学園初日
試験の翌日、指定された教室へ行くと試験の結果が机の上に置かれていた。自分の成績が置いてある机に向かって確認する。もちろん全種満点だった。
結果に満足して座ってふと周りを見てみると教室内の生徒の多くが私の方に意識を向けていた。どうやら昨日の魔法について聞きたいのだけど誰もが抜け駆けさせるものかと牽制しあっているようね。
誰もが動きづらい雰囲気だったが教師が来たことで霧散した。
「よし。席につけ。揃っているな。俺はこの学級の担任のグレイブ・ドフス・ハーバイドだ。この一年は俺が担当する。これからこの学園での注意事項を確認する。よく聞いておけよ。」
担任は騎士の様な雰囲気のガタイの良い45歳くらいの男性だった。ハーバイド子爵家は代々武門の一族なのでその姿には納得する。
この国では10歳の子はまだ爵位を継ぐことができないため貴族と平民は平等に扱われる。しかしそうであっても差別的な態度をとる者や力ずくで従わせようとする阿呆がいないわけではない。そのため教師は爵位を持つ者がなるし、暴れたりする子に対応するために元騎士であった者もいる。
「注意事項は以上だ。今から全員自己紹介をしてもらう。」
色々考えていたら注意事項の説明は終わって自己紹介をすることになっていた。
「僕は、アーガス・アレイヨット。アレイヨット商会の長男で、基本的な算術が得意です。魔法適性は火属性です。・・・・・」
右側から順に自己紹介をしていく。席は前2つが平民で後ろ3つが貴族となっており貴族の席は親の爵位順になっている。私は一番後ろなので自己紹介は最後となる。
自己紹介も進んで、私の前に座っている子の番になった。
「私は、ローザ・フラインスウッド。フラインスウッド子爵家の次女で、魔法適性は火と雷の2属性です。
フラインスウッド子爵家、王都に近い場所に領地を持っている家で、平凡な貴族という評価がされている。確か長女がかなり優秀という噂を聞いたことがある。妹の評価は落ちこぼれだと聞いた事があるが試験を見た感じそんな風には見えなかった。
「これからよろしくお願いします。」
ローザさんの自己紹介が終わって最後私の番みたい。
「私は、ティア・クレインハイト。クレインハイト侯爵家の娘です。得意なのは魔法で、適性は火、雷、風、です。これからよろしくお願いします。」
簡単に自己紹介をする。全ての属性が適性100だということは色々厄介なことを呼び寄せそうなので数は少ないがいることはいる3属性適性であることにしておく。3属性適性と聞いて皆驚いている。
「3属性に適性ありか。凄いな。
さてこれで全員の自己紹介が終わったな。この後は学園内の案内で今日は終了だ。」
教師に連れられて学園内を見て回る。私たちのいた教室の他に、ポーションなどを作る製薬室、ポーションの材料となる薬草のある薬草室、簡単な魔道具の作成ができる製作室、図書室、倉庫、外にはグラウンドに闘技場と色々な施設があった。クレインハイト家にある施設よりかは性能が下がるけどなかなかの性能の施設だった。施設は1月後からなら申請すれば使えるとのことなので利用していこうと思う。
私は1月後が楽しみになった。