第1話『プロローグ』
20年間リアルに書き続けた恋愛日記を
カミングアウトしてまとめたものです。
かなり…な内容も含まれているので、
人名や地名など個人を特定しかねない部分を書き換えていますが、
それ以外は全て日記のまま事実で、
リアルに日記に吐き出してきた言葉の数々です。
小説という意味合いからは外れるかも知れませんが、
その分、真実が目一杯詰まっていて、
共感を頂けているのだろうと思ってます。
主人公は中高生から20代30代へと成長していきますので、
どの年代の方にも楽しんで頂けるかと思います。
男性にも女性にも、知って頂きたい事が詰まっています。
・:・:・:登:場:人:物:・:・:・:・
リク(主人公)
筒井君(筒井道隆さん風)
坂口君(坂口憲二さん風)
江梨子(佐藤江梨子さん風)
・:・:・:・:・:・:・:・:・:・:・
私はオナベになろうと思ったことがある。
かなり真面目に。
リク15歳。
理由は、
ただ女を辞めたかったから。
性同一性障害というわけではなく、
女性を愛する傾向は無いのだけれど、
女に産まれたことが嫌で嫌で堪らなかった。
ただひたすら男になりたい、そう思った。
ひとりの男の子を四年間ただ密かに
ひたすら想い続けた小学校時代。
中学校でもまた別の男の子に
二年間どっぷりと恋をした。
(このお話はまたいずれ番外編として書く事にします。)
私自身はそうやってただ一途に恋をするタイプの、
極フツ〜の少女だったと思う。
もちろん特別美形なワケでもなく、
自分で見る限りいくら贔屓目にみたって中の下って所カナ?
ははは。(笑えない)
なのに……
自分で言うのはカナリ変だけれど、
事実、何故だかとにかくモテた。
小学校時代も、中学校時代も…
大半はきっと
単なる冷やかしみたいなモンだったのでしょうけれど。
昭和50年代。
今の中高生が産まれるよりも遥か前。
きっと、
今の中高生のママやパパが中学生だった時代。
私リクも中学生だった。
当時はTOPアイドル松●聖子ちゃんをはじめ、
アイドル歌手の全盛期。
そんなアイドル達の「ブリッ子」に対するブーイングが
社会現象っぽくなっていて……
実際に「ブリッ子」してるかどうかはあまり関係なく
男の子に人気のあるモテ女子は、
何でもかんでも「ブリッ子」呼ばわれされ、
女子たちの非難の的にされていたりして。
軽いイジメ状態。
なぜだかやたらとモテた私も一部の女子から
けっこう非難の的にされてしまった。
美形でもないし、男兄弟の真ん中っ子だった私は
どうみてもボーイッシュタイプで、
「ブリッ子」的な女の子らしさは
持ち合わせていなかったハズなのだけれど。
たいした女じゃないのに何故かやたらモテたのが
彼女たちには気に入らなかったのだろうか。
ラグビー部で女子から人気があった斗真君から
「良かったら、俺と付き合って欲しいんだけど……」
と言われて付き合い始めた頃、
「なんであんな女?あんな女のどこが良いのよ!」
なんて、
数人が代わる代わる私の居る教室に
ワザと大声でイヤミを言いに来たり。
部活の仲間で回していた交換日記でも、
みんな普通に楽しく書いてるのに、私だけ何を書いても
「ブリッ子」
「ウザイ」
「キモイ」
みたいに書かれるか、スルーされてしまう。
傷付いた。
凄く悩んだ……
とにかく苦しかった。
フツ〜にしてるだけなのに、
「ブリッ子」って何?
何??? 一体何が気に入らないの?
モテようとか、可愛くみせようなんて、
思った事ないのに。
貧乏人でダサかった私は、
お洒落で可愛い他のみんながむしろ羨ましくて、
みんなと同じに近付きたかった。
でも全然ムリで、いつも畏縮してた。
そんな真面目でダサいだけの女なのに、
何をやっても何を言っても
「ブリッ子」してると言われて、
本当に辛くて、苦しくて。
でもどうして良いか解らなくて、
どうやっても状況は変わらなくて…
そのことがあって、
高校進学の時、人間環境が変わることを機に、
私は生まれ変わる決意をした。
とことん男の子になろう!
男の子、
しかも三枚目の男子になり切ろう!
フツ〜にしてて「ブリッ子」だと言われるのなら、
フツ〜の女の子から一番遠い存在である
男の子になってしまえばいいんだ。
オナベさんみたいに男装して男子になれば、
男子からモテることもなくなる。
モテなければ非難されることもない。
そしたらもう「ブリッ子」とは言われない。
それしかない。
それが一番いい。
もともと小さい頃から性格は男っぽいし、
女の子らしくするよりむしろ男になる方が自分も自然。
だから、なり切るのは楽勝だったし、
好んでなれた。
ラッキーな事に私の進んだ高校は私服通学!
男の子みたいな格好でいるのも自由だし、
話し方も男言葉を喋るようにした。
自分のことは「わたし」じゃなく「僕」。
私の作ったこの男装キャラは、
自画自賛っぽい言い方だけど、ホントに結構ウケが良かった。
私はクラスの男女みんなに、
「面白い奴だよな〜」
「リクってイイ奴だよね」
って感じで受入れてもらえて、
クラスの愉快キャラっぽくなった。
男の子として。
私の変身は大成功。
女の子であるがために味わってきた辛い思い、
中学での憂鬱を、
すっかり晴らして楽しい高校生活を始めることが出来たのだ。
こんなに楽に生きられるのなら、
これから一生、男として、
つまりオナベとして生きて行ったほうが良いんじゃないか
そう思えた。
でも実はそれなのに何故かまだ、
女の子として恋の対象にされることもしばしば……
何人かのモノ好きな男子が
オナベキャラの私にコクってきた事もあったのですから、
今思えば、
キャラ作りが未熟だったってことなのかなあ。
高校一年生。
オナベキャラの中身である
フツ〜の少女としてのその頃の私は、
一体何が本当の恋なのか
良く分からなくなってしまっていた。
中学二年の終わり頃に失った恋。
その後遺症をまだ引きずっていた…
中学生とはいえ、とてもとても大きな恋でした。
あれほど夢中だったのに、
愛してたのに、
多感な時期のほんの気の迷いで
自ら別れを切り出してしまった。
失って初めて
どれほど自分が彼を愛していたかと思い知らされた。
とてつもない後悔、
もう届かない想い…
それから数年経って高校生になったというのに。
簡単に忘れることなど出来る性格ではなく、
何年も経ってもまだ心の奥で彼を想い続けていました。
そんな中で、まだまだ子供だった私は、
燃えくすぶる恋の火種を他の恋の炎で消そうと
していたような感じだった。
惚れられて近づいてこられると、
いつの間にか自分も相手を好きなような錯覚に陥ってしまい、
二〜三か月付き合ってはふと我に帰ったように目が覚める。
やっぱり私が愛してるのはまだあの彼なのかも知れないって。
そして束の間の疑似恋愛を終える。
そんな錯覚の恋愛をいくつか繰り返していた。
高校一年の頃はそんな事が何度かあった。
そして思った。
こんなこと繰り返していてはいけない。
惚れられてその気になってるんじゃダメだ。
私の方から片思いするような本物の恋をしなきゃ。
中学生のあの時の彼への恋のように。
本当に心から誰かを好きになりたい。
そうでなきゃ今のままじゃ結局、
人を傷つけてばかりだ。
それからの私は誰が言い寄ってきても、
返事はひとつ。
「今は誰とも付き合う気はないから、ごめんなさい。」
私のオナベキャラは女子にウケが良かったのは勿論ながら、
沢山の男友達にも囲まれるようになっていた。
”男女”ではなく”男どうし”という感覚で。
当時一番気が合って一番の親友、マブダチといえたのも男子だった。
二人のマブダチと私、
この三人でいっつも一緒に遊んでた。
男三人で何だって語ったし、
いつも一緒に大笑いしてた。15才の夏だった。
”ブリッ子”の呪縛から私はやっと解放され、
自分の居場所をみつけられた。
沢山の友達といるオナベな自分という居心地のいい場所。
秋が来た頃、
僕ら三人の中の一人、筒井君が恋をした。
クラスのかわいい女の子に。
私ともうひとりのマブダチ坂口君は
ここぞとばかりに盛り上げた。
親友筒井君の恋を絶対に実らせてやろうと。
私は女の子たちにもウケがよかったから
彼女をその気にさせるのはたやすかった。
「筒井ってホントいいヤツだから付き合ってやってよ」
僕が保証するよ!とかなんとか…
そうして筒井君と彼女、江梨子は、
めでたくカップル成立!
付き合うことになった。
とはいえ、
私リク、筒井君、坂口君の男三人の仲は変わらない。
ハズだった。
しかし、江梨子は恐ろしく嫉妬深い女の子だった。
私が彼等の中で”男”であることを十分わかっているくせに、
それでも筒井君の一番近くにいる私の存在を許さなかった。
筒井君、坂口君の仲は許しても。
まあ気になるならしょうがないと、
ほんの少しだけ距離を置くようにした。
三人の仲は相変わらずだったけれど。
筒井君は江梨子と二人でいることが多くなった。
その姿を離れて見ていることが増え、
その状態になって初めて私は自分の心の苦しさに気が付いた。
自分の中に潜んでいた気持ちに、
その時気が付いたのだ。
私は、間違いなく筒井君に恋をしていた。
それもどうしようもないくらいに。
筒井君の居ない生活なんて考えられないくらいになっていたのだ。
運命の恋だった。
好きな人をみてドキドキしたり、
いろんな恋をしたけれど、
この人が側にいないと息も出来ない、
生きられない、
なんて想ったのは初めてのことだった。
だけど、
私が彼等のキューピット役をしたところから始まった恋だなんて。
はじめっから100%の片思い、
失恋からスタートしたような恋。
いったいどうなって終わるっていうのだろう。
第2話『15歳の運命の恋』へ続く
まっすぐな恋をした高校時代を経て、主人公リクは段々と変わって行ってしまう。
ただまっすぐに恋していただけのハズだったのに、過ちを犯しながら傷付き、
どんどん汚れていく。そしていつしか地獄へ…。
本当は誰よりも<愛>に生きたいのに。リクに真実の愛はみつけられるのか…
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最新話は、ブログで進行中です☆
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