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wonder! とある2人の恋愛事情  作者: かなたん


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第68話 カバーライブ当日!④

「出番だよ!」


 私は志乃ちゃんの肩を第を叩き、手を繋いでステージへ行く。大歓声だ。


「味の素皆さん盛り上がってますか?」

「うおおお!!!!」

「声がちいさいな?」

「うおおお!!!!」

「それでこそ私たちのファンだね!」

「皆さん激しい曲だから疲れましたよね?ちょっと休みましょう。」


 ここで給水タイムだ。私たち演者も飲み物を飲む。


「休憩終わりましたね。じゃあ一曲目を。GARDEN」



 Aメロを志乃ちゃんかBメロを私が歌う。

 

 GARDENが終わると間髪入れずGARBAGEへ。容赦ないなこのセトリ。


「ここでかなりしっとりした曲を ain't afraid to die」


 歌の割り振りは交互だ。高音を比較的得意としている志乃ちゃんがサビをメインに、私はAメロやBメロを担当する。最後の子どもたちのコーラスも私だ。最後のピアノの1音が終わると、数秒遅れて大拍手が起こった。やっぱり拍手を浴びるのは気持ちいい。


 泣いている人もいる。志乃ちゃんが歌い上げた。


「ねぇ笑ってよ もう泣かないで ここからずっと貴方を見ているわ」 


 会場からまたもや大拍手が起こった。しっとりとした会場の雰囲気をぶち壊すために入れたのは、


「im sorry. i didnt mean it. ill be good. im gonna kill you. im gonna blow your head off like raspberry jam 」のSEと共にギターがかき鳴らされた。Berryだ。

「パパとママがね眠りにつくと そっと忍び寄り あぁ

 お前から撃ち抜こうか」のところで志乃ちゃんがわたしのこめかみにピストルを当てる。おもちゃだよね?


 その後も予感、[KR]cube、audreyと続き、MCが入る。


「実は私ずっと挑戦したい曲があって。」

「え、なんですか?」

「高音と低音が交互に抜いて鳴るからちょっと苦手なんだけど、ちょっと挑戦してみたいな、と。志乃ちゃんは座っててね。」


 志乃ちゃんが椅子に座る。会場からワクワク感が伝わってくる。


 ベースから始まるこの曲。始まりのベース音で歓声が上がる。


「吊るした紅月 今宵でいくつ」


 49000人のヘッドバンギングを見たことはあるだろうが。私はない。


 OBSCUREだ。しかも再構築前の。


「Bloody baby and Sacrifice」の部分はファンのみんなが叫んでくれた。懸念していた最後の「貴女は消える」の「消える」の部分はなんとか原曲に近いキーで歌えた。

 拍手が起きた。すると今度は志乃ちゃんが椅子から立ち上がり、私を座らせた。


「私からも歌を届けさせてください。」


 その声の後にSEが流れる。-I'll-だ。イントロのi'll for youを歌うのかと思ったらいきなり、


「バーカ!!」


 という叫び声の後に高速の残-zan-が始まる。

また49000人のヘッドバンギングとモッシュが見れることになった。


 残は10分間続き、全員が疲弊していた。


「さすが志乃ちゃん。皆さん疲れましたよね?私からもこの曲を送ります。」


 「蒼い月」


 歌う方も聞く方も疲れる曲である。残-zan-の後にこれは死ねというようなものだが、やりたいんだからしょうがない。


 シンバルが鳴り蒼い月だと分かった瞬間にバンギャの方々が手扇子を仰ぐ。楽しい。


「Blue&Die」

 だけで10分は費やしたんじゃないだろうか。


 蒼い月が終わり、また拍手喝采である。


「最後の曲です。」

「えー!」

「疲れたでしょう。だから早く終わらせるね、家に帰ったらゆっくりお風呂に浸かってね。ラスト、アクロの丘」


 アクロの丘が終わり、終演SE(またDeityだ)が流れる。


「今日はみんなありがとうー!」

「お風呂に浸かるんだよ!次はwonderで会いましょう!」

「「ありがとうございました!」」


 手を繋いでお辞儀をしたあと、2人で下手に下がる。アンコールの声が響いているが、このままじゃ喉が潰れちゃう。


「お疲れ様。これ差し入れのポカリと大塚製薬の課長さん」

「この度は素敵なステージを見せていただきありがとうございました。是非、我が社のCMに出ていただきたくて、本日お邪魔させていただきました。」

「大塚製薬さんはこのライブのスポンサーだからね。」 「いいですけど、wonder6人での起用お願いしますね」

「もちろんです!よろしくお願いします!」


 契約とか諸々はこのライブが終わったあとにするらしい。私たちは楽屋で普段着に着替える。


「今日志乃ちゃん良かったよ。期待の新人って感じ。」 「そんなことないです。結依さんの方が輝いてました!」

「そう?ありがとう。」

「そろそろ出発するよー。」

「はーい」

 

カバーライブは楽しかった。またやりたいなと思いつつ、持田さんの車に乗り込んだ。


「楽しかった?」

「それはもう。尊敬するバンドですから。」

「バックバンドかなり疲れてたよ。」

「そりゃ難しい曲とか早い曲とか選んでますからね。」

「ドSだねぇ。志乃ちゃん着いたよ。」

「ありがとうございました。結依さん本当にありがとうございました!楽しかったです!」

「こちらこそ。楽しかったよ。」

 

互いに握手をする。今日からライバルだ。


「結依ちゃんのセットリストもぶっ込んでたねぇ」

「自分の好きなバンドの好きな曲を歌えるんですから。3Daysにしても良かった位ですよ。」

「それ面白そうだねぇ、着いたよ。」

「ありがとうございました。」

「ゆっくり喉休めてね。」

「ありがとうございます。また明後日。」


 家に帰ると杏が抱きついてきた。


「結依かっこよかったよ!」

「ありがとう。楽しめた?」

「すっごい楽しかった!」

「なら良かった。」

「ありがとうね。」

「ご飯作ったから食べよ!今日は生姜焼きだよ!」

「杏料理できるんだ。」

「出来るよ!失礼な。」

「ありがとう。先にお風呂入るね。」

「うん!」


 明後日からはまたアイドルの平塚結依に戻る。今日くらいはロックシンガー平塚結依でいてもいいよね。


 お風呂から出てご飯を食べ、柔軟体操をする。


 たまにこんなに幸せでいいのかと思う。でもいいよね、幸せでも。

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