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忘れてしまった約束に
何もない空間に、君と二人。
眩しいほどに明るいはずなのに、君の顔を見ることはできない。君は笑っている?泣いている?それすらわからなかった。
君は、誰?
言葉はしかし音になることはなかった。
彼女が口を開くと、透き通った音色がこぼれだす。
「―から、ほんとに嬉しかったんだ。」
「ありがとう。」
「ねぇ、」
「私のこと、忘れないでね。」
「また、会える?」
「―約束だよ、 。」
あの時、何と返事したのだったろうか。
真っ白なシーツの上で目をさました。二、三回瞬くと目覚まし時計を手に取った。午前四時二十三分。早すぎましたね、とひとりごちてベッドから抜け出す。
窓を開けると、外の冷たい空気が入り込んできた。
なぜこんなに虚しいのか、わからなかった。
ぽかり、胸に空いた穴に風が吹き込んだ。
シリアスをぶちこみました。