花のつぼみはいまだ開かず
ファンタジー書いてみました
時は聖暦240年。神聖サクラ帝国は永遠の繫栄を享受していたかに思われた。が、しかし教会権力は堕落し、腐敗の温床と化していた。各地には魔女裁判の嵐が吹き荒れ、数年おきに訪れる飢饉が人々を苦しめた。そんな折、教会権力の打倒を掲げて一人の少女が立ち上がった。名を、ナイア。今はまだ、地方の小都市に住むしがない毛織物工の娘である。
「おかしいよ!」
少女の叫びが工房の中にこだまする。
「みんながこんなに苦しんでるっていうのに、また税を上げるなんて…役人たちは私たちの窮状を把握してないのかしら。私たちに死ねって言っているのとおんなじじゃない!」
「黙りなさい、ナイア。もし聞かれたらどうするんだ」
「うるさい!いつもそればっかり!お父さんの『黙りなさい』は、もう聞き飽きたわ!」
ナイアは父親の諫めも聞かずに外へ飛び出した。
「まったく、困った娘だ…」
フランソワ地方の小都市、ゲッティローグにて。
毛織物工の家に生まれた一人の娘がいた。
「まったく…。育て方を間違えたかな」
名を、ナイア。
今はまだ、ただの少女である。
更新頑張りたいと思います