あの人はだれ?
だいぶあけてしまいすみません。
ブクマ&評価感謝です(´◉◞౪◟◉)
紺の瞳と相対する。さぁ、どうでるのかとしばし待っていると・・・。
「・・・・・。とりあえず、君は彼を放しなさい。君たち二人からから話を聞こう。二人とも黙ってついてきなさい」
「・・・」
「話なんか聞く必要はない!こいつは平民だ!」
彼のおさえをなくす前にウィーリン様は言葉を喚きちらした。それにほら、やっぱりね。と平民は思った。身分差などないと謳っているこの学園でも貴族と平民の溝はあるのだ。目の前の貴族のように見える教師も結局は貴族の側につくのだろう。
――――と、思っていた。
「彼女が平民で・・それがどうした?」
「え・・・」
「な、なん「そして私は先ほど黙ってついてこいと言ったはずだが?」
心底不可解だと言いたいような教授をきっと私たちは同じ顔をしていただろう。それぐらいこのときばかりは同じことを思ったのだと思う。
(この人は何?)
見た目は貴族のようにも見える。けれど、決して貴族に味方するわけでもなくかといって平民に親しい素振りもない。この人はどちらなのか?
結局、そのまま私たちは部屋に連れてかれ事情聴取され双方共に注意された。貴族と平民関係なくきっちり公平に裁定されて私はちょっと呆然としていたのだろう。だって、マリアに顔をのぞかれるまで自分がどこを歩いていたか意識していなかったからだ。
「一体どうしたのかな?わが親愛なる友よ」
「・・・ちょっと自己嫌悪におちていただけよ、大丈夫よありがとう」
「そうかい?」
「ええ」
本当に気分が悪い。貴族と平民の不平等さに腹が立っていたくせにいざ平等に扱われると言葉も出ないとは・・・。どうやら自分が一番身分にこだわっていたのかもしれない・・・。
思わず、はぁとため息をつくとマリアが心配そうな表情でこちらを見ていた。
そうだ、あの教授は貴族のように見えたがマリアなら知っているだろうか?
「ねぇ、マリア。このあとお時間もらえないかしら、話したいことがあるの」
「いいとも!珍しいあなたの頼みを断ることはないよ!たとえ、今日彼との約束があってもね!」
「・・・大丈夫なの?」
「大丈夫さ!」
・・・後日、彼に何かお礼をしなくちゃいけないわね・・・。
私は彼女の婚約者に心の中でそっと手をあわせた。
※※※
アンティ―ク風の落ち着いた雰囲気のカフェでそれぞれカフェラテとカフェモカを注文する。
私がカフェラテでマリアがカフェモカだ。彼女は甘党である。ケーキも私の手前に置かれたがマリアの前にそっと押しやった。イチゴがたっぷりのったタルトはとても甘そうだ。
「――で、その男がミーファに暴力をふるったのかい?だとしたら、許せないなぁ・・」
目をすわらせ静かに殺気をだしたマリアに冷静に答える。
「まさか、そうなる前に足引っかけて転ばせてやったわよ。そのあとに近くを通りがかったらしい教授に見つかって事をおさめてくださったのだけれど、煉瓦色の髪に紺色の瞳の教授を入学以来初めて見た人だからマリアが何か知っていないかしらって」
「あはは、彼が転んだところ見てみたかったなぁ…さぞ無様だったことだろうね。しかし、煉瓦色の髪に紺の瞳の教授かぁ・・私の方も見たことがないなぁ・・騎士科の教授は知っているが・・・一応、マクベルにも聞いてみようか?」
ちょっと考えて、あの方に貸しを作ったときのことを想像する。
うん、マリアのファンクラブの方を撒く餌に使われるわ・・・やめましょう。
「いいわ、ちょっと気になっただけだし。もしかしたら、新しく来られてそのうちあちこち見かけるかもしれないわ」
自分で言ってその通りかもしれないなと思い始める。
フィトラス学園には学科が2つある。
大雑把に言うと、騎士科とその他みたいなくくり方でわけられているようなものである。
騎士科は、マリアの婚約者が所属していて貴族のお坊ちゃんたちが多いが平民も少なくはない。身分差別は昔は多かったようだが、今は実力主義の者たちが多いようだ。噂では揉め事があるたんびに試合で決着を決めるらしい。要するに脳筋が多く、教師までもが野次を飛ばしながら試合を見ているらしい。いいのかしら?
そしてもう一つは文官科。
まぁ、最低限の教養は学べる場所と言ったところかしら?と言っても、幼少期から家庭教師を雇っていた人にとっては何てことはないかもね。最低限の教養でも家庭教師として働くこともできるし、頑張ればどこかの領主のもとで働けるぐらいの教養も学べる。まぁ、身分差など関係なく教えてくれる教授がいればの話であるが。礼儀にしろ作法にしろ色々な教授がこの学園にはいるが、たまに露骨に差別を行う教授がいないとは言えなくもない。なんにしろ、文官科は教授の入れ替わりが多いほうだと思う。趣味に走って隣国に行くので臨時の方が来られる時もある。
でも代わりの教授なら誰と入れ替わりなのかしら?
その答えが分かったのは数週間後だった。