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開幕

俺は目覚めた。

何回か瞬きした後、そのまま上を見た。

少し硬めのマットレス、温かい布団、天蓋もついている。

死ぬ前には見たことのない景色が目に入って、転生したことを実感した。

「ああ、本当に転生したんだな」

同時に、これまでの魔王が蓄積してきた情報が一気に頭の中に入ってくる。


「お目覚めですか魔王様」


「ああ」

まだ混乱する頭を抱えつつ、入り込んできた記憶から顔と名前が一致した。

「秘書か?」


「秘書でございます」


「そうか」

軽く返事をする。

手を握ったり開いたりして感触を確かめる。

生前より若い肉体、感じたことのない魔力というもの感覚に少し驚く。

ベッドから出て、少し体を動かしてみると驚くほど軽い。

なるほど、それなりにサービスはしてくれたらしい。


「魔王様、お元気でしたら皆にご尊顔を見せてはいかがでしょうか」


「ふむ。見せるのは良いが、見たいものはいるのか?」


「はっ。魔王様のご復活の兆しを感じて以来、主だったものは全員この城におります」


「そうか。ならば見せてやるのもよかろう。皆を集めよ」


「ありがとうございます。では早速」

秘書が出て行き、また呼びに来るまでにこれからのことを少し考える。

歴代の魔王が蓄積してきた知識、

金がなくて図書館の本を読むしか趣味がなかった前世で得た知識、

魔王としての能力、そして何より

「あいつを殺す」

この気持ち。

これがあれば勝てる。


「魔王様。皆がそろいました」


「そうか。では行こう」


「その前にお召し変えを」


「ああ、そうだったな」



「魔王様、ご出座である!皆の者控えよ!」


城にいた魔族達が一斉に礼を執る。


「魔王様、皆に復活と御名をお告げください」


「うむ」

自分の目の前にいる者たちが、自分たちがこれから我らの王と称える者の名を待っている。

だがな。

俺がこの名前を知らせたい奴はお前たちじゃない。

そいつはまだ遠くにいる。

一歩一歩、俺を殺しにやってくる。


「我の復活に際し、集った者たちよ」

お前は俺の顔を見た事はないだろう。

俺はお前の顔を見たことがあるぞ。

傍聴席を埋め尽くすほどのお前の顔を。


「ここに我は新たなる魂と肉体を得て復活した」

お前は俺の名前なんか知らないだろう。

俺はお前の名前を知っているぞ。

新聞で、裁判で、死んだ妻と娘と親たちの口から聞いたぞ。


「我が名は反町一世!」

俺はお前の顔を忘れた事はないぞ。

俺はお前の名前を忘れた事はないぞ。

この首に縄がかかって死ぬその時まで、しっかりと覚えていたぞ。


この顔をお前の脳内に叩き込んでやる。

この名前をお前の魂に刻みこんでやる。

お前が死ぬその瞬間まで忘れる事がないように。

一つの細胞も漏らさず、徹底的に覚えさせてやる!


それはトラック運転手としてでもなく、囚人としてでもなく。

「魔王である!」




魔王様のベッドが召喚と記憶保存の装置

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