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なにか

作者: 適当

これは実体験をもとに書いたものです。

 午前二時。

 僕の部屋の窓からは淡い月明かりが射し込んでいた。

 いつもこの時間になると布団に入る僕は、今日もいつもと同じように布団に入った。家で飼っているネコが夜の内に僕の部屋へくることがあるので、出入り口の戸は20cmほど開けてある。

布団に入って少し目線をずらせば見える、少し開いた戸。

その向こうは真っ暗な廊下になっていて、暗さに眼が慣れても見えることはない。


明日は学校がある、早く寝なきゃ。


 携帯電話を枕元に置き、仰向けの状態で布団を首元まで被る。

 睡魔はすぐにはこない。そういう体質なのか、いつも10分過ぎくらいから眠くなり出す。

 今日もいつもとまったく変わることのない夜を迎えようとしていた。

 ―――――。

 ―――。

 ―。


 ―――――眠気はある、だけど眠れない。そんな不思議な感覚。たまにあることだ。

 僕は嫌な予感がしたので、しかたなく試しに身体を動かそうとしてみた。

「・・・・・・・・・・・・」

 動かなかった。

 はぁ・・・・・・。

 心の中でため息を吐いた。

 一応動く部分を確認してみる。

 眼、まぶた・・・・・・くらいだった。

 俗に言う『金縛り』である。

 たまにあることなので、さほど驚きはしない。最初の頃は恐くて眼も開けられなかったが、今はそれほどではない。恐いというのは多少あるが、今まで幽霊とかその類のものを見たことがなく、金縛りは少しすれば解けていたので大丈夫だ。

 そう、あと少しすれば解ける。

 いままでの経験からそう判っていても、恐いという感情はどうしても少しある。少しだけ開いている戸へと目線がいってしまう。

 真っ暗でなにも見えない廊下。

 急に何かが出てきそうで恐い。

 早く解けてくれという願いだけが頭の中で響いていた。

 ―――――。

 ―――。

 ―。

 。

 おかしかった。何故かいつもは解けている時間になっても解けなかった。

 恐くて手が汗ばんできているのが解った。

 ふっ。

 突然、少しだけ開いている戸から何かが見えた。眼を逸らそうとする、が、眼が動かなかった。まぶたすらも僕の意思に従ってくれない。

 恐い。

 だけど動くことのできない僕は、それをしっかりと捉えていた。

 『ひかりのたま』だった。

 でも不思議なことに、その『ひかりのたま』は光を発しているのに廊下は真っ暗なままである。光っているのに明るくない。なんなのかまったく解らない。

 すぅ〜。

 20cm開いている戸を軽々通ってきたその玉は、だいたい野球ボールくらいの大きさに見える。ゆっくりと浮きながら僕を方へ近づいてくる。

 でも、恐いはずの僕はそれ以上恐怖が増えることはなかった。逆に、落ち着いているようにさえ感じたくらいである。

 玉は一直線に僕の胸元に向かってきて、そして、スゥと、僕の中に入ってきた。

 入ってきた玉は僕の中でじっとしている。中に入って見えないはずの玉が、僕の視界がどこかで捉えていた。玉が見えていたのである。

 ひかりのなかに、“何か”がいるのが見えた。正確にいうと、見えたのではなく、感じていた。何かがいると。

 ―――――ッ!!

 突然、その“何か”が光の中で暴れ出した。光の外へ出たがっているかのように。

 それと同時に僕は息苦しくなり、呼吸が困難になった。

 なおも暴れる“何か”。

 息苦しさが増すばかりで、身体中から変な汗が出てくる。

 息苦しさのあまり、もう駄目かもしれないと思い、限界がきたとき、遠くでけたたましい音が鳴っていた。

 ガバッ!!

 その音が聞こえたとほぼ同時に、金縛りが解けた。

 身体中汗だくで、息が切れていた。

 ピッ。

 携帯電話を取り、ボタンを押す。友人からの着信だった。


 明日の授業って何があったっけ?


 僕は辺りを見回した。

 何処にも、ひかりのたまはなかった。

 ピッピッピッ。


 五教科+体育


 そう返信して、布団に潜り込んだ。




 それ以降、金縛りにあうことはなかった。


 今のところは・・・・・・。

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― 新着の感想 ―
[一言] 不思議なお話ですね。 どこまでが実体験なのかわかりませんが、臨場感はありました。
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