危機管理能力は人一倍です。
「というわけで屋上だよ!」
「何がどういうわけで屋上なのかさっぱりわかりませんね。これしきの説明も満足にできないなんてあなたの存在意義を問わずにはいられません。」
「いきなりひどいな!」
何がどういうわけでこうなったのな補足すると、一向に呼び出しに応じない彼にしびれを切らした燐音が無理矢理引っ張ってきたのである。
彼は紳士的に激しく抵抗したが、途中で思い直し比較的素直に付き従って来た。
いい加減おつむの足りない彼女の遊びには付き合いきれなくなってきたのだ。
屋上なら不慮の事故があっても自然ですしね、と溜め息を吐き出し、彼女に向き直る。
「それで、何の用ですか。簡潔にお答えください。」
「…なーんか冷たくない?私の扱い酷くない?」
「今に始まったことではないでしょう。いいから早く話してください。私はあなたの要件を聞く必要なんて無いんですからね。今こうしてあなたと向かい合っているだけで御の字ですよ。」
「…!ぐぅっ…いつもならここで言い返すとこだけどね、今日はそうはいかないんだから!」
「言い返したところで言い負かされてますけどね。 」
「五月蝿いなもう!君がいっつもいっつも混ぜっ返すから話が進まないんだよ!?自重してよ!」
そう怒鳴られ、青年は不服そうに口をつぐみ先をうながした。
「さて、これで話ができるね。」
ぽん、と両手を合わせると燐音は語り始めた。
「あのさぁ、君は私のことどう思ってる?」
「物凄くはた迷惑で姦しいと思いますね。」
「そういうことじゃなくて!…私のこと、普通の人間だと思ってる?」
この言葉を聞いた彼は怪訝そうに眉を潜めた。
「うん、疑うのも仕方ないよね。でも、今から話すことは全部本当だよ!信じて!」
そして一呼吸おくと少女は口を開いた。
「もう解ってると思うけど、私は君たちとは違うの。そう…私は、実は神様なの!ただの神様じゃなくて、幸せの神様。私の目的は皆を幸せにすること。そのためには君の協力が必要なんだよ!!!」
力強く言い切って彼女は青年を振り返る。
そこには既に青年の姿は無く、菓子袋がカサカサと音をたてて通り過ぎていった。
プロットがないって大変ですね…。