表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
弱者の天国  作者: JCN
第1章 怪しい青年
6/38

第3節 お母さんのメモリー(2)

再び林平と会ったら、彼がとても痩せているのにお母さんは気付いた、痩せたことでもっとハンサムな大人に見えるが、彼の性格も大分変わった、一時間以上お母さんの話をずっと聞き続け、お母さんの意思に沿って慰めを話している、お母さんの話を聞きたくないときにも、とても態度よく、びっくりされるような叫びが消えた、距離感を感じられる揶揄もなくなって、以前では考えられないことだ。

その変化にお母さんはとても喜んでいるが、だんだん、変わってきた林平にどうやって適応すればよいのかをわからなくなった。ハリネズミのように悪い性格だった林平にお母さんは慣れていた。そのような林平にどうやってアプローチするか、どう話せばよいのか、いつ黙るのか、どんな場合に素早く逃れたらよいのかをわかっていた。しかし、今の林平は怒らないが、不自然に笑っている、マスクを被っているようだ。そのマスクがあったら、息子の思いをもっと捉えにくくなる。そのマスクで林平のことがとても見知らぬ人となった。林平も自分の母親でなく、見知らぬ人と話しているようになっている。

 言い争いを避けるために、林平は自分の心を隠そうとしている、それももしかして大人になった表しだろう。しかし、お母さんは悲しく思った、繊細な観察で、林平は一人でいるのが好きで、独りの時に、顔がもっと憂鬱となっているとお母さんが気付いた。母親として息子がなぜそうなっているのかを知りたいが、しかし…

それからの学校の休みに、林平はいつも家に帰りたがらない、帰っても他人より遅く、休みが終わる前に学校へ行こうとしている。いつか、ホームシックしなくなる林平は自分を離れていくだろうとお母さんはよく思っている。その不安が日増しに積み重なっていく。毎回林平を見送ったら、お母さんは林平の手紙をもらうまで数日かいつも眠れなくて、気がすまないでいた。

 そうしてようやく4年間が過ぎた。林平が大学卒業の前に、お母さんは自ら実家にある林平の寝室を内装した、林平を帰ったら、居心地をもっとよくするためほかならない。そしたら、林平は心から感謝してもらえ、それをきっかけに、昔の林平が戻り、そして失われた親肉の情を取り戻せ、昔のような幸せな家族を取り戻せるとお母さんは信じている。

 未来に憧れている時に、林海に拍車をかけられた。林平はどう考えているのかをわからないし、彼のような人は普段賢いが、大事な時に理性を失ってしまうことがある、一応林平の動向を見極めるのが一番大事なのだ、そうしないと、前回のような事態になるかもしれないと林海に言われた。

林海の話でお母さんは目が覚めた。急いで知人を通じて林平の近況を尋ねた。すぐ情報があった、それは林平は卒業後、新疆に行きたがり、出願書も提出した。お母さんは怒って泣いた、林平が情が薄い、救えないバカだと言ったが、お母さんはほっといてはならなかった、泣きながら頼もしい林江を呼んできた、どうしても林平を北京へつれて帰るようにお願いした。その日から、お母さんは魂を失ったように、数日間に白髪が増え、もっと老けるようになった。

 半月後、林江は見事にミッションを達成した、自分の弟を連れて帰った。林平の顔が真っ白くて、表情も大変疲れたようで、まるで…のようだ。お母さんは見たら、嬉しかろう悲しかろう、心が痛くて、こらえきれず彼を抱きしめようとした、「林平よ、母さんを死ぬまで怒らせたいんですか」と泣きながらもひどく言い付けた。林平も泣いたが、お母さんの両手を避けた、「母さんよ、いい母さんだ、いい母さんなんだ」と泣きながらも悲しく言ったら、悲しく笑い出した。

 実は林平は同じクラスの女子学生と恋した、その代筆してもらった彼女だ。林江はその子を遠くから何回かを見たことがある、とても綺麗とは言えないが、キチンとした顔で、落ち着いている。そのような女の子に、普通は近づけないが、一旦好きとなったら、離れられなくなる。林平は幼い頃から衝動的だったから、熱中になるのも当然だ。しかし、その女の子は遥かな新疆から来て、それに卒業生の就職はとりあえず「出身地へ戻る」という原則に従っているので、彼女は卒業して内陸に居られる可能性が小さい。夢中となっている林平は彼女と別れなかったら、一緒に窮地の新疆へ行くしかない。

 林江は繰り返し説教したが、効果を見えなかった。林平は新疆で仕事をしたことのある人からあそこの荒涼さや頼りがなさを言われても、聞きたがらなかった。すべての方法を考え尽くされたが、林平は依然として自分の意見を堅持した、彼女と公開した恋人だけではなく、裏で夫婦関係もできている。その事実があるから、どうな苦境でも逃れる権力がない、そうしないと、人間として成り立たない。それらの話を聞いたら、林江も話が詰まった。

 のちに観察したら、その女の子は裏で林平と特別な関係を持っているが、公開の場で情熱に溢れた林平に本能的な抵抗感があったと林江は気付いた。もしかして、彼女はガキっぽい林平を本気で好きになっていないかもしれない、林平とかかわる目的もたぶん、林平と一緒にふるさとの新疆に帰ることではなくて、故郷を北京に持つ林平を通じて、そして林平の家族の助けで、卒業後、北京で就職することを求めているかもしれかない。そのような例が多くある、林江も不思議と思わないぐらい。上海のお嬢さんは嫁ぐときに、相手よりも相手が持つ不動産を重視すると同じく、他の都市から来た多くの人々、特に実家が辺鄙なところにある人は、賑やかな北京を夢の天国だと思っている。後ろ盾のない女の子にとって、北京に入る唯一の方法は結婚だ。林江の働き先にも一例がある、ご両親は高官で嫁さんを北京の戸籍を持たせるから、そんなハンサムな顔じゃない息子は多くの女の子の求愛対象となっていた。その息子も開放的で、大学4年間後、一緒にセックスした処女人数も7、8人を大幅に超えている。自分の初めてのセックスをその息子に捧げた女性は大学生に留まらず、一部は後に大学院まで行った。もし彼女たちは北京生まれだったら、90%の人はその息子のことを気に入らないだろうが、豊かな知識と理性で北京この天国に行けないから、そのために、多くの女の子は一生の幸せと愛情を賭けている。勝ったらもちろん良いが、別の目的で付き合ってくれる人と会ったら、惨敗してしまう。

 問題のポイントはそこにある。林平と付き合っている彼女は北京に行きたがるが、林平に言えない。そうしないと、本の虫のような林平に発覚されたら、離れされてしまう。だから、まず林平を付き纏うことだ、林平が彼女のことを夢中になり、親族まで知られたら、事態の発展を黙々と見るだけで良いのだ。そう考えていないと、彼女は公開の場で林平との関係を公開したくないのに、裏で何でもやった理由がない。見知らぬ人ではない林江とあったら、ずっと避けようとしていることから、彼女はとてもずる賢いことをわかった。

 そのような女の子に対して、林江は心から嫌がっている。自分の初めての性経験を林平に捧げたとしても、林江は同情しない。しかし、彼女の願いを満たさなければならない、そうしないと、阿呆っぽい林平は本当に彼女について新疆に行ってふられたら、最悪な境地に晒され、林平がどんな行動を採るのかを考えられない。

 だから、どんなに別れられない場合になっても、新疆に行くまでもない。人はいつもより良い生活を求めている、もちろん、彼女のような人は北京入りが難しいが、一応彼女を北京郊外戸籍にあげるように自分の努力を尽くすと林江は林平に言った。

 「北京の戸籍があってこそ、転勤しやすくなるから、そうなると、僕もまた助けてやるから…」林江は勧めた。

 林江の話で林平はようやくすこし落ち着くようになった、そして…

 その日の夜、小雨が降っている、返事を待っていた林江はやっと学校の後ろの山で林平を見つけた。林平は岩に座り、雨に降られるままにいた、林平を見たら、絶えず泣き出した「あなたのせいだ…」と憤懣そうに言った。

 彼女自身が夢中になった程度は林平よりひどかったことと誰も思わなかった。林平が来て、お兄さんの保証を教えられたら、彼女は嬉しそうに笑った。やはり林江が正しかったと林平が思った、すぐ彼女に一緒に北京に行って、お母さんも安心できるし、二人も苦労しなくても良い、そんなことがまったく一石二鳥のようだ、彼女が就職などを考えなくてもよいと林平が嬉しく言ったら、彼女は表情が一変して、林平がそんな移り気を思ったが、こんな早く現れたと思わなかった、そうなると、もう話しあう必要もない、別れようとひどく彼女が言いつけた。そう言われると、林平は彼女の先の笑いもわざとしたことだとわかった。その時、彼はくつがえそうとしたが、彼女に断固と断られた、どうしても試練を乗り越えられない人に嫁がない、よくくつがえすものが大嫌いだと言われた。言い終わって行こうとした彼女を、泣きながら止めようとした、林平がビンタを強く張られた。顔にビンタの跡が残った林平がめまいした、気を取り戻したら、彼女も遠ざかっていた。

 正式に恋愛関係になる前に、彼女は林平にこう誓ってもらった、つまり彼の愛には何の条件もつかない、後悔しない、もちろん迷わずに彼女について新疆へ行く、もし林平が約束を潰したら、彼女が承諾を取り戻し、彼も付き纏わないことだ。林平はその誓いをしたが、まじめではなかった、恋愛中の女性みんなそうのようなゲームが好きだと思っていた。林平は相手のために考えるこそ、間違っていても、相手に許してもらえると思い込んでいたが、その子はそんなに頑固でまじめだと思わなかった。その時、彼の是正と関係なく、もう彼女からの許しを求める立場がなくなった、そのまま彼女が去って、彼のすべてを連れて行くことを見るほかならない。初恋の彼にとって、死ぬよりつらいだろう。

なぜそこまで発展してきたのと想像もしなかった、どう林平を慰めるのかを林江もわからなかった。話が詰まった林江は黙って林平のそばに夜明けまで付き添った。その夜の後、林平は病院に入院して、何日間かがずっと熱を出し、昏睡していた。看病に来たクラスメイトが多くいたが、その女の子がいなかった。本当に彼のことを愛しているのなら、絶対そうしない。やはり林平に対する感情が深くはないと林江は間接的に言ったら、林平から「おかしくないよ、元々そうじゃん。私はなにもの?彼女に愛されるところもないだろう、私に置き換えたら、そうするんだから…」林平はほぼ吼えている。そのようなわけがわからない話を聞いたら、戸惑っている林江もびっくりした。

 数日後、林平は退院した。もう数日後、大学で卒業就職案が発表された、結局、林平が北京へ、その女の子が新疆へ帰ることとなり、元々一緒にいた二人は別れ別れとなった。その前に、林江はかわりに林平の出願書をキャンセルしたが、林平は自分と関係ないように、それについてなにも聞かなかった。北京へ配属されると聞いて、林平は嬉しくも悲しくもしなかった、静かにその運命を受け入れ、林江について北京へ戻った。

 その経緯を知ったお母さんはとてもつらいだ。他人だったらよかったが、ちょうど彼女だ。林平のために代筆してくれた彼女がいたからこそ、親子の関係が取り戻された。その時から、お母さんは彼女のことを覚えた、そしてずっとはっきりと言えない好感を抱えている、いつもチャンスがあればぜひ報いると思っていたが、結局その二人の縁を取り壊したと思わなかった、悲しい。一方、お母さんと関係もないようだ、彼女は大都市に行きたくないから、それはしようがないことだ。しかし、彼女はどうしてそのような選択をしたのかが一番不思議だ。最初、彼女が林平との一般的じゃない関係を聞いたときに、お母さんも林江のように、彼女が他の目的があると思ったが、案外、自分の考えがぜんぜんつまらなかった、だから、林江のように、その珍しい彼女に深い敬意を持った。

 林平が持ち帰った写真から、お母さんは彼女の様子を見た。太っていなくて痩せていない、端麗とも言える、シンプルな衣装とスタイルと相性よく、見飽きない。でも、彼女の澄んだ目にはいつもうすい憂鬱さがあって、何かを言おうとするようで話をやめたようだ。最初、そのような純粋な子は林平とそんなことをやったのがありえないとお母さんは思っていた、それも必ず林平が勝手に作り出したことだ、目的は家族からの勧誘を止めたいのだ、実際は彼女は林平のことを好きになっていなかった、林平にいつも付き纏われているから、しようがなくて付き合ってみようとした、のちに彼女もいやになって、そして北京に来る気もなかったから、言い訳を作って林平を振ったのだ。お母さんはそう思っているが、林平を低く評価するわけではない、つまりそう思わないと、なかなか答えを見出せない。しかし、ある偶然のチャンスで、お母さんは林平の部屋を片付けているときに、まくらの下の敷布団から全裸の写真が入っている本を見つけた、その全裸の人は彼女だ。よその女だったら、お母さんは必ず林平をひどくしかるが、彼女だったので、かえってお母さんは芸術品を観賞するようにその写真を見つめていた。その写真でお母さんの仮説が覆された、自責を軽くするために彼女のことを間違いで認識することができなくなった。軽視できなくなるが、お母さんはやはりわからない、彼女も林平とそんな関係となっているから、どうして林平を離れるのか?それで結婚しにくくなると思わないのか?

 そのすべてで、お母さんは彼女に尋常ではないと感じた、また、その普通じゃない彼女が林平と似ているところが多いから、二人は普通の人に理解できない暗黙の了解を持っている。そうではないと、仲良しの二人は急に別れることがないだろう、ふられた林平は自分に対して深く責めているが、彼女に対して文句一つもないというのがないだろう。その二人はもしかして生れつきのカップルかもしれない。しかし…

 もしそのことを知っていたら、お母さんは必ず自ら武漢に行く。彼女と会って、彼女を北京へ連れてこようとする、最後まで頑張る。行かなかったら、お母さんは林平に新疆に行かせるかもしれない。いつの間にか、お母さんは頑固な彼女に完全な信頼感ができた、彼女が絶対に林平をいじめないと信じている。そのような彼女がいれば、林平は実父のような人生を歩かないだろう、苦しい生活かもしれないが、幸せだと林平が感じるだろう。そうなったら、お母さんとして安心できるが、しかし…

 だから今度こそ、お母さんは心から林平に申し訳ないと思った。北京に帰り、忘れようとしているかもしれないが、林平は再び彼女のことを話したことがない、そのことで再び自分を責めることもなかった。しかし、林平の幸せが自分に潰されたと思ったら、お母さんはの心がもっと重くなった。自分の間違いを補うためか、お母さんは昔に戻ったように、自分のすべてを尽くして、林平の機嫌を取ろうしている。しかし…

 林平は北京に戻った翌日、勤務先へ行った。それから、寮に住んでいる林平は仕事に励み、仕事のために家を忘れた。過度な努力で、元々やつれていた林平がもっと痩せていった。2ヶ月が過ぎ、林平は何か病気があるの?どうして勤務先でよく急に気を失うの?とお母さんが聞かれた。お母さんはそれを聞いて泣いたが、他人に昔のことも話せない、昔のことを話して林平にばれたら、さらに恨まれるから、お母さんはいっぱいの辛い思いを全部胸に顰めた。

 お母さんが林平を傷付けた、ひどく傷付けた。林平は黙っているが、心の中でもう再びお母さんのことを許さないから、家に帰りたがらないのだ。林平を家まで呼ぶたびに、事前に電話をしなければならない、そして前回の家帰りより半月以上が経たなければならないのだ、そうじゃないと、何を言っても、林平は必ず忙しいからだめだと言って電話を切る。半月が経っても、林平も家に帰りたがらないのだ、お母さんからお願いがなければ林平は帰らない。家に帰っても、話が少なく、聞かれたらテレビを見ながら軽く答えている。ご飯を食べて、もしテレビの内容が面白かったら、林平はすこし長くいるが、面白くなかったらすぐ家を出てしまう。前にお母さんから勤務先へ見に行きたいと言われたら、林平は命令を出したように母さんを行かせなかった。息子からそんな扱いされたら、お母さんは当然怒った、必ず行くと言ったら、「じゃ、いいよ、僕は4階から飛び降りるのを見に来てください、あれを見たら喜ぶだろうな」と林平があまり怒って言った。「林平よ、二人はきちんと話ができないの?いつも不満そうに。私はあなたのお母さんだよ、何か間違っても、あなたもこのような扱いできない!北京へ帰らせべきではなかった、でもそれも長く過ぎたから、あなたも…どうして私をいまでも許してくれないの?どうして私と距離を置いているの?どうしても、私のやることがすべてあなたのためですよ」とお母さんは泣きながら言った、涙がこぼされるようになった。でも、林平は黙って無言だ、表情も冷たい、それから、長い間、林平は言い訳をつけて旧正月まで家に帰らなかった。

 この一年間余を経て、林平は心にある不満が多少消えてきたようだ。家に長くいないし、話も少ないが、時々誘わなくても自ら家に帰ったりしている。

 その日、林平は家に帰った、テレビを少し見たら、内容が面白くないか、ポケットから写真数枚を取り出し、黙々と見ていた。林平はそのまま見て、楽しんでいる。お母さんは好奇心を抑えられなくて、林平の後ろまで回って、こっそりと見たら、女の子の写真だった。

「綺麗ですね」と思っていたら、ついつい声を出してしまった。あまりびっくりした林平を見て、お母さんは自分が夢中となったのに気付いた。林平は怒るかもしれないと思って、お母さんは緊張し始めた。しかし、今回は林平はお母さんを見て、また写真に目を移した。その反応を受けて、お母さんはあえてその女はだれかを聞いた。林平は写真を収めて、お母さんを見てしばらくしたら、「あのう、本当に知りたいですか?」と笑いだした。

 その子は楊小菊というのだ、中学校から高校まで林平とはずっとクラスメイトで、大学までも行っている、北京と遠く離れていない医科大学で医学を勉強している。彼女は高校卒業して2年目になって大学に受かり、しかも医科大学が5年制で、彼女はまだ大学で勉強している、来年の夏に卒業する予定だ。

 「彼女よ、もしかして将来の嫁さんになるかもしれないよ」と林平はニコッと言った。自然に嬉しく笑っている。そのような笑いが久しぶりだった。

 「ほんとう?そうなると、我が家に医者さんがいるのだ」とお母さんはあまりに喜んで言った。

お母さんは当然喜ぶのだ。女の子は綺麗だし、大学生だし、いい条件だ。また、彼女がいて、もう一面で、林平は昔の影から出てきた証だ、それもお母さんがずっと期待していたのだ。林平はまた元気を取り戻したのを見て、お母さんも落ち着いて嬉しいだ。

 1ヶ月余が経ち、林平は楊小菊を家まで連れてきた。長髪、スタイルが良い、顔の肌が白い、薄い眉、初々しく、純粋で優しそうな子だ、もっと嬉しくなったお母さんは自分がどうすればよいかをわからなくなった。

 その時から、仕事で野外へ行かないかぎり、林平はよく家に帰っている、週末のほうが多い、そして楊小菊もよくついていた。二人は家でも離れたことがない。家に帰ったら、あまり話しがしていないうちに、楊小菊を自分の部屋へ連れ込んで、食事の時間になったら、呼ばれないと出てこなかった。二人は一緒にダンスに行ったり、映画を見に行ったりして、夜中まで十分楽しんでから家に帰る。将来の嫁さんの実家が北京じゃないので、北京に来るたび良く親戚を邪魔することも恥ずかしがっていて、やむを得ず林平の家に泊まることにした。最初は彼女が林平の部屋に泊まり、林平がリビングルームで寝ていたが、数回後、二人は黙々と一緒に寝るようになった。その進展がお母さんの想像を超えた、二人は恋人になって短くもないようだ、だまされているお母さんは林平がずっと昔の悲しい気分にいたと思っていた。でも、どうしても、林平は過去を忘れられるこそ、お母さんは安心するのだ。

 しかし、恋に落ちたと言っても、林平は昔のようではなくなった。ある意味で、このときの林平は家をただで泊まれ、無料食事できるホテルだと思って、便利さを求めて帰っているのだ、家の事情はすべてを無視して、元々話しが少ない林平は話しを楊小菊に言い尽くしたように家での話がもっと少なくなっている。時々お母さんも楊小菊に対して少し嫉妬心もできているかもしれない。長きに亘った乏しい感情交流で、どんどん、お母さんは林平と会っても何を話したらよいのかをわからなくなった。ただお母さんとして食事を作って、部屋を片付けてあげている。常に自分がまるで家政婦のようになっていると感じている。でも、よく林平と会えて、憂鬱でない林平を見るだけで、お母さんも嬉しくなっている。心からその二人のために動きたい、そのこともお母さん生れつきの義務だと思っている。お母さんはその二人の悪口をぜんぜんしない、それだけでなく、二人のために言い訳を作っている。だから、林海は時々「林平を甘やかしすぎ」と言っているのもおかしくないのだ。

 しかし、楊小菊がすべてを林平に捧げたが、林平があまりありがたがっていなく、楊のこともあまり気にしていないようだとお母さんはすぐ気付いた。話し合わなかったすぐ林平は眉を顰めたり、のちに家族の前に彼女を叱ったりする。お母さんに一番わかりにくいのが、楊小菊はそれを我慢でき、林平が怒って自分の部屋へ戻ったら、楊小菊はいつもおっかけて、解決しようとした。自分の部屋で性格が悪い林平はまたどんな感情に傷付きそうな話をするのかわからないが、楊小菊の泣き声から時に彼女がとても悲しくなっているとわかる。お母さんはそのままではどんないい女でも耐えられなくなると思っているが、怖くて林平にはっきり言えなかった。

 去年の夏、北京で中学校、高校を読んだが、北京の戸籍を持っていない楊小菊は大学卒業の時、林江や林海、林平のクラスメイトに助けてもらい、ようやく北京に入った。勤務先の病院が郊外にあるが、林平の勤務先と遠く離れていない、直通バスもある。その時の楊小菊はとても感激している、お母さんも今のうちに、早く結婚してもらいたいのだ。でも今勤務先から住まいをもらっていないから、もう少し待っておこうと林平は言った、それでまた1年間余が過ぎた。その1年の間、林平は家に帰るこもがどんどん減っていった、楊小菊とのトラブルがどんどん増えた、結局、二人は家に居る時、ほぼトラブルが起こっている、毎回もほぼ林平が挑んだのだ。ほんの少しだけ話をしたら、林平はすぐ怒り出し、いつかその悪い性格を変えれば良いのに。

 前回、つまり一ヶ月前、林平の部屋で、二人は激しい喧嘩が起こった。どちらも譲らなくて、結局二人とも泣いた。のちに、林平は出て行け、行きたいところに出て行け、もう二度と会いたくないと楊小菊に言いつけた。楊小菊も泣いて、出て行ってもいいよ、たいしたことじゃないと言い返した。結局二人もご飯を食べず、相次いで家を出て行った。

 その夜、お母さんは眠れなかった。翌日、勤務時間になったら、お母さんは耐えれず楊小菊に電話した。お母さんもすでに楊小菊をよそ者扱いしていない、電話して楊に二人の間に何かがあったかを聞きたかっただけだ。しかし、病院の同僚は楊小菊が先ほど一ヶ月の休暇を取って、もう河北にある実家に帰ったと教えてくれた。しようがないお母さんは林平に電話した、楊小菊が休暇を取ったことや昨晩どうしてそんなに激しく喧嘩したのかを聞いた、電話の向こう側の林平はたいしたことじゃない、もうすぐ過ぎちゃう、母さんが安心してねと言った。また、何かを思いついたように、林平はもうすぐ年末だから、今参加しているプロジェクトは納期が繰り上げられて、よく残業しないといけなくなったから、忙しくてしばらく家に帰れない、電話もしないでくれ、僕はタイミングを見て家を帰るからと言った。

「どうしても、菊ちゃんに良い扱いしてあげてね」とお母さんは不安そうに言った。

 「母さん安心して、何をやりべきなのかをわかっている、よくしてあげるから」と林平は言っているが、落ち着きすぎるようだ。

 その話を聞いて、お母さんはすこし安心した。電話を切ったら、林平の話を思い出して、なんかおかしいと思った。数日後、お母さんはやはり耐え切れず林平に電話した。林平も煩わしさに耐えれなかった、最近は家に帰れないのが本当に仕事が忙しいから、信じてくれなかったら、担当の雷さんに聞いてください、また楊小菊はまだ北京に戻っていない、一人で家に帰っても意味がないと言った。それに対して、お母さんはまた何も言えなくなった、雷さんのところから林平が確かに忙しいと知って、お母さんも再び林平を邪魔しなかった。

しかし、お母さんは思いつかなかったのが、半月後の今日、日曜日でも休日でもないのに、そんな時間に、林平は幽霊のように現れてきた、彼はどうしたの?どうして家の玄関の外に立って入ってこないの?こっそりといるのもなぜだろう?楊小菊は?どうしてついてきてないの?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ