第8話 工房
あの後セルバスとメリダが来るまでティクルと戯れ、セルバスとメリダの報告を聞きちょっと指示を出して寝ることにした。
今日はとある場所にむかうことにした。
地下への入り口を開け階段を降り、通路を進んだ先にあるドアを開けるとあたりに色々な道具が置かれた部屋がある。
ここはクレインハイト家の魔道具の試作品を作る場所。試作品の他にも一族の者しか使えない物なんかもここで作っている。何も置かれてない場所を通り抜けると色々な魔法陣の描かれた作業台がある。この作業台は一族の血を引くものしか使えない物で作業効率を上げる術式がいくつも込められている。
今日来たのは魔法の武器、魔装を作る為である。前世ファンタジー好きでこんな効果を持つ武器があったら面白そうだなぁと思っていた。そしてこの世界に転生して魔法の武器が作れる事を知りこれはもう作るしかないととなったわけである。
机に備え付けられている椅子に座り魔法陣の一つを起動させる。すると前方にディスプレイのようなものが現れそこに今ある素材の種類とその残量が表示された。
その中からミスリル、神魔石、魔神鉱を選ぶと机の上に素材が現れた。
ミスリルはごく一部の鉱山の奥深くから採掘できる鉱物で、神魔石、はA級以上の魔石を、魔神鉱は特定の鉱物を特殊な方法で合成したものである。魔神鉱には魔力を込めるほど硬度が上がるなどの性質があるためかなり便利である。
しかし、作り方は4代目しか知らず今では4代目の作成した魔道具でのみ作ることができる代物である。
まず魔神鉱14つに分けそのうち4つを変形の魔法で刃の形にする。その後ミスリルを2つの薄い板にしたところで考える。
(これにどの効果を付与しようかな)
魔装は武器に特殊な陣又は魔法文字を刻み魔石と魔力回路で繋ぐ事で効果を発動出来るようにする。今回はミスリルの方に主な効果を発動させる魔法陣を刻んでそれを魔神鉱で挟む形にしようと考えている為このタイミングでしか陣は刻めないのだ。
(治癒にしようかなぁ。でも双剣に治癒は微妙かなぁ。重力操作は鎌ってイメージなんだよなぁ。やっぱ双剣と言ったらそれぞれに違う効果があるって感じなんだよねぇ。)
30分ほど悩んで
「よしこれにしよう。」
と決めて紙に魔法文字を描き
「転写」
ミスリルに陣を転写してそれに沿って専用の道具を用いて魔法文字を刻んだ。そして同じように魔神鉱の裏に不壊と摩防などなどをまた別の道具で魔法文字を刻む。その後ミスリルを挟んで変形の魔法でくっつける。柄は魔神鉱を変形させ柄頭に神魔石を付け魔神鉱の中にミスリルまで繋ぐ魔力回路を刻んでおく。魔神鉱に魔力を注ぎその硬度を上げておく。鍔と刀身をはめ込み固定の魔法で固定し、鞘を魔神鉱で作りそれに納めて完成した。
「うん。いい感じにできた。」
試しに効果を使ってみて満足のいくものになっているのを確認した私は作りたかったものを完成せる達成感と合わせて寝るまで上機嫌だった。




