表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/21

あなたは神を信じますか?

「では、筋道をたてて順序よく説明してくださいね?」

「わかってるって!えっと、そうだ、私は神様だって言ったんだったけ、そうそう、君を追い出したいんだよね!何故かって言うと、仕事の邪魔で、私の迷惑で、だから、」

「はいわかりました。今のは私が悪かったですね。あなたが話すに任せようなど愚かしいにも程がありますよね。」

燐音の言葉はすぐに青年に遮られた。これに関しては、尚樹も口を挟んだりはしなかった。彼女に説明を任せると堂々巡りになりそうだと思ったのである。ほとんどギャグ展開だったとはいえ、あんな大量の包丁を向けられるのは二度とごめんだ。

「え、何?なんなの??」

自分は順序よく説明できていると思い込んでいる燐音は、話の腰を折られたと感じて憤慨していた。せっかく優しいわたしが最後の機会を与えてやったのに、また無駄話にもっていくつもりなの?とでも言いたげである。

「…そうですね、至高の存在、つまるところの神である有能なあなたと違って、矮小な人間存在である私はことさらゆっくり語られないと理解が及ばないのです。出来ることならば私の質問に答える形で、私があなたの素晴らしさを知る手助けをしてほしいのですが。」

「え」

「勿論あなたにとっては面倒なことをさせるのに、心苦しさを感じないわけではありません。しかし、私の心の大半を占めるのは、神への敬愛と神秘への探求です。こんな貴重な機会ですから、少しでも尊いその御心に近づきたいのです。わかっていただけるでしょうか?」

「え、あ、うん、そ、そりゃね!いやあ、漸く君も私の素晴らしさに気づけたようで良かったよ!勿論!有能な私は君のお願い事に寛大に答えてあげるよ!なんてったって神様だからね!」


「神様って案外ちょろいのな…。」

「だまらっしゃい。聞こえたら水の泡でしょうが。」

密かに彼に耳打ちする尚樹は叱責を受け首をすくめたが、神様なんだから有能じゃなくて全能じゃね?なんて細かい突っ込みを忘れなかった。




「ふふん、じゃあなんでも質問ていいよ!答えてあげようじゃあないか!」

ノリノリですねこの神様、と感想を呟いてから青年は質問を始める。

「それでは、まず確認を。あなたは“この地区を担当する幸せの神様”なんですね?」

「うん、そうだよ~。」

「ここの人々を幸せにすることがあなたの使命だと?」

「うーん…まあ当たらずとも遠からず?」

「おや、違うんですか?」

「えっとね、訂正は二ヶ所かなー。まず、ここの人々っていえばまあそうなんだけど。細かく言えば、この地区の幸せ度ノルマを達成することが私の仕事って感じかな?」

「なるほど。使命と仕事では大分違いますね。」

「あのさ、幸せ度のノルマってなに?どういうこと??」

割り入ってきた尚輝を青年はきつく睨んだが、どうやら自分も質問しようと思っていたことらしく、なにも言わずに燐音を見た。

「幸せ度っていうのはね、その管轄全体っていうか、総合っていうかの幸せの量なの。総合だから片寄っててもいいんだよね、だから訂正したんだけど…。」

顎を指でなぞりながら、むむむ、と唸って説明を考える燐音に、彼は助け船を出した。

「つまり、全員を平等に幸せにするわけでなく、その地区がある一定量の幸福で満たされればいい、ということですか?」

「あーそうそう!そんな感じ!」

この説明に納得がいかないのか、尚樹は不満げに燐音に言う。

「でもさあ、なんかそれちがくね?神様なのに不平等なんておかしいだろ…。」

「そんなこと知らないしー。私の仕事とは関係無いもんね!」

「幸せの神様とか銘打っておいて、関係無いとはあんまりじゃないの?」

言い争いを始める二人を青年は制した。

「そこらへんで結構ですよ。話を続けましょう。ええと、次は、では幸せにする、というのは具体的にどういう行為をすることなんですか?」



「んー?なに?どういう行為?」

質問の意図がわからないとこちらをみる目に、ため息をついてから彼は説明した。

「ですからね、あなたは幸せの神だと仰っていますけど、この数ヶ月そのような行為をしたところを私は見ていません。それに幸せにするなんて、そんな簡単なことではありませんよね?ですから、人を幸せにするためにあなたは何をするんです?」

「あー、そうだよな。ついでに、なんでこいつを追い出すことが皆の幸せに繋がるんだ?」

「それ説明するのめんどくさいなぁ…神様のシステムから教えないとなんないしなぁ…。」

腕を組んで少し考えてから、包丁にチラチラと視線をやりはじめた燐音を見て、またもや青年はため息をはく。

「あなたのような偉大な方が私ごときに武力行使にでるはずが無いですよね。ええそんなことはわかっていますよ勿論。こんなくだらない当たり前のような質問にも懇切丁寧に答えてくださるなんて、あなたはどうしてそんなに心の広い方なんでしょうか?」

「そうだね、じゃあ優しいわたしは一から説明してあげるから心して聞きたまえよ!!」




























二ヶ月ぶりとか…もう笑ってしまうレベルです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ