第6話 魔人達の企み
砂や岩だらけ大地にたくさんの塔が立ち上る、魔人が住む国・マジカルパルス。魔人は身体全体に刺青のような刻印があってエルフ耳が特徴であった。
「なに!人間国が心の鎧甲を集めてるだと!?」
髭を生やした中年の男が驚く。
「ああ、たしかにそんな情報があったぞ」
紫髪をして左足にアーマーを着けた言葉遣いが悪い女が言う。
「奴らはどうやら、右腕を手に入れたみたいだし。おそらく我がマジカルパルスとドラゴン真国のも狙われるかもな?」
「おのれ……400年の約定を無視しおって!鎧甲を作ったのは人間共だが、そのせいで我らの先祖がいた世界が、他の世界と融合してややこしい事になったんだ!!」
男は苛立ちながら強く机を叩くと、窓ガラスが割れてしまう。
「ロムトン、あんまり興奮すると魔力が飛び散るのから落ち着け。血圧も高くなるしハゲるかもよ」
「……おいアンリュウ。相変わらずの口の悪さだな?仮にも私は魔人達の王だぞ」
魔人の王ロムトンはアンリュウに呆れてしまう。
「しかし……いくら科学が優れた人間どもでも、我が国を中心に砂漠までスッポリ覆った結界には入れまい」
調子に乗ったように微笑んだしたが、たしかにロムトンが住んでる塔を中心に、首都や都市はもちろん町や村までを、魔力の結界で守られていた。
「ぎかかかかかかかかかそうだな♪しかもこっちには心の鎧甲の左足、“怠惰”があるからな♪」
アリュウは不自然な笑いで“怠惰”という名の左足のアーマーを見せる。
「お前は性格と言葉は最低だが、心の鎧甲の扱いは魔人1だからな♪」
「それは言わない約束でしょ?」
2人は馬鹿みたいに高笑いをし続けるのであった。
ここモンスターゾーンでは、野田が家で暇そうにテレビを見ながら、ポテチを食べながらゴロゴロしてる。
「兄さん。バイト休みだからってこんなゴロゴロして」
そこに秋が現れて、呆れながら言う。
「なんだよ折角の休日だからいいだろ?」
「全く兄さんにお客さんが来たというの。」
「え?俺に客?」
野田は立ち上がって玄関に向かう。
「ソロリック!!?」
そこにはソロリックが立ってた。
「てか……なんで家の場所を知ってるの!?」
「アナタが帰る時に、住所を書いた紙を渡したでしょ?」
懐からその住所が書かれた紙を取り出した。
「……あっ、そうだった」
「アナタって意外と抜けてるね」
「とりあえず上がれよ。飲み物出すから」
言って上がらせて居間に連れて来て、冷蔵庫から麦茶を取り出すが、秋は近づいて尋ねた。
「兄さん、あの人って……」
「なんだ?お前には関係ないだろ?」
聞いてきたが無視した。
「はいお茶」
「ありがとう」
お茶を置いて野田も座る。
「そういえば、そのペンダントは宝物か?」
ソロリックがいつも首にかけているペンダントの質問をする。
「うん。どういうのか知らないけど、大切にしなさいって」
ペンダントを首から外して野田に見せる。それは人の形で7つの溝があるメダル型のペンダントだった。
「この溝は?」
「何かを入れるみたいだけど、あんまり興味ないから」
「なるほどね~~~~」
野田はペンダントを返した。
「んで関係ないけど、お前はどんな仕事してるの?」
「なにも……死んだ両親が残したお金がたくさんあるし、たまにバイトするけど長続きしないんだ」
「そっか。俺さぁ……しばらくしたらバイト辞めようと考えてんだ」
窓から空を見ながら呟いた。
「俺って……なにか宿命か、ほかにやる事があるって……思ったりするんだ」
何気にカッコつける野田にソロリックは呆れて溜め息を吐く。
「なにそれ?今時そんな事あるわけないでしょ?」
「たとえだよ、たとえ」
野田の態度に完全に呆れて立ち上がると
「私……もう帰るね。」
「え?帰っちゃうの?」
「うん。でも今度は食事に行きましょう」
などと言って帰るので野田と秋は玄関で見送る。
「ねぇ……一体どんな関係なの?」
秋は少し不機嫌に尋ねた。どうやら焼きもちを妬いているみたいであった。
「お前、妬いてるのか?」
「別に……」
誤魔化すけど納得の行かない秋であった。
妖怪と人間とは別の種族・魔人の登場と、心の鎧甲の1つが出ました。