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弱者の天国  作者: JCN
第1章 怪しい青年
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第1節 彼女からの手紙

北京。1988年10月下旬にある日。晴れ、時々雲。

朝、いつものように、職場の食堂が閉まる直前、林平が駆けつけてきた。

まだ夢からはっきり蘇えてきていないように、あくびし続けた。昨晩また遅く寝て、遅く起きたのようだが、起きたばかりで朝食に駆けつけた可能性が高い。

二十四五歳の彼は青春の美しい歳月にいて、自分のことを気にしていないが、すらりとした体つきがプロポーション整っているから、何の服を着ても厳選されたように独特な洒脱さがある。顔つきもよく、少しだけひそめた眉、二重まぶた、高い鼻、突っ込んだ頬、白い肌……薄めな憂い悲しさが生まれつきの如き、ぱっと見ればすっきりとして、古い油絵の中に出た軍馬に乗っているプリンスが静かな草原に現れているようで、同じ年齢の女子はじめて彼と会えば、いつも心が打たれ、親しみに感じ、どこかで会ったことがあるように思う。

朝食を持って、他人のようにテーブルや寮に戻って食べることをぜず、事務室に行って、ひとりで事務机の上でゆっくりと食べる。食事後、ようやく睡眠状態から蘇えたように、急いで皿洗いするついでに洗面器をも洗い、ボイラ室へ行きお湯を汲んでから、地面掃除、机掃除……それらを済ませて、ちょうど出勤時刻となる。もしその時窓に目を向ければ、出勤の人々は三々五々違う道から急いだりゆっくりしたりやってくる。間もなく、静かなビルの中は様々な音が入ってきて大きくなり、それは新しい勤務日のスタートを意味している。

その時、林平は頭を下げて思う。それも彼が独特な習慣だ。仕事が始まる前によくそうしているが、やりべきな仕事が多く、やってもやりきれないから、仕事の前に、一日のスケジュールとやり方などを考える。今日は彼の仕事対象はマップテーブルに置かれている地質図だ。直属上司及び分隊の技術担当はシニアエンジニアの雷傑明は午前中に会議で、午後に戻ってこればまずその地質図を審査すると言っていた。2ヶ月以上を繰り上げ、年末までその地質調査報告を審査すると所属局から明確な指示があった。その地質図以外、報告書の作成がまだ始まっていないので、どうしても今日中に地質図を完成させようと上司と昨日退勤の前に約束した。

 昨晩遅くまで残業して、今はたっぷり余裕があるのだ。今日は未完成の図面を作るのもそんなに時間がかからないし、残りはチェックと修飾だけ。上司は完成した地質図を見たら、必ずその綺麗さ、正確さにびっくりすると思ったら、林平は安心そうな微笑みが浮かんできた。

 30分が立つ……

 「林平さん、手紙だよ」

 体がマップテーブルにくっついた林平はまじめにテクニカルペンで図面に画いていた。呼び声を聞き、自分のことが呼ばれているかどうかを確認できない、ペンを止めたら見難いしみができるから、曲線を全部画き終わるまで止めるわけにはいかなかった。いい加減に答えながら、耳を澄まして呼び声の続きを待っていた。しばらく経って線が終わっても、なんの様子もなく、あやしいなと思って頭を上げたら、誰もそばにいなかった。事務室の向こうには人影がいるが、それは子供もできた女性の同僚たちが世間話をしていて、誰もこっちに向いてこなかった。

 「あれっ、どうしたの?」とつぶやき、幻覚があったかと思ったやいなや、林平はぼおっとなった。マップテーブルの上にある手紙を見つけ、その筆跡からすぐ差出人をわかった、それは公開した彼女、婚約者の楊小菊だった。

 彼は驚きの極まりで、しばらくしてようやく目が覚めた。その手紙を取るときに、体が震え、顔にあせが滲んできた。

 手紙の内容はこうだ


林平:

 親愛たる人!あなたのことをもう一回そう呼ばせてください。

 最近、どこにいるの?なぜ私に会いに来ないの?なぜ黙るの?こんなに人情を絶ったのは一体なぜなの?もしかしてそのすべてはあなたが話したように、もう私のことを構ってくれないの?……人生の十字路に立ち、彷徨っている時に、あなたのような血で繋がらない親戚のような人に助けてもらいたかったのよ!しかし、また私を失望させた!今度こそ、最後のホープのライトが消えたら、あなたに幻想を持たなくなった、挽回できない選択で分かれた私たちは将来に夢で会うしかないかも。

 林平よ、私今の気持ちを永遠に理解できないだろう。あなたに別れを告げるのが怖い、手紙を書くのも怖い、静かな風が遥かに消えていくようにそのまま去っていきたかったけど、しかし……

 林平よ、この手紙を見たときに、私も北京を離れ、祖国を離れている、異国へ行く海の上を飛んでいる。私は結婚したの、外国人に嫁いだ、20歳近くも年上の、奥さんをなくした、生育能力のないオーストラリアの農場主に、目立たないが全身に毛だらけのおっさんに。

 それは私の将来だ、悲しく思わないわけがないだろう?!自分が選んだことだけど、泣き続けていた、朝から晩まで、夜中まで。絶えない涙がレターペーパーに滲んでいた、今でも私は落ち着かない。真っ黒の夜に、まわりが静かだ、深い淵に落ちたようだ。昔の光景が現れ続け、痺れた頭は今真っ白だ。今までない孤独感に包まれ、息苦しくなりそう。

 どこに行きたい?どうして自分を裏切った?こうしたこそ本当の幸せに辿り着ける?って誰かにずっと聞かれているようだ。

 そのすべてに対して答えられない。そのすべてに彷徨われている。霧に落ち込まれたように混沌しか見えない、寒さしか感じない、濃霧の中にかすかな幻は寄ってくる死神だろうか?……

 私はそろそろ死ぬかもしれない、もしかして死んでいるかもしれない。それは賭け事に違いない、私のすべてを賭けてる。しかし一体何をもらえるだろう、誰かに知られるだろう?ふるさとを離れ、遥かな未知な世界に辿り着き、付き添ってくれる親しい人がいない、苦労したら、可哀想がってくれる人もいない、話す相手もいない。だから、私は怖いと思っているの。別れの時に自分の過去に戻りたく、昔のことを思い出したら、林平兄さんのことを思い出すよ。

 林平よ、時間が後戻しできれば、なくなった少年時代へ戻れば良いのに。

その時、あなたはクラスひいて学年で成績が一番よかった、頭が良くて幼い頃から先生に好かれて、甘やかされてきた。プライドが高く、平凡な私たちを無視していた。私たちのことを見くびっていたが、私たちは裏であなたのことを見ていた、特にクラスの成績優秀な女子学生たち、その中に私もいた。私たちを無差別にバカにしていたから、私たちは話しあうときによくあなたの悪口をしていた。成績が良いくせに、懸命に勉強姿を見せていなかった、授業中にも落ち着いていなかったのを忘れられないのだ。教科書の以外にも天文や地理などを多く知っている。知識と関係あることについてなんでも語れていて、自信があって悠々としていた。それに面白くて、嬉しい時に話す冗談話が私たちを爆笑させていた……思ったとおりに反して揶揄したアクセントであなたのことを話し合っている、しかしあなたは聡明、傲慢、洒脱が生れつきのようだった、神様にいただいたハンサムな顔に、少女の心が引かれ、私たちにとって白馬の王子だった。いつの間にか、笑うようで笑っていない表情で私を見ていた時に、私は本当にどきどきしていた。夜になると、夢の中にもあなたのことが多かった。その時に、なぜ私に特別な態度があるのかをわからなかった、その紛らわしい態度を巡って、思春期にいた私は多くの煩悩を抱えていた。

 私は忘れない、高校卒業の春に、ある日、隣に座っていた私と古文について話す時に、なんらかのきっかけで、盛り上がっていたあなたは突然頭を下げ、ひっそりと綺麗で、「天仙配」にいる仙女のようだ、よければ、一生の董郎になりたいとあなたが呟いた。まわりのクラスメートに聞かれるのが怖いから、すぐ表情を沈ませ、ふざけるなとひどく言いつけたが、しかし、実は心の中でその話を待っていた。その時はあまりひどく言いすぎたせいで、自尊心を傷つけられたあなたはそれから私に話しをしてくれなかった。高校卒業後、もちろん連絡を絶った。それで何度か心を痛めた、あなたが勝手にふざけることをしないと知っているのに、あなたを傷つけた自分を恨んでいた……

 林平よ、その時、あなたは魅力的だった。

 しかし、大学卒業後、あなたは北京に戻って、結局私と一緒になった。しかし、あなたが変わったことにだんだん気づいた、あなたは落ち込んで、冷淡、鈍感、頑固になった、昔の可愛いあなたが消えた。あなたに私のこともこう言われた、純朴、単純、自分なりの意見を失い、他人と比べながら生活している、他人が持っているものがほしがる、人生のすべての意味は他人との競争にあるようだ。

 言った通りだ!私は確かに変わった、実生活で現実を向かされた。いかにしても、女だから、女の生活はどうにもならない、気持ちよく生活していきたいのが当然だ。まわりの女性をよく見てください、全員そうだろう、まったく彼女たちのせいじゃないじゃないか?あなたは現実に向き合いたくない、なんだかんだダメだと思って、早く移り変わっている世界に不満だらけのようだった。20代なのに、どうしてそんなに落ち込んでいるの?どうして他人のお金を見ても羨ましくないの?自分でもっと多くのお金を稼ぐのが男らしいだから。あなたはクレーム以外何ができるの?朝早くから夜遅くまで、仕事に没頭していたのに、給料は屋台で卵の茶葉煮を販売するよりも少ない。あなたは結局我慢するのを選んだ。あなたにはチャンスがないわけじゃないから、あなたの能力で新しい環境に適するのには難しくない。でもあなたは自分の考えを変えない、自分の社会価値を実現するにはプロのチームにいないといけないと言い張っている。他人が聞いたら、教条主義や本の虫と言いつけちゃうに違いないだろう。あなたは貧乏でいいと思ってもいいのだが、私にもいわゆる気骨のために同じ貧乏にさせたいわけにはいかないだろう。今の人々はお金のために奔走する目的もいい生活をしたいだ。あなたにとって、お金は両手を汚すもののようだ。ものを買うとき、一銭が足りなくてもならない。結婚しようと言っているのに、お金は?お金がないくせに、他人からの援助も拒否している、自分で問題を解決するとか言って、まさか私は貧乏でボケているバカに嫁ぐのか?……林平よ、なんと言ったらいいのかよ。仕事・勉強で頭が良く、神様に恵まれているけど、社会の現実の中、人との付き合いが幼いだ、生活を理解していない、また成長していない赤ちゃんのようだ。(もう一回傷つけてごめんなさい、あなたのためだから)

 昔に私も単純だった、良い人が報われると信じていた。就職したら、その言い方は無能力者が自分を慰める言い訳だとわかった。同僚の中に、多くの友達は良いものを食べて、おしゃれな服を着て、よく遊んで、自由自在な生活を送っている、お母さんになっているのに愛嬌があるのはなぜだと思う?はっきり言えば、よく設ける旦那がいるからだ。彼女たちのわがままに耐えられない、自分がそんなに高い期待がないが、そこそこの生活を送りたいのよ、それこそくれないの。

 幼いときに、外の世界は歌が歌われるようにサンシャインと暖かさに満ちていると思い込んでいた。大人になったら、そうでもないと気づいた。生活はいつも眉を顰めている、特に社会に出たばかりの平凡人に、いい生活を求めるなら代価を付しないといけない、失ったらまた戻らない。この物欲に満ちた世界で、真心で付き合ってくれる人がいない、苦境に陥っても、他人の笑い話だけとなる。顧ることさえしたくない苦境で元々持っていた夢が潰された、さらに覚悟した、以前の単純を捨てた。人より一段劣った生活を送りたくない、正直げで同情まじった賞賛に耐えられなくなった。同僚たちより綺麗でよく知識を持つ私はどんな面でも優れているのに、どうして貧困な生活を送らなければならないの?それを納得できない。

 あなたのことを本当に愛していた。その愛があるから、どんなに苦労しても一緒に暮らしたいと思った。しかし、あなたはその感情を理解してくれなかった。現実を向いて昔のように才能を発揮してもらおうと進められたときに、黙ったままにいたり、嫌そうな顔したり、怒ったりしたあなたは、「ラブストーリー中毒で金持ちと離れたら生活できなくなるや貧乏に耐えられなく自分の良心を売ろうとしている」等などと言いつけた……

 私は心を痛めている。なぜそうしてくれるの?だんだん、あなたにとって、私は徐々に汚くなっていく水のようだ、金銭や権力、行楽を貪欲に求めようとしているように見られるが、しかし、私は何を得たの?ただ現実的になったのだ。社会の暗闇に耐えられないけど、私に映そうとしてはいけない。自らの行動でモデルを示して皆そうすれば、社会が進歩していくとあなたは言っていたけど、それが正しいとすれば、どうしようもないだろう。二人が変わってきても十数億人の中たったの二人だから。すべてのすべては不満に過ぎない。今の80年代は改革開放の年代だ、古いライフスタイルが潰され、頑固な人が少なくなっていく。あなたは50年代古い人間のようで、時代遅れになるのが決まっている。お高くとまって、汚い濁流と一緒になりたくないから、現実を逃れようとしている。自分を封じ込んだ、傲慢や俗離れを見せているけど、どんどん行き詰まり、結局悲しい結末となるほかならない。今のあなたはどうして元気に欠けているのかを理解できない。その経緯を知らない友人から首ったけだと言われているけど、あなたからないがしろにされている。実際の苦情を言えないよ、一生それに耐えないといけないだろうか。

 あなたは私をバカにしている。実は私も自分を軽蔑している。あなたの理解と愛をもらえなく、心が悲しいのだ。昔に顧れば、いわゆる純情、初恋のために私は多くのものを失った。だから、補償をもらう。純粋な愛がないなら、お金がないといけない、十万、百万、多ければ多いほどがいい。だから、彼女たちに羨ましがられ、嫉妬されながら、海外へ嫁ぎ、あまり知らない外国人に嫁うだ。そのすべては良い生活を送りたいためだ。多くの人々から金持ちの白人に好かれラッキーだと思われているけど、自分の胸に潜めた絶望を神様はしかしらないだろう。

 林平よ、もう行く。仕方なく涙を流しながら行っちゃったのを覚えてください。なんと言っても、あなたに申し訳ない。なんと言っても、あなたはまれな良い人なんだ、善良、表裏一体、良知に富み、責任感が強く、正直、理想を追求して、国・民族の発展のために自己犠牲ができる……私にすでに失望している、あなたの良い条件で私よりもっと良い人とめぐり合えると思うの。あなたは我慢することも私を刺激したくないためだ。よく私を叱ったり説教したりするのも私のためだ、堕落してほしくなかったのだ。あなたにとって、私は恋人ばかりじゃない、昔のクラスデスクの隣同士、幼馴染でもある。私を親しい人、かわいがる妹と見なしている。そのすべては、何回も私を感動させた。しかし、残念ながら、今の社会はそれを必要としていない。林平よ、あなたのために泣いている。

 私は小人だ、許してくれるのを期待していない、しかし、私のことをそこまで悪く思わないでください。昔のよしみを思って、とことん私のことを叱り、生れつきのように思うというような手紙を出さないでください。私はそのメンタル上の苦痛にも耐えられない。

 異国の世界に、孤独な私は自分の過去を忘れられない。昔のことの中であなたのことをよく思い出す。長きにわたって、あなたは私の精神を支配していた、私とともに、一番すばらしく忘れがたい時間を過ごした。そんなあなたは私にとって最も親しい人というのが変わらない。あなたの許しをもらうこそ、自分の気持ちを落ち着かせる。どこに行っても、あなたのことを忘れられない。死ぬ日にも、「林平」の名前を呼びかけるのを信じている。私の幼馴染、クラスの隣同士、初恋の恋人、また……今一つだけ喜ぶべきなのはあなたと一緒にいたことだ、夫妻じゃなかったけど、暖かかった。そのすべての美しいメモリーを胸に潜めて、それも私将来の人生を支えてくれる唯一のことだ。心からあなたのために祈っている、神様にあなたの幸せな未来を願っている。

 もしかして、違う世界、或いは天国ではそんな悲劇がないだろう。残念ながら、私たちはまだ生きている、特に私はもう嵐を体験したい、家の猫みたいにいたいのだ。

 しかし、どうしても、あなたは私の永遠たる愛なのだ。どうなっていても、よそ者を見なさない。もし海外に行かなかったら、私は他人妻になっても、いつでもあなたのために部屋のドアが開いている。あなたは私唯一の愛だ、私の過去のすべてを有している。ハンサムな顔、優れた才能を持っている、あなたの笑顔でこそ、私がすべてを忘れてしまう、あなたに抱かれるこそ、本当に愛されて幸せな気持ちを感じられる。社会を裏切ってもあなたに情を絶ちたくない。しかし……

 もしかして、これから会えなくなるかもしれない。それでは、さようなら、林平よ、私の良いお兄さん。

 妹:菊ちゃん 泣きながら書した

1988年×月×日


可哀想なお兄さんは手紙を見て、いつの間にか涙をこぼした。周りの人に気づかれないように、壁に向かった、山の泉のように涙がこぼれてきた。泣き声を出さないように懸命に口を詰めようとしている、何回か窒息のようだった。最後、どこかから出てきたくれないの血が手の甲に流れた。

ゆっくりと読んでいたが、それでも、よく読み止めていた。疲れ果てた彼は息をする気力さえなくなった。

手紙を読み終わって、長く立ったら、壁に向かってじっとしている、どんどん真っ白となっていく顔に世間すべての寂しさを凝らしているようだ。

徐々に、すでに現実を忘れ、別世界にいたようで、そこに声もサンシャインも時間も考えもなく、ただあるのが暗さと寒さなのだ、彼はゆっくりと目を閉じて、眠るようになった。

「はっはっはっ」

急に起きた笑い声に目ざまされた。世間話をしている3人女が興奮していた。彼のことに気付かなかったが、彼はそのままいられなくなった、自分のことを笑われているようだったから。すこし考えて、手紙をポケットに入れ、こっそりと身を起こし、ゆっくりと外に出た。最初、自分をコントロールできていたが、どんどん足が速くなり、結局走って部屋を出た。

走って走って走り続けた。倒れて立ち直って、また倒れて立ち直る。もう道がなくなる、でも彼は振り替えない、胸に一つの思いだけがある、それは紅葉に染められ雲のようになっている山頂に登ることだ。そのため、険しい山小路を忘れ、イバラに刺された痛みを無視している。

ようやく、山頂までたどり着いたが、立ち上がれない。岩に倒れ、振り返ってみると広い北京は遥かなようになっていた、薄い灰色の霧の中で、高いビルだけを日差しでかすかに見えていて、奇妙な光沢と色彩を呈している、巨大船が水面上に浮かんできているようだ。

彼はボウとみて、壮麗な風景に驚かされている。

いくら時間が立ったかわからないが、急に目が覚めて、頑張って立ち直った、手紙を取り出して、引き裂き、ぱっと投げた。

バラバラとなった紙屑が空に飛びまわり、風に吹かれ、どんどん散ってゆき、山下に飛んでいった。

 「バカヤロー、バカヤロー、全員バカヤロー」

 最後一枚の紙屑が山野に消えたら、彼は急にこぶしを振って、狂って大きな声で叫んで、地面に気を失ったように倒れ、号泣した。



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