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第30話『心が溺れたあとの…』

倫理に反する事も色々と出てきますが書きます。

おこがましいかもしれないけれど、反面教師として、

似たような境遇に今いる人に何か一助となれば…

と少し思ってます。

・:・:・:登:場:人:物:・:・:・:・

松尾リク(主人公)

高田さん(高田延彦さん風)

・:・:・:・:・:・:・:・:・:・:・





「好きだよ…」




 そんな言葉、言わない人だと思ってた。




 彼自身、そんなふうに話してた事がある。

数少ないこれまでの恋愛でも、

現在の奥様にだって、

そんな事、言った記憶が無いって。

言えないというよりも、

言いたい!と思った事がないって。






 だから、本当に驚いた。

そして嬉しくて泣きそうになった。




「私も、好き…」






 彼の胸にしがみついてそう言った。













「誕生日のプレゼントに、もうひとつだけ御願いがあるんだけど…」




「なに?」





「あのね、…呼び方、変えたいの…。私もう本木さんじゃないし…。」







 彼の脇の下から顔を覗き込み、

様子をうかがう。







「うん、そうだよね、松尾さん。それとも松尾ちゃんがいい?ははは。」








「名前、名前じゃ駄目?璃玖って…」






「え?呼び捨て? う〜ん…、それは…、」





「嫌?」





「嫌っていうかね、

僕、女の人を名前で呼び捨てにしたことないんだよね。

なんか、なんていうの?

ほら、女性に失礼っていうかさ、上からな感じするし、

偉そうな感じで言いにくくて。」




「奥様のことも呼び捨てしたことないの?」





「うん。無いね。付合ってた頃は、名字にサン付けでしょ。

結婚したと同時ぐらいでお腹に子供出来たから、

すぐパパとママって言い出して…。名前呼んだこと無いな。」




「偉そうとか、上からな感じとか、思わないし、

むしろ特別な感じがして嬉しいから、

名前呼び捨てにして欲しいな…。言ってれば慣れるよ、ね!」





「う〜ん…、やっぱ呼び捨ては抵抗あるなあ…。

璃玖…さん、じゃ駄目?」





「璃玖さんって…、それは…変だよ〜。さんつけるなら名字でしょ。」






「じゃあやっぱ松尾さん!

だってよく考えたら、

ウッカリ、璃玖!って仕事場とかで呼んじゃったら大変だし。」





「うん。それはそうだけど…。

じゃあ、私はノブヒコさんって呼ばせてもらってもいいですか?

絶対に職場では口を滑らせませんから。」





「なんか、そんな風に呼ばれたこと無いからちょっと気恥ずかしいけど。

松尾さんがそうしたいなら、いいよ。」





「ほんと!?

じゃ、今日からノブヒコさん!」





「うん。名前呼び捨てしてあげられなくて、ごめんね。

僕も松尾さんのこと、特別な呼び方したいな〜って

気持ちは凄くあるんだけどね。

いつか、たまに呼ぶかも…」





「ありがとう。じゃあそのいつかを楽しみにしとくね。」












 そして翌日、

私の左手の薬指から消えた結婚指輪の代わりに、

ノブヒコさんが指輪を買ってくれました。

私一人の指輪だけど、

彼がくれたステディリング…

















 こうして29歳の誕生日に、

私はノブヒコさんと結ばれ、

初めて一緒に眠る事が出来た。


 最初は二人ともあまりにも緊張して上手くいかなかったけど、

すぐに身体がなじんでいく…

予感していた通り、

身体の相性が抜群に、あまりにも良かった。

これまで重ねて来たキス、抱き合い触れあってきた時から、

とっくにその予想はついてた。







 究極に相性の良いSEXなどというものに巡り逢える確率って、

本当に低いと思う。それはとっても貴重なこと。


 それに…、女は身体だけではSEXが100点満点にはならないものだ。

その男をどれだけ愛しているかという精神的な要素が、

女のSEXには大きなウエイトになるから。


 とことん惚れ込める男性に巡り逢える確率自体が、

ごくわずかで、とっても貴重なことだもの。

その上で相性が最高のSEXだなんて、

そんなのそうあるものではない。





 

 ここでは”恋をした話”だけを次々続けて書いているから、

私がまるで出逢う男に次々恋してるように錯覚するかも知れないけれど、

恋なんてそんなに簡単にする訳がない!!!



 身の回りに男性はわんさといる訳だし、

新しい男性と出逢うことだって何だかんだしょっ中ある。

とっても仲良くなれたり、

すごく気のあう男性だっていたりする。


 ここの話しには載らない出会いは一杯ある。

だけど、いちいち恋に落ちたりはしない。



 恋するって、そんなに簡単なものじゃないですよね?

少なくとも私にとっては、貴重なこと。




 沢山の男性と出逢っても、

男性に惚れる確率はごくわずか。

それが普通ですよね?

そしてその貴重な中でも、

SEXの相性までも、となればさらに…










 ノブヒコさんは真面目で色恋・肉欲に興味が無くて、

そういうことに超淡白な人なので、

SEXの経験もそう多くない人。


 若い頃から付き合ってる彼女に対しても、

たまに思い出したようにするくらいで、

逢う度にするなんて勘弁してくれっていう人。


 現在の夫婦間がSEXレスなだけでなく、

恋人時代からずっとSEXレスは同じなんだそうだ。



「昔からそう。半年でも一年でも別に特にしたいとも思わないんだよね。」

と平気で言う人。







 私も基本的に受け身。

半年でも一年でも別に全くしたいと思わないし、

能動的SEXをすることは私の人生には無かった。


 超淡白で真面目、経験も少ない高田さん…

私達は、幸か不幸か、互いにそれまでのSEX観を打ち崩す

100点満点として出逢ってしまったようです。



 目からウロコともいうべきか…

こんなにSEXに夢中になることがあるなんて、

溺れまくってしまうなんて、

思いもしなかった二人でした。




 しつこい様ですが、これは決して肉体的快楽だけの問題ではなく

精神的な快楽も最高潮に達しているから、という話です。

私達は、まさに、”心身共に”ハマリまくってしまったのでしょう。

最高の相性、それが不幸にも、

不倫という最悪の出逢い方で。










 初めて一緒に眠ったあの私の誕生日から、

二〜三日ごとに部屋で逢うようになった。



 もともとSEXに淡白なはずの二人だから、

毎回、「今日はしないでおこう」って思ってはいるはずなのに、

なぜかどうしても止まらなくなってしまい結局逢う度にSEX…


 ”逢う度に”が今迄はウンザリだったはずの私も、

彼にハマってすっかり変わってしまった。






 まるでしたい盛りの学生か、

ハタチそこそこの若者のように、

夢中で何度も何度も…



 私28、ノブヒコさん30、

この歳になってこんな風になるなんて。

お互い本当にびっくり。



 体中が筋肉痛になることもしょっ中。

”官能”という何かに取り憑かれたように我を忘れることも…

愛しくて愛しくて、飽きる事無く。









 月に一〜二回は妻子が実家にお泊まりだというので、

その度に家に泊まりに来てくれたノブヒコさん。


 彼はそれまでの暮らしぶりが余りにも真面目だったので、

絶大な信頼を奥様から受けている。

というよりも、

奥様は、夫は”モテない”とか”浮気する勇気なんて無い”

”仕事と車以外に興味がない”とか、

そういう人だと思い込んでいるらしい。

そりゃそうだ、私から見てもそういう人だとしか思えないもの。







 深夜に帰ろうと、休日出掛けようと、朝帰りしようと、

これまでのノブヒコさんが仕事でそうしてきた事ばかり。

何も変わらないから、全く疑われる事は無かった。


 二人で合わせて休みをとって、

二人だけの週末を過ごした。

もうお互い、お互いが無しの生活は考えられない程、

身も心も溺れきってしまっている。







 二度の結婚に失敗し、私が<結婚>を恐れていることを

充分理解しているはずのノブヒコさんなのに時折こう言う。



「再婚したくないのは良く解ってるけど、

もしも今、僕が独身だったら、間違い無く松尾さんに

”結婚してくれ”って言ってしまってるだろうね。

絶対言ってしまうよ。

そしたら、僕と結婚してくれてた?」




 彼は妻子を捨てるなんてこと出来る人ではないし、

私もそんなことして欲しく無い。


 彼の家庭に子供がいなかったら話は別だったかも知れないけれど。




 こんな形でしか出逢えなかったから、

幸い私は三度目の結婚を迫られずに済んだ。

でも、

こんな罪悪という形でしか出逢えなかった事は、

やっぱり不幸でしかない。




 いずれにせよこういう形でしか出逢えない、

それが私達の宿命だったのでしょう。




第31話『愛と絶望とに翻弄された秋』へ続く

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