エピソード17 いよいよ来たる体育祭
体育祭まで、あと三日。
校内の空気は、完全に「浮き足立ってる」に近かった。
廊下には応援用のポスター、放課後のグラウンドからは太鼓の音、
教室でも誰かしらが体育祭の話をしている。
……していないのは、実行委員くらいだ。
「一ノ瀬!進行表できたか!」
「今出します!」
プリントを抱えて走り回りながら、俺は完全に実感していた。
──あ、これ、想像してた三倍忙しい。
机に向かって作業、呼ばれて確認、また修正。
気づけば放課後の教室には、実行委員と先生しか残っていない。
「ゆーとー、こっち人足りないんだけどー!」
結希の声。
振り返ると、腕まくりして備品を運んでいる。
「お前、さっき面倒って言ってなかったか?」
「言ったけど!やるって決めたらやるタイプなんで!」
どの口が言うんだ。
でも、文句言いながらも一番動いてるのは結希だった。
「一ノ瀬さん」
静かな声に呼ばれて、そちらを見る。
西園寺三奈美が、チェック表を胸に抱えて立っていた。
「借り物競争の札、数が合わなくて……一緒に確認してもらえますか?」
「わかった、行こう」
並んで歩きながら、少しだけ気になる。
距離は前と変わらないはずなのに、
最近、三奈美はどこか一歩引いている気がした。
話すときも、視線が合う時間が短い。
──気のせいか?
体育倉庫で札を数え直し、メモを取る。
「……これで合ったな」
「ありがとうございます。一ノ瀬さん、助かりました」
柔らかい笑顔。
でも、それ以上は踏み込んでこない。
「忙しいですね」
「まぁ……でも、体育祭前だしな」
「そう、ですね」
それだけ。
静かな会話。
嫌じゃないけど、少し物足りない。
倉庫を出ると、廊下の向こうから声がした。
「あっ……!」
小さく、慌てた声。
芦戸澪だった。
バケツを抱えていて、目が合った瞬間に固まる。
「……一ノ瀬くん」
「芦戸。準備?」
「う、うん!えっと、その……」
言い淀み、視線が泳ぐ。
明らかに、あの誤送信以降の「気まずさ」が残っている。
「……体育祭、頑張ってね」
「おう。芦戸もな」
それだけの会話なのに、
澪はなぜかほっとしたように笑った。
「はい!」
足早に去っていく背中。
──なんだ、この感じ。
一人一人とは、そこまで何かが起きてるわけじゃない。
でも、少しずつ歯車がズレて、噛み合って、
確実に動き出している感じがする。
「ゆーと!」
再び結希。
「もうすぐ最終確認だよ!逃げんなよ!」
「逃げてねぇ!」
夕方の校舎。
準備は終わらない。
でも、体育祭が近づくほど、
俺の周りの空気も、確実に変わってきていた。
──本番は、もうすぐだ
投稿の間空いてしまってすみません。色々ありまして…トホホ今回は特に進展とかもなしで落ち着いた回でしたね。次体育祭にするかもう1回挟むか悩み中です笑今回も呼んでいただいてありがとうございます!よければいいねとブックマークもお願いします!感想もお願いしますね!




