表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
2/90

2 農民が来た

「うひゃぁ!!」


草を摘み取っていたら突然上空から落ちてきた物体に悲鳴を上げるルックさん。


「た、たすけぇ……」


頭部をスライムに包み込まれたルックさんの手足が暫くバタバタと動いていたが、最後痙攣したかと思うと急におとなしくなった。


スライムさんお見事です。

スライムは時間をかけてルックさんを消化するようだ。

スライムは透明だから中の様子が見えて…消化される時に泡だってるのがグロい。

生々しい光景だ。

1時間ほどで骨までしっかり分解したようだ、草を摘み取っていた小さな小刀だけがスライムから吐き出された。

吐き出された小刀がダンジョンに沈んでいくと選択肢が出た。


「小刀」

<設置>

<合成>

<熟成>

<賭>


<設置>←

「ピコッ」


とりあえず、ダンジョン中央に設置してみると、土塁が出来た。

宝箱とかじゃないようだ…きっとこの土塁の中に小刀あるんだろうが、ありがたみがなぁ。


ルックさんが天に召されると共にかなりの量のDPが流れ込んできた。


ダンジョンを40m拡張

スライム10匹召喚

草を10㎡配置


ルックさんのお陰で急速にダンジョン内が賑やかになりました。

ルックさんありがとう。




翌日。

1匹2匹3、ん?

なんかスライムが少し増えてる。

今日は一日スライムの観察を草を設置しながらしていた。

ちなみに、昨日ルックさんが摘み取っていた場所もすっかり草が生い茂ってくれている。

凄い生命力のある草なのか、ダンジョンの恩恵なのか?


いくつか分かった事は、どうやら彼らに雌雄は無い。

何組かの集団で固まって移動している。

草を食んで一定以上の大きさに育つと分裂して2匹に増える。

草をダンジョンの最奥にまで設置したところスライムの行動範囲も入り口から最奥までと広くなった。

ダンジョンにわき道をいくつか作ったところ、草の無い脇道には入らない。

食物を嗅ぎ分ける嗅覚のようなものがあるっぽい。




翌日。

早朝に町人が来た。


農民 リム


いかにも農民という風貌の男が入ってきた。

手は農作業に明け暮れた逞しくもゴツゴツした手。

日差しにも負けない麦藁帽。

朴訥とした人相が人の良さを現している。


前回は、良く考えずにルックさんの命を奪ってしまったけど、今回は一度たっぷりと草を摘み取ってもらって帰ってもらおうと思っている。

生えている草が町人達にとってルックさんの言っていたように「薬草」足り得るならば、持ち帰ってもらえれば、その品質次第では偶然通りかかった町人をポツポツと養分にしていくよりも、かなり効率良く町人を呼び寄せる事が出来るんじゃなかろうか?



「こりゃぁぶったまげた!随分といぺぇ薬草が生えてるでねぇかぁ!」


ずかずかと洞窟内に入ってくるリム氏。

ぶちっと草を引っこ抜くといきなり口に突っ込んだ。


「ふむ。これはちょっと…」


ん?駄目なのか?


ぶちっ。もぐ。ぶちっ。もぐ。

なんかスライムばりに草を食べまくるリム氏。


「薬草っていうよりも食用でも十分通用する最上級の草でねぇか!」


ぶちっ。もぐ。ぶちっ。もぐ。ぶちっ。もぐ。ぶちっ。もぐ。

農民の方のお墨付きいただきました!

オラオラオラ。

設置しまくったるよ。

なんか嬉しくなって、洞窟内にビッチリと草を設置。

スライム達も大はしゃぎです。

入り口付近に近づきそうなスライム達は、ダンジョン奥にテレポートさせながらリム氏を観察していると、一通り食べきったのか、今度は摘み取り始めた。


「こりゃぁ、サルシュの旦那が喜んでくれるぞ」


満面の笑みで草を摘み取りまくるリム氏。

サルシュさんって人に宣伝してれそうだな。

そこから噂として大きく広がってくれればありがたい。

大量の草を摘み取って洞窟から出て行くリム氏の背中をドキドキワクワクの気持ちで見送った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ