そろそろ見飽きてきましたね。
「放課後、体育館裏に来てください!お話ししたいことがあるんです。絶対来てくださいね、ずぅっと待ってますから!」
これが彼の受け取った、所謂ラブレターの内容だった。
彼は顔の造形が整っていて、さらには運動、勉強何でも一位という何だそれ漫画かこの野郎というスペックだったので、当然ラブレターを貰ったのはこれが初めてではない。ぶっちゃけた話、訊いた者の口が塞がらないほどの枚数貰っている彼にとっては、ああまたラブレターですか、という全国の男子高校生を敵にまわすような感想しか抱けないものであった。
ちなみに彼の受け取った総ラブレター数は、夢に溢れる青年たちの心の衛生保険上伏せておきたいと思う。
さて、このような愛の告白を受けた時、常の彼であったのなら丁重に断りに―第二話を参照していただきたい―呼び出しに応じるのだが、この時は何故か嫌な予感がした。こういう予感は当たるものだ。自分の本能に従った方がいいと知っていた彼は、手早く荷物をまとめ。
早々と家に帰ったのであった。
「なんで来てくれなかったの!?私月が沈むまで待ってたんだよ!?というか今日は体育館裏からの登校だよ!」
「やはりあなたでしたか。あと汚いので近寄らないでください。」
翌日、このやり取りをしながら、自分の予感は正確だったらしいと彼は思うのであった。
しかし結局面倒なことになってしまったのは変わりなく、役に立ったかどうかはまた別の話である。
更新再開です。なかなか進まないのは彼のおかげです。