1.屋敷
題名は仮題なので、いつ変わるかわかりません。すみません。
「なーやめようぜ」
「なにいってんのよ!せっかくここまできたのに!?」
古びた大きな屋敷の前で聞こえる男女の声…。
「ここマジヤバイって」
男の言い分も確かである。屋敷は少しずつ崩壊を始めつつあるように、所々ヒビが入っている。それに屋敷全体にはつる草が巻きついてあり、風が吹くたびに屋敷の中でなにかが轟く音がする。
「幽霊とかお化けなんて存在しないから平気だよ」
「…だったら来なくたっていいだろうが…」
「あらやだ。あなた様が運転なさったんじゃないの?」
「……お前が友達の別荘って言ったんだろうが…」
「まあ細かい事なんて気にしない気にしない」
そういって男の手を引っ張り、歩き出した。そして入り口であろう扉に手をかけ、ギギーっと扉が鈍い音を出しながら開き、女はその中にずかずかと入っていく。中は暗く、湿っぽくもあり埃っぽい。しかもどことなくいやな匂いもした。
「あれーどこにやったっけ?」
女がバックの中をあさっている。
「あっ!あった!」
そう言い取り出したのは蝋燭だった。
「智<サトシ>。ライターもってるでしょ!?」
「持ってるけど…?何に使うんだ!?」
「蝋燭に火をつけてここのはなししてあげるよ」
そういう彼女は薄暗くて見えないはずなのに、不気味に笑う様子が容易に想像できた。
「…はい。ライター」
しかたない…とでもいうかのように彼女にライターを手渡した。
「ありがと」
彼女はどっから取り出したのであろうか、手には赤蝋燭を持っており、そこに火を燈<トモ>した。すると自然と明るくなった周りの景色に心なしか安堵を浮かべた。
「んで話って?」
「この屋敷の話しよ」
「はあ!?ここに来てかよ!」
「ライター借りる時に言ったじゃないの」
「だからって…」
「あのね…」どうやら女は男の話を聞く気はないようだ。
どうも、初めましての方も、二度目の方も。僕自身もこの話しがどういうように進むのかは、おおまかにしか決めていなくて…。だけど是非最後までお付き合いください。