第10話 学園へ1
レディアが私のところにやってきてから約1年経った。その間時間を見つけてはレディアは私のところに遊びに来てくれた。私はレディアに色々教えた。レディアは理解力が高く私が教えることをどんどん吸収していった。中でも彼女は魔道具の作成に興味を持って今ではかなり性能の良い魔道具が作れる様になっている。もう後数年すればこの領地の魔工技師と同等のものが作れるんじゃないかなって思ってる。
貴族の子供は10歳になると学園で勉強をすることが義務付けられている。学園は2種類あり、一つは領地を継ぐ貴族の子が通う上級学園、もう一つは領地を継がない子や裕福な平民の子が通う下級学園である。私をこの領地から追い出したい父は私を下級学園へ入学させ、レディアを上級学園の初等部に入学させた。
レディアは
「ティアお姉様と一緒に学園生活したかったです。」
と私が下級学園に入ることにがっかりしていた。
ティアの私の呼び方は私が色々教えているうちにティアお姉様になっていた。恥ずかしいから別のにしてとお願いしたけど
「お姉様はお姉様ですわよ」
と頑なに呼び方を変えなかったから好きにさせることにした。
私が学園へと向かう日になった。クレインハイト家に代々支えてきた人達が私を見送りに来てくれたのは嬉しかった。あいつは見送りには来なかったが来て欲しくもなかったからちょうどよかった。
王都行きの馬車に乗って学園へ向かう。
領地を出て次の街へ向かう中私は学園のクラス試験で使う魔法を考えていた。離れにいた頃から暇があったら色々な魔法を試した為かなりの種類の魔法が使える。
(はじめにドンと派手な魔法を使って目立ったほうがいいと思うんだよね。となると火や雷の魔法、でも水のあの魔法もいいしなぁ。それに風魔法のあれもかなりインパクトがありそうだし・・・)
色々な魔法を考えすぎてなかなか決まらない。
(うーん。こういう時はティクルをもふもふしたりしてるとすんなり決まるんだけどいきなり「幻想の箱庭」から出すと他に乗ってる人が驚くよね。)
ティクルは今「想造」スキルの効果の一つ「幻想の箱庭」の中にいる。「幻想の箱庭」
はスキルで生み出した生物を入れておくことができるものである。
ティクルをどう連れて行こうか悩んでいる時、スキルを見たとき
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想造 幻想なる存在
想った幻想の生物を造りだし使役する事ができる。また、幻想状態にして自らや仲間に憑依させる事で、その力を操る事ができる
幻想の箱庭の中に造りだした生物を入れておくことができる
このスキルは固有スキルであり原点スキルでもあります
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と新しい効果が追加されていた。それを見たときティクルを幻想の箱庭の中に入れて連れて行くことにした。
今ティクルを幻想の箱庭から出したいがいきなり生き物が現れたら他の人が驚くだろうからでもティクルをもふもふしたいしと考えていたら馬車を囲む様に複数の人の気配がして馬車が急に停車した。
馬車の中はいきなりのことで混乱している中私は外の様子を確認して山賊どもに囲まれていることを確認する
「お嬢ちゃん。外はどうなってる。」
1人の客の質問に
「山賊に囲まれています。護衛の方達が馬車を中心として円になって守っていますが山賊の数が多いですね。彼らだけでは止められないかもしれないです。」
そう答えるとそれを聞いた客の顔が青ざめていった。
(こんなところで時間を食うのはもったいない。さっさと片付けよっと。)
そう決めた私は馬車から降りて風魔法で補助しながら馬車の上に立つ。
馬車から出た私に護衛の方が何か叫んで、山賊は一瞬怪訝そうな顔をして出てきたのが少女と分かると欲望に目を絡ませた顔になった。
(範囲攻撃で一撃で仕留める。)
私は無詠唱で雷魔法を発動する。空から山賊にめがけて雷が降り全員動けなくした。
「なあ、お嬢さんあいつら全員殺したのか?」
馬車の上から降りた私に護衛の1人が聞いてくる。
「いえ。手加減したので死んでませんよ。まあ後1時間ほどは動けないでしょうけど。」
「そうか。にしても凄いなその年であれだけの魔法が使えるなんて。」
そう言ってその人はみんなに指示を出して山賊達を縛り上げていった。
山賊を捉えた後近くの街の衛兵を呼びに言っている間護衛の方達だけでなく乗客の人たちにもお礼を言われ、家名を言うとその強さに納得された。