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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

オレ木村、異世界にいったら足し算の概念が無かったので、最強の大賢者になっちゃいました

作者: ちよ・泡爆弾

俺は木村、異世界転生者だ。なろう系によくあるアレだアレ、ちなみに死因はトラック。神の手違いで殺されたらしく、そのお詫びに転生させてくれるらしい。転生特典としては、ほぼ無尽蔵の魔力、ついでに魔法の知識をもらって転生した。知識は、不思議な力で脳みそに刷り込まれた。


刷り込まれた知識によると、この世界の攻撃魔法は1つしかないという。その唯一の魔法というのは、大気中の水分を魔力を使って凝縮し、完成した水の塊を敵にぶつけるもの、その名も「バブルボム」というらしい。つまりは水で鈍器を作り、相手にぶつける魔法だ。一発でも当たれば、即死良くて重症、と威力は恐ろしく高いが、正直いって地味だ。せっかくの異世界なんだし、火炎や雷や風を出す派手でかっこいい魔法を使いたかった。でも贅沢を言ってもしょうがないのでそこは割り切ろう。「バブルボム」は、詠唱も地味だ、4発の「バブルボム」を出す詠唱は「バブルボム・よん」、9発出したかったら「バブルボム・きゅう」なんだそうだ。ダサい。ちなみにどれだけ魔力があっても、一人9発しか出せないとのことだ。


 また、唯一の攻撃魔法「バブルボム」に対抗する唯一の防御魔法「アンチ・バブルボム」もある。これを成功させると、敵の作り出した「バブルボム」のコントロールを奪い、そのまま敵にぶつけることができるらしい。威力は「バブルボム」と同様で当たれば即死、ホーミング性能があり回避も不可能だとか、エグい。詠唱も攻撃と同様で、4発のバブルボムを反射したかったら「アンチ・バブルボム・よん」これを、被弾する前に唱えればコントロールを奪える。しかし注意点が一つだけあって、自分を狙う「バブルボム」と、「アンチ・バブルボム」の数字を完全に一致させなければ、失敗する。多くても少なくても失敗するとのことだ。こちらは無制限に反射できるらしい、「アンチ・バブルボム・はちじゅういち」だとか「アンチ・バブルボム・ひゃく」とかもできるわけだ、使う機会があるかわからないが。


 魔法に関する知識を確認し終えると、意識が遠のいていく。次に目が覚めた時には、異世界転生しているそうだ。薄れゆく視界の中、なにやら神が言っている、この世界は魔族に人族が殺されまくっていて危険だけど頑張ってね、だと?そういうことは早く…


 転生した。目の前には、角が生えたいかにも魔族って見た目の男二人と、いかにもお姫様って感じの美少女一人、どうやらお姫さまが追い詰められているらしい、わお急展開。お姫さまが俺に気づき逃げろと叫ぶ、魔族の一人が俺を指さし、まずは貴様から始末してやると言った。

「バブルボム・なな」「バブルボム・はち」

二人の魔族は唱える、

「バブルボム・じゅうご」

俺が、そう唱えると、二人の魔族は頭が破裂して死んだ。グロい。お姫さまが信じられないようなものを見たような顔をしてこちらを見ている。あなたはもしや、異世界から来た伝説の大賢者様なのですかだそうだ、俺なにかやっちゃいましたかね?


 異世界に来て、1カ月経った。この世界には「足し算」の概念がない。こっちの人は数字を数えるとき、指を使っている。簡単な足し算、例えば3+4をするとき、指を3本立てた後、指を4本立て、それを一本ずつ数えながら折っていくことで7という答えを出す。恐ろしく時間がかかる上に、1人では指が10本しかないから、10以上の計算ができないらしい。10以上の足し算が必要な時は、人を何人も雇い、指を増やして計算するそうだ。つまり、8+9の計算には、二人必要。実際に二人使って8+9の計算をしているところを見せられた時には空いた口がふさがらなかった。どういう反応をすれば良いのかわからず、足の指を使えば一人で計算できますよね、って言ったらなんという発想力!革命が起きた、稀代の天才だ!さすがは大賢者様!って周りが大騒ぎし、最終的に国を挙げ、この世紀の大発見を祝う祭りが開かれた。大丈夫かこの国。


 昔から人間と魔族は争っていたが、一方的に人間が殺されるようになったのは最近らしい。それは、魔族の天才軍師が編み出した「二人一組」作戦のせいだとか。常に二人一組で行動し、一人の人間に向かって、合わせて11以上の「バブルボム」を作り出すことで「アンチ・バブルボム」を打たせることなく殺すという恐ろしい作戦だ。11以上の足し算ができないことに付け込んだ見事な作戦である、さすが魔族やることがきたない。この作戦に人間は成すすべもなく殺されまくっているそうだ。だから凶悪な「二人一組」作戦を、一人でうち破った俺は、「伝説の大賢者」と呼ばれるようになったわけだ。


 助けたお姫様に、宮廷魔術師ならぬ宮廷大賢者として召し上げられた俺は、まず「足し算」の普及を行った。「足し算」概念を説明したら、「足の指も使えばいいじゃないですか祭」に引き続き「足し算祭」が開催された。また、何かやっちゃったらしい。でも俺が足し算を普及したおかげで、魔族に殺される人間が圧倒的に減ることとなり、魔族との戦争に勝利し平和が訪れた。戦争が終わり俺は英雄となった。周りにめっちゃ持ち上げられるし、女の子にめっちゃモテるようになった。異世界木村ハーレムの誕生だ。


 お姫様をはじめとした木村ハーレムのみんなと、平和に日常を送っていたある日、俺は魔族の天才軍師に襲撃を受けた。天才軍師曰く、魔族の敗因は俺の存在であり、俺を殺す作戦を練り上げ、その機会をずっとうかがっていたらしい。どこからともなく、八人の魔族が表れた、天才軍師と合わせて九人の魔族に囲まれた。これが俺を殺すためだけに練り上げた秘策「九人一組」作戦だそうだ。お姫さまがこれではいかな木村様といえど詠唱がまにあわない!と悲鳴を上げる、うんさすがに九つの数字の瞬時に足し合わせるのは間に合わないかも。しかし天才軍師が容赦なく攻撃の号令を下す、さあおまえらのもちうる最大火力でチリ一つのこさず殺せ詠唱開始だ!!!………おっ?風向きかわったな


「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」「バブルボム・きゅう」

九人の魔族は唱える、

「アンチ・バブルボム・はちじゅういち」

俺が、そう唱えると、九人の魔族は頭が破裂して死んだ。相変わらずグロいな。木村ハーレムのみんなが騒然としている、やがてショックから立ち直ったお姫さまが俺にこう聞いてきた、9+9+9+9+9+9+9+9+9をどうやってそんなに早く計算したのですか「足し算」では不可能なはずです。そんなの「掛け算」を使ったんだよ、ついつい言葉がぽろりと口からでてきた、周りが大騒ぎしはじめる。ああ、また俺何かやっちゃったのかもしれない、まあなんにせよ、今夜は祭りなのは確かだろう。


インスパイアを受けた作品に心からのリスペクト

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