患者 野村 千秋
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都内某居
狭い路地裏に存在する曰くつきの小さな診療所
があった
倉西総合内科
ひっそりと掲げられた看板にそう書かれていた
ここには毎回奇妙な患者が訪れる
それを解決するのがここにいる先生の仕事である
ガチャ
倉西総合内科のドアを開ける1人の女子高生が訪れた
「すいませ~ん。誰かいますか~?」
部屋を見渡すと乱雑におかれた長椅子と無人の受付があり、廃墟なのではないかと思わせるほど廃れていた
倉西総合内科
廃れた待合室
「潰れた診療所なのかな?」
ドアのすぐ側の長椅子に腰を下ろすと、手に持つ学生カバンを床においた
ゾゾゾ
「こんにちは。。」
女子高生の耳元から1人の男の声がした
「ひぃぃぃぃぃ」
甲高い声で叫ぶ女子高生は背後を振り向いた
そこには白衣を着た1人の男性が立っていた
「出た~~!オバケ~ぇぇ」
今にも泣き出しそうな声で叫ぶ女子高生は、思わず椅子からずれ落ち尻餅をついた
「オバケではありませんよ...私はここの医師ですよ。。ふふふ」
不気味に笑う医師に女子高生は多少の嫌悪感をおぼえた
「正確に例えるならオバケではなく、、ゆうれいと例えるべきですよ...オバケは化け物ですから」
「じゃあゆうれいなの??」
「医師です...間違えないでください。。それでお嬢さんはここにどんなごようですか?」
女子高生はその場からゆっくりと立ち上がった
「調子が悪くて学校早退して来たんです。学校の近くにこの診療所があるの思い出して来てみました」
「おかしいですね。。なかなか見つからない場所なんですが、、まぁいいでしょう..お嬢さんは推薦状か何かお持ちですか??」
「推薦状??必要なんですか?」
「私は推薦状がなければ診療を受けないのですが....」
医師は女子高生の顔をじっくりと見た
「まぁいいでしょう。。診察室はこちらですのでどうぞ」
医師は女子高生を診察室に案内した
倉西総合内科
診察室
薄明かりの不気味な診察室
そこには机が1つ、医師と患者が座るためにあるであろう椅子が2つと、綺麗なシーツのしかれたベットがあった
近くの椅子に座るように勧められ、女子高生は椅子に腰かけた
女子高生の向かい側の椅子に医師も腰かけた
「私、、倉西 学といいます。。ここの唯一の医師です...お名前聞いてもよろしいですか??」
「野村 千秋です」
机の引き出しからカルテのようなものを倉西は取り出し、ペンを取り出し書き始めた
「野村 千秋さんですね。。具体的な症状か何か教えてください...」
「最近体がだるいのと、たまに目まいが...」
「そうですか、、口を開けていただきますか?」
少し抵抗を感じたが、千秋は言われるがままに口を開けた
近くの机にカルテをおくと、大きく開いた口を倉西はじっくりと観察した
「はい、、いいですよ。。たまに耳鳴りなどしませんか??」
「はい、よくします」
「体に痙攣が起きたりわ?」
「しないです」
「そうですか...採血しますね」
すると倉西は手際良く機材を準備した
それは一瞬の出来事だった
「採血っていきなりなんですか!」
「いいから腕出して。。」
千秋は恐る恐る腕をさしだした
「はい....終わりました。。」
「え!もう??ちゃんと採れてるの?」
「はい、、この通りちゃんと採れてます。。」
小型の注射器のようなものに少量にとれた血を見せた
「ぜんぜん痛くなかった!不思議」
「この注射器の針は蚊を研究して、、作られた世界一痛みの感じない注射器ですから。。」
「そんな注射器あるの??もしかして先生ものすごい人??」
「ふふふ、、まぁ私のことはいいですから。。ベットに横たわってください...」
「まさか!襲う気!!私がかわいい女子高生だからってやめてよね!」
「ただの点滴ですよ...それと私ロリコンではないですから安心してください。。」
「ロリコンって...そんな幼いかな??」
ふてくされながら女子高生はベットに横たわった
気づくと倉西の手で点滴の設備が揃い、点滴が始まっていた
「時間がきたら、、また来るのでゆっくりしててください」
倉西はそう言って診察室をあとにした
「はい...わかりました」
気づくと千秋はベットで寝てしまっていた
1時間後
ガチャ
再び倉西が診察室に現れた
「すいません...起きてください。。」
千秋は倉西の声で目を覚ました
すでに点滴の機材が取り外されているのに気づくと、千秋はベットから起き上がった
「私、居眠りしちゃった」
「だいぶ体がスッキリしましたか?」
「はい!さっきより体がすごく軽い!」
「それはよかった。。ではこちらに...」
椅子に腰かけた倉西は、千秋に椅子に座るように促した
ベットから降りると、千秋は椅子に腰かけた
「診断結果を説明してもよろしいですか?」
先ほどのカルテを見ながら、倉西は説明をしようとしていた
「はい...私どこかわるいんですか??」
「簡単に...いいますと貧血ですが。。真面目に聞いていただけますか??」
渋る倉西に少し苛立ちを覚えたが、同時に自分の体が予想以上に悪いのか不安にもなった
「はい。ちゃんと受け入れるつもりです」
「受け入れられますか...あなたの診察結果は ""ドラキュラ""です」
「........ドラ...キュラですか?」
診察結果を聞いた千秋は唖然とした
「ドラキュラって..本気で言ってますか?」
「はい..さっき採った血液を調べたところ、、ドライ・ブラッド菌...私は愛称を込めてドラキュラ菌とよんでますが..ふふ 血の乾きを意味するこの菌のもたらす症状は、、体のだるさ めまい 耳鳴り 四本の犬歯 悪化をすると体の痙攣が始まります。。あなたの血液にそれが含まれてました..」
いつになく饒舌に話す倉西に驚く千秋であったが、それよりもドラキュラという診断結果を受け入れられなかった
「え...じゃあさっきの点滴は??」
「あれは輸血ですね。。黙っててすいません..」
「うそでしょ..」
「ドラキュラ菌の感染力は極めて低く、、被験者は日本の人口に対して5人にも満たない。。あなたのように感染する人は本当にまれですよ...」
「治るんですか??」
「はい、、私の定期的な輸血をくり返せば治ります。。」
「もし輸血をしなかったら、どうなりますか?」
「とても恐ろしい話ですが、、痙攣が始まり禁断症状に入ってからの9日間は犬歯が成長し、、人を襲い血を吸い続けます。。非公式ですが17世紀のヨーロッパでドラキュラ菌の感染者が人を襲い全身の血をすいつくしたケースがあります。。ふふ まぁ私は3人ドラキュラ菌の患者を治してますから、、安心してください...」
「ここに通えば、治るんですね」
「通う...ふふ...はい、、治りますよ。。」
「よかった~治るならいいか」
「ただ治すにはいろいろと、、クリアすべき条件があります。。」
「条件??」
疑問に思う反面、千秋は嫌な予感がした
「まずここでの診断結果は多言しないこと...ちなみに他の病院で輸血をしないでくださいね。。この病気、、この国ではたぶん私しかなおせませんから...それといい忘れましたが診察は推薦状のない場合は保険不適合なので、、と言われましても聞いてませんよ。。って話ですので、、あなたには特例としてドラキュラ症候群が治るまで、、私の元で働いていただきます。。珍しいですから ふふふ...」
「働くって!いきなりそんなの無理よ!」
「国の認可なら先ほどとったので安心してください。。ふふふ 厚生労働省でもどこでも連絡してみてください。。まあ無駄だと思いますが、、それともお金払いますか?まぁ無理だと思いますが、、」
「ちなみにいくらですか?」
「97万6328円。。手数料込みだと102万94円ですけど、、払いますか?」
「働かせていただきます!!」
金額を聞くと、千秋は即答した
「気楽にいきましょ。。」
「ははは、そんな呑気な」
「ちなみにこの診療所の正式名称、、教えてあげましょうか?」
「正式名称??なんて言うんですか??」
「倉西""特殊""内科。。国の病院で治せなかった、、特殊な患者の来る診療所です。。たまたま来た患者がドラキュラ症候群の特殊患者とは、、あなたは運がいい。。」
(こうして私の大事な青春の数ヶ月間を倉西""特殊""内科に捧げることになった)
「何かいいましたか?」
「いいえ!何も言ってません!」