勝手にやって下さい。
昼休みのチャイムが鳴り、青年は鞄から四角い包みを取り出す。ペットボトルの蓋を開け、お茶を一口飲んだところで前の席に座った男子生徒に視線をやった。
「よ!」
「…またあなたですか。」
「つれないこと言うなよ、おれとお前のなかだろ?」
「あなたと私の関係は同じクラスに所属しているというだけです。」
「またまた照れちゃって!大親友だろ?」
「違います。」
度重なる青年の拒否にもめげず、菓子パンの袋を破くと、中身を半分に割った。
「はい!」
「…いりません。」
「遠慮すんなって!」
「いらないと言っているでしょう。しつこいですよ。」
「タダとは言ってねぇよ、おかず半分分けてくれりゃあいいからさ!」
「尚更いりません」
「…仲良しだね。」
結局お昼ご飯を半分こして食べている彼らを見て、拗ねたように燐音がこぼした。
「でしょ?俺達、以心で「どこがですか?とうとう目まで腐ってしまったんですね。」
「おい割り込むなよ!」
その様子を見てますます燐音は項垂れた。
「…やっぱり仲良しじゃんか!」
ますます落ち込んだような燐音を見て、男は首をかしげる。
「えー?なんで落ち込むの?こいつと友達になりたいの?」
「違うよ!私との扱いが違いすぎるって言ってるの!」
「変わりありませんよ。」
「寧ろ雑だよ。」
「あれで雑とか私悲惨すぎない?」
「…。」
「否定してよ!」
「そう言えば、あなたなんでここにいるんです?」
「ほら!もう!」
「あのさ、結局どうしたいの?まさか彼女志望?」
「違うよ!!!」
「おぞましいこと言わないで下さい。」
「酷い…もう心折れる…。」
「おい、女子にその言い方は無いだろー。」
その言葉を聞くなり、燐音は顔をパッと輝かせた。
「久しぶりに優しい言葉に出会った気がするよ!あなたが神か!」
「いや、神はあなたなんでしょう?」
妄想の話ですが、と付け足しつつ青年はツッコミした。が、テンションの上がった彼女には届かなかったようで、男の手を両手でしっかりと掴んだ。
「君はいい人だね!!感激だよ!」
「おぉ?そうそう、俺いい人だよ!」
「将を射んとすればまず馬からって言うし!お近づきになりたいな!」
「利用する気満々宣言だよねそれ?」
「名前何だっけ?」
「あれ、もう何回目だろその質問?」
へらりと気が抜けるような笑いをこぼしたが、アウトオブ眼中だったことに内心落ち込んでいた。
「階堂 尚樹だよ、覚えてね?マジでお願いします、名前何度も云うのって結構虚しいんだぜ?」
「かいどうなおきだね、ばっちり覚えたよ!」
「いつまで話してるんです?」
「おっ何、妬いてるの?」
「ふふん、いいでしょ、もう仲良しだからね!」
「早くね?」
「君が突っ込むの?!」
「次は移動教室ですよ。」
毎回毎回ぶったぎって申し訳ない感じです。




