分別は重要です。
今日という日が厄日であり、得体の知れない少女に捕まったはずの彼は、遅刻することもなく学校にいた。その周りには少女の姿は見えない。
それもそのはず、彼は自分の腕にしがみつくいたいけな女子にボディブローをかまし、更に気を失った彼女をゴミステーションに遺棄してきたのだった。ご丁寧にカラス避けのネットまでかけて。
まさに鬼の所業である。
今日は生ゴミの日でよかったです、
と一人言を呟き鞄から教科書などの類いを取り出す。罪悪感など微塵も感じないその様子には、見習うべき所があるかもしれない。
「おーい、お前ら席つけー。いつまではしゃいでんだー。」
ざわめく朝の教室に入ってきた教師の姿に、口は閉じないながらも皆そそくさと席につく。青年は窓際の前から四番目、という、暇になったら外のつまらない風景をながめられる平凡な場所だった。
ちなみにこの教室の机は縦に七席、横に六列並んでいて、廊下側の二列は六席になっている。完璧に余談であるが。
ちなみに今入ってきた教師は我等が二年一組の担任である吉田 一彰先生である。名字は"よした"であって決して"よしだ"ではないため職場では"だ"じゃなくて"た"ですよ、とアピールしているのだがいつも、よしだ、と呼ばれて苛々している。余談である。
「さて、お前ら。今日は転校生を紹介するぞ。」
「せんせぇ、カッコいいですかあー?」
「うるせぇ黙れ。女だよ。」
「マジで!テンション上がったぁー!」
にわかに騒ぎ出すクラスメイトたちを横目に見る。そんなような話を聞いていた気もするが、そもそも誰が来ようと青年には関係ない話であった。
「転校生の檜垣 燐音です!皆さんよろしく」
入ってくるのが彼女でなければ。
短くてすいません。
人の名前って難しいですよね。読み方わかんないです。