第2話 目覚めて
「ようやくおめざめですね」
気がつくと咲楽は真っ白な部屋の中にいた。
この部屋には咲楽以外にもう一人中性的な顔の女性がいた。
「ここは?」
「ここは世界の管理者の生活する所です。」
「世界の管理者?」
「はい。 管理者は世界の状態を管理する存在のことです。基本的には管理を任された世界を見てバグやエラーが出たら修正をするのがやくわりです。」
あなたたちの世界の神様みたいなものですとその女性がせつめいする。
「あの 何故私はここに?」
そう聞くと申し訳なさそうな顔をして
「覚えておられませんか。魂の修復の影響で記憶に乱れがあるみたいですね。」
そういえばさっき買い物が終わって帰ろうとして・・・
「思い出した。私、車にはねられたんだった」
「思い出したようですね。貴方は車にはねられ亡くなりました。」
「その事とここに居るのはどんな関係があるの?」
「理由は2つあります。一つ目は貴方の死は世界のバグが原因である事。もう一つは理由というより貴方へのお願いですね。どちらもお答えしますがどちらからにしますか?」
「それじゃあ一つ目の理由からで」
「分かりました。では一つ目から話しますね。」
「お願いします。」
「その前にすこしせつめいしたほうがいいものがあります。管理者の役割にバグやエラーの修正があると言いましたね。」
「はい。」
「このバグやエラーというのは本来なら通る事の無い事象やそれに伴う結果のことです。犬から犬以外の動物が産まれるといったことといえば分かると思います。」
確かにそれはあり得ないことだ。
「こういったバグやエラーは残しておくと世界のバランスが崩れて最悪の場合世界の半分以上が駄目になってしまうこともあるんです。本題に入ります。貴方の死の原因の事故なのですが、本来通る未来ではあの車は事故を起こしますが誰も跳ねる事もなく乗っていた方が大怪我して終わるはずだったのです。ですが事故の直前に発生したバグにより他の車と衝突して貴方を跳ねる結果になったのです。」
「そうだったのですか。」
「今回のようなバグやエラーによって命を落とした魂は此方の管理不届きが原因なのでお詫びとして優先して生まれ直させているのです。」
「そうだったのですか。」
「もう一つの理由というよりお願いなのですが貴方には別の世界へ転生してもらいたいのです。」
「どうしてなのです?」
そう聞くと困った顔をして、
「行ってもらいたい世界は私が管理しているのですが、元々は別の管理者の管轄でした。しかしその管理者が自らの欲望のままに世界をいじってしまったがためにかなりのバグやエラーが発生してしまったのです。時間をかけてかなりのバグやエラーは修正したのですがここからでは修正出来ないものが未だ残っているんです。その修正の為に貴方に行ってもらいたいのです。」
「そこで何をすればいいの?」
専門的な事をやれって言われても無理なんだけど
「いえ 行ってもらって何か難しい事をやってほしいというのはありません。修正パッチを持って行ってほしいのです。後のことはパッチが修正してくれますので。」
よかった。
「どうです? 引き受けてくれませんか?」
「いいですよ私で良ければ。」
「! ありがとうございます! これであの世界が崩壊しなくても済みます!」
女性は嬉しそうに答えた。てか、崩壊しそうになったんだその世界。