを食い止めていなさい!っこれは神命です!」
「オイオイそんな神命があってたまるかァ!?」
私はカノーレ神父の前に出るとその神官を蹴飛ばして狼の眼前に転がした。
「逃げましょう!神父!」
私はカノーレ神父の手を引くとゲッティーローグへの帰路を急いだ。