第5話 不思議なお使い
デーモングレリスではホルがいつもの仕事をしてる。
「やあ、ホル」
「麻井さん!」
麻井が声をかけて着た。
「悪いが、此処に着てくれないか?」
ホルに手紙と地図を描いた紙を渡した。
「今ですか?」
「ホント悪いね……戻ったら家に帰ってもいいから、お願いするよ」
「仕方ありませんね」
一時仕事を中断してお使いに行こうとした。
「あっ、そういえば……アイツ結構頑固者で変人だから気をつけろよ」
「はぁ……」
そしてさっそく出かけるのだった。
二回ぐらい朧のバスを乗り継ぎして歩いたりして、地図に書いてあった屋敷に着いた。ホルはさっそく呼び鈴を鳴らすと屋敷から、ブリキのおもちゃロボットのような、全身が金属の妖怪・ドワーフの男が出て来た。
「なんだ?お前は?」
ドワーフは睨みつけながらホルに尋ねる。
「私は妖魔将軍の使いの物です」
すぐに挨拶をする。
「ふ~~~ん」
「あ……あの……?」
「来い。茶を入れてやる」
「え?あ……ありがとうございます」
戸惑いながらも屋敷に入った。
リビングに連れてくるとホルに冷たいお茶を出した。
「んで、名前は?」
「……氷真ホルです」
「そうか、俺はモルト・ダスタム」
ドワーフはモルト・ダスタムと名乗る。
「あの……これ麻井さんからの手紙です」
ホルは麻井から預かっていた手紙を渡すと、モルトは手紙を読むと破いて灰皿に捨てた。
「え!ちょっとなにを!?」
「別にいいだろ?アイツの手紙をどうしようと」
そしてモルトはタバコを吸いだす。
「ところでお前、なぜ男なのに女の格好を?」
「え!?」
なぜかホルが男だと気づいていたので驚いた。
「いつから?」
「ずっと」
気づかれたせいでホルは顔を赤くなる。
「そんなに真っ赤になると、顔溶けるぞ」
モルトはツッコミを入れた。
「まあ~~~どんな理由か知らないけど、よくナンパとかされるだろ?」
「はい、たまに……」
「所謂……男の娘って奴だよな」
「ええ……」
ホルは麻井が言った事を思い出していた。
[この人……変だ]
だがしばらくすると呼び鈴が鳴り出した。
「あれ?呼び鈴が?」
「ん?まさか……」
するとモルトが立ち上がり玄関とは別な方に歩いて行く。
「ちょっと、玄関はあっち」
ホルが尋ねるけど無視するので仕方なく玄関に行って思わず扉を開ける。
「氷真?」
なぜか野田がいた。
「野田くん!なんで此処に!?」
「モルトに鍋や包丁の修理に頼んだんだ。ホルこそなんでいるんだ?」
「仕事だよ仕事」
2人が会話してる。
「玄関でなにやってんだ?それからほら、直しておいたぞ」
モルトが鍋とフライパンと包丁を入れた袋を野田に渡す。
「サンキュー♪さすがドワーフでも、アンタはサイコーだよな♪」
「はいはい。もう良いだろ?お前はどうする?」
モルトはホルに尋ねる。
「じゃあ私も一度デーモングレリスに戻ります」
「そうか、麻井の奴によろしくな」
「とりあえず。さよなら♪」
野田が手を振りながら自転車で帰り。
「色々とお世話になりました」
ホルもお辞儀をしてバス停に向かった。
そしてホルは朧車のバスでデーモングレリスに戻ると
「お帰り、ごくろうだったね」
麻井が出迎えてくれた。
「麻井さんの言うとおり、かなり変わった人でした。せっかく手紙を捨てたりと」
「あははははははは!ほんとアイツらしい」
笑い出す麻井にホルは溜め息を吐いてしまう。
「それじゃあ僕は帰ります」
ホルは家に帰っていく。
「アイツ……ちゃんと読んでそうだな」
麻井はそう呟いた。
その頃、モルトは灰皿に捨てた手紙を燃やすと緑の煙が出てくるとそこから、暗号のような文字が出てきた。
「なるほどな、人間国が……」
暗号を読み取ると煙を吹き消して、部屋の端に置いてある大きな箱・ケースに目を向ける。
[まだ……その時じゃないな]
ただモルトは放っておくしかできなかった。
新キャラ・ドワーフのモルト登場です。
ちなみに朧は朧車で車や電車など乗り物と一体化した妖怪で、ドワーフの姿はブリキのロボット玩具のような姿です。