白騎士様とは知己の友人であります。
ブックマークしていただき誠に有難うございます(^-^;
亀更新ですが、完結まで頑張ります(´◉◞౪◟◉)
カツカツとヒールをならす女性が一人、廊下を早足で歩いていた。髪はダークブラウン、瞳は冷たい印象を与えるようなグレー。
さらに、現在彼女は激怒していた。
「あの人いい加減にしてくれないかしら!!この前みたいに取り巻きに絡まれて時間をとられるなんてもう金輪際、御免だわ!!」
ふんぬぅと顔は怒っていて急いでいるが、あくまで廊下は走らずに優雅にそれでいて早足で歩く。
つい先程、とある男性に絡まれていて無駄な時間を過ごした彼女の名前は、ミファレシア=ユストネス。
彼女は平民であるが、貴族子息令嬢たちが通う学園に特待生として入学していた。
そして、平民であることに令嬢たちは彼女を嘲笑っていたが
ある日
「その平民に知識で劣る貴方達は何様なのでしょうか?教えてくださいませんか?」
と返して以来、地味な嫌がらせをうけていた。
人前で足を引っかけ転ばせようとしたり、服に紅茶を零されそうになったり、鞄の中に動物の死骸をいれられたりなどなど様々なことをされた。
が、引っかけようとした足を逆に引っかけて転ばせ、かけようとした紅茶はサッと避けて別の人へかかったり、死骸は普通に学園の庭師に頼んで埋めてもらったり等、地味な嫌がらせに彼女はへこたれなかった。
「全く、どうしてそう無駄な方へ知恵を巡らせるのかしらね」
「ははっ、それをあっさり躱すミーファもそうなるかもしれないと考えたんだろ?」
「なんとなくよ」
彼女の唯一の貴族の友人〝白騎士″は、平民である彼女に色々とよくしてくれた。フォルモント公爵家の長女であり、文武両道、才色兼備という言葉が似合う彼女は、マリアローズ=フォルモント。白騎士と呼ばれる由縁は白の騎士服を身にまとい学園のご令嬢方を虜にしてしまうことから、男子生徒が考えたらしい。
何が恐ろしいって、女性だけでなく男子生徒も彼女のファンに少なくはないということである。
そして、マリアローズとは学園に入る前からの友人なので気心知れた仲である。嫌がらせの件も自分が蒔いた種なので彼女を頼ることもない。せいぜい、愚痴を聞いてもらうだけである。
ただ、嫌がらせをする彼女たちの何人かもマリアローズのファンだと知っているので友人であることが知れたらどんな態度をとるかは少々興味深くはある。バラすつもりは毛頭ないが。
そんな感じで日々を過ごし、今日も己の知識欲を満たせる場所へいそいそと歩こうとしていたのだが、残念ながらとある男性に声をかけられ渋々話を聞いたのである。
とある男性とは、ジークレント=ウィーリン。通称ジーク様(貴族令嬢たちより)身分はウィーリン伯爵の次男で、金髪にアメジストの瞳という外見でマリアローズの次の次の次あたりに女性に人気らしい。
まぁ、そんなことも私にとってはどうでもよいが…。ジーク様(笑)に連れられ話を聞くこと数分。いつも通りの内容である。簡単にまとめると口説かれていた。今日で何回目になるのやら……入学して三ヶ月ほどたってから口説かれるようになったのである。
身分はあちらが上だが、相手を怒らせないように断ったつもりである。が、どうやら遠回しな言い方だったせいか伝わっていない模様。今日も今日とて呼び出され、口説かれ、そしてジーク様を慕っているらしい取り巻き連中に別の日に呼び出されるのである。ここまでが一連の流れになっていて、とても時間の無駄であるし、つい1週間ほど前も呼び出されたのである。その時は、用事があって暇ではないと答えたにも関わらず。あまりに腹が立ったので思わずいらないことをまた言ってしまったが、呼び出しがなくなればいいという気持ちは本心である。
一体どうして彼が平民である私を口説くのか。彼が取り巻きたち曰くの甘い顔で言うセリフも本当に好きで言ってるわけではないだろうに。
「嘘か真か見抜けるようになれ」とは、父の言葉である。
小さい頃から金貸しの父に付きまとっては、色んな人間をみてだんだん分かるようになってきた。その中で私が娘だと知り、情に訴えて借金を無くしてもらおうとした人もいた。それも、流されることなどなく結局は嘘の訴えであった。
私を口説くウィーリン様も彼らと同じだろう。伯爵家の家計は火の車と聞くが返済はいつだったか…。
「おい、いい加減にしろっ!!この俺がここまで口説いているのにお前はなぜ素直にならないんだっ!!」
はっ、このあとの図書館でどの資料を読もうか考えていたらいつの間にか、怒りの表情を浮かべるウィーリン様がいた。えーと何々?どうして惚れないんだ?って話かしら?もうハッキリ言っていいかしら?今まで我慢してたしいいわよね?
「ですから、前にも述べたとおりウィーリン様は私の好みではございません」
「…………は?」
「別の言い方にしましょうか?ウィーリン様は私のタイプではございません」
「なっ、なっ、何をっ!今さら!!」
「えぇ、今更です。ですが、申しあげたとおり、前にも一度のべましたよ?その時は、ウィーリン様に私のような人間は不似合いですので他の方をご覧になってはいかがでしょうか?とあまりにも遠回しな言い方だったので、ご理解いただけなかったようですが」
ふぅ、貴族風の遠回しな言い方………ちょっと考えた方が良いと思うのよね。貴族であるこの人が通じないんだし…
何て思っていると
「ふざけるなっ!!」
ガシッ
右手を捕まれたので、
思わず右手を引き寄せてからの足を引っかけさせて、後ろに転ばせて右手を逆に捻るように彼の背後に回ると、
「いだたたっ!!!」
あら、つい。やってしまったわ。でも、先にてを出したのはあちらか「そこで何をしているっ!!」
と、後ろから声が聞こえて振り返ると、そこには煉瓦色の髪に紺色の瞳の人が……さらには学園の教授が着るローブを着ていた。
これ、どう見ても私が加害者に見えますよね。
ジーク様(笑)
次回、ミーファ有罪になるか!?
は、嘘でございます。(´◉◞౪◟◉)