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第3話『愛と青春の日々』

・:・:・:登:場:人:物:・:・:・:・

松尾リク(主人公)

筒井君(筒井道隆さん風)

坂口君(坂口憲二さん風)

・:・:・:・:・:・:・:・:・:・:・


 決断をせまられて、混乱するばかりのリク。




 筒井君をずっと前から本気で好きだった。



 でも一生懸命その気持ちは押し殺し、

その末に新しい恋が芽生え、

坂口君のことを本気で好きになることが出来た。



 二人への恋心はどんなに考えたって

どちらかを選べるようなものではなかった。




 そして何よりも、私たち三人はかけがえのない大親友。

そのことの方が、大切に思えたくらいだった。

それが本心。

けれど、

選ばなければならない。




 二人は言った。

「だからといって俺たち三人の親友の絆っていうのは、

そんなことで壊れるようなもんじゃない。

このままうやむやにしてしまったら、

そのほうがむしろ三人の関係がおかしくなるだろ。」





 そう言われて数日後、

私は決断をした。





放課後の教室に三人。

長い沈黙…






「坂口君、ごめん…」





私はそう言うのがやっとだった。





「うん…、そっか…、ちゃんと考えてくれてありがとな…

よし!じゃ、俺、先帰るわ…、じゃなっ」




 そう言って坂口君は一人で先に帰っていってしまった。

いっつも三人で一緒に帰ってたのに。


 あっと言う間に去って行く坂口君の自転車の後ろ姿を、

何も言えず、硬直したみたいにただ見送るしかなく…





 それから 私と筒井君、残った二人で帰った。

一言も言葉の出ないまま。

何も話す気になれなかった。

ただうつむいて、辛い顔をしたまま。






 それから数日の間、私たち三人はバラバラだった。

顔も会わさず話しもしないまま数日が過ぎた。


 まわりの仲間たちが、お前らどーしたんだ?って心配してた。

そしてある日、

坂口君が私と筒井君を呼びだした。





「おまえら、なにやってんだ?ちゃんと付き合えよ。

ちゃんと彼氏彼女になれよ。

でなきゃ俺どう付き合っていいかわかんねーよ。

まったくもう、しっかりしろ!」




 彼はそう言った。

気まずくなった私たちに一石を投じたのは、

一番辛い坂口君だった。



 それから私たちは話くらいはするようになった。

元の友達として。

でもそれがやっとだった。

元に 戻れればそれでいいと思っていた。

坂口君の言う彼氏彼女になんて…

なれと言われてもそんな気にはなれない。





 当時私と筒井君は同じ部活の部員だった。

漫才・落語・コントなどのお笑いライブをやる<お笑い研究部>。

私は一年生の時にマネージャーとして入部したのだけど、

ひょうきん者の男の子キャラが定着するに従って、

お笑いライブにも何度か出演したりした。

筒井君はモノマネに漫才に落語…とマルチに人気のお笑いマンだった。


 私たちが二年になると三年生は引退、

その年は新入生が誰も入部して来なくて、

たった二人っきりのお笑い研究部になってた。





 ある日の午後、

私は授業をサボって部室でぼんやり過ごしていた。

いつのまにか少し眠ってしまっていて気が付いたら放課後だった。

筒井君が部室に入ってきて目が覚めた。



「おまえ此処にいたのか。昼から探してたんだぜ。なーにやってんだよ。」


 と筒井君。



「あ〜寝た寝た…、で?なんで僕(私は自分の事をこう言ってた)

のこと探してたって?何?僕になんかくれるの?」


 そう冗談を言ってみると、



「おう。おまえこれ欲しがってたろ。やるよ。」


 と言って手渡されたのはLPレコード。

それはちょうどその日発売になったばかりの

私がとても欲しがっていたアーティストのアルバムだった。



「え?!マジ?いいの?マジでくれんの?!やった!ラッキー!どれどれ…」



 と中身を取り出そうとしたその時、

レコードジャケットのカバーの間から白い小さな紙がでてきた。

ノートの切れ端?

開くとそこには筒井君の汚い字でこう書いてあった。





『俺の世界で一番大切な人へ』




 どこかで見たような有りがちな言葉なのかもしれない。

でも16才の私が本気でリアルにこう言われたことなんてなかった。



 家族でも誰でもなく私を世界で一番大切だと言ってくれているのだ。



 そのことの凄さに驚いて、

私の目から勝手に涙が込み上げてきて、

頭に血が上ったその次の瞬間、

信じられないことに私は筒井君に抱きついてしまっていた。


 自分でもあまりの衝動に驚いた。



(何やってんだろう!どうしよう!)




 思わず口をついて出た言葉は、




「一分間だけ、こうしてて…」




 他人に抱きつくなんて、

もちろん生まれて初めての事。



 それから何も言わずただしっかりとお互いの心臓の鼓動を感じながら、

殆ど微動だにせずただずっと抱きあっていた。

私の心臓も、彼の心臓も

とてつもなくドキドキと音を立てているのを感じていた。

一分間のはずが、

なんと一時間がそのまま過ぎていた。





 抱き合った瞬間の体勢のまま、

少しも動かず固まったように。

お互い顔は見えない状態のまま。

一時間の沈黙をやぶって筒井君が口を開いた。





「俺さ、今、おまえにキスしたいと思う。

キスしても良いなら<はい>って言ってくれる?」




 私は、


「ばかっ!なに言ってんの。ちょーしに乗るんじゃないっ!」






 そしてまたしばらくの沈黙の後、筒井君が、




「あのさー、呼吸に関する臓器でさ、…えっと、

煙草とか吸ってると黒くなるところはどこだ?」




「ば〜か、その手には乗らないっ!」





 二人とも一切体勢を変えないまま。

さらに沈黙の後、

何故か私は、




「あのさ…、……あの、<はい>」





 と言った。

その瞬間に筒井君の心臓の音が凄く大きくなるのを感じた。


 そして筒井君が体勢を変え、

うつむく私にキスをした。


 その時、

男どうし親友だった二人が消えて、

彼氏彼女になった二人がそこにいた。

そんな感じだった。






 その日から私たち三人の新しい関係が始まった。

三人は変わらずマブダチだった。

そして私と筒井君は学校中で一番仲の良いカップルだった。

いつでも三人、また二人で一緒にいた。




 筒井君と私は日に日に愛を育てていった。

夏休みがやってきて、

私たち二人は毎日一緒に過ごした。

あっちこっち出掛けてデートした。


 高校二年生という多感極まりない年頃。

二人でいくつもの<初めて>を経験した。

数カ月を経て、ごく自然に初めてのSEX。

私たちはこの世の誰よりも愛し逢っていた。

息も出来ないくらいに純粋に真っ直ぐに。




 進級して高校三年生になった頃には

私と筒井君は学校一有名なカップルだったかも。


 二人で月日を一緒に過ごし、

それはそれは想像もつかないくらい深く心から愛しあっていた。

もう子供の恋という感じではなかった。

本当に二人で一緒に歳をとり、

死ぬまで、死んでも、離れないと誓いあった。





 そして私たちの高校生活が終わりを告げ、

毎日一緒に笑い合った仲間たちが別々の生活を歩む時がやって来た。




 坂口君がその時、

高校最後の思い出にと私との一日限りのデートを申し込んできた。

もちろん筒井君に了承を得た上で。


 本当に大好きだった坂口君。

あの時どちらも選べないと悩んだ末、もしもう一つの選択をしていたら…



 私たちはたった一日だけ、その<タラレバ>を実現し、

フレンドリーなデートで思い出を作った。

そして


「これからもずっと、親友で。」


 と別れた。




 仲良く三人揃って浪人生となった私たち。

三人とも成績は割と良いほうだったけれど、

それぞれにかなり高いレベルを狙った受験をしたので見事に完敗。


 でも三人ともそれで滑り止めの学校に入るような性分ではなかった。

あくまでも目指すところへもう一年、それが当然だと。

私は家庭に色々あって卒業後すぐ家を出て、バイトで生活をしながら宅浪生。

筒井君、坂口君は同じ予備校に通うという三人の新しい生活が始まった。


第4話『過ちの始まり』へ続く




まっすぐな恋をした高校時代を経て、主人公リクは段々と変わって行ってしまう。

ただまっすぐに恋していただけのハズだったのに、過ちを犯しながら傷付き、

どんどん汚れていく。そしていつしか地獄へ…。

本当は誰よりも<愛>に生きたいのに。リクに真実の愛はみつけられるのか…

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