エピソード16 勘違いドジっ子は恋バナを誤送信する
昼休みに連絡先を交換してから、まだ半日も経っていない。
正直なところ、芦戸澪とどういう距離感で連絡を取ればいいのか分からず、
俺はスマホを机に置いたまま、特に何もせずにいた。
──向こうから来ることは、たぶんない。
「まぁ芦戸だしな」
そう思っていた矢先だった。
──ピロン
通知音。
画面を見ると、表示された名前は【芦戸 澪】。
「!」
一瞬で背筋が伸びる。
内容を開くと、こう書いてあった。
「ねえ聞いて聞いて!!」
……え、誰に?
「今日さ、昼休みにね」
「例の人と話したの!!」
例の人?
「もう無理なんだけど」
「声落ち着いてるし」
「近くで見ると普通にかっこいいし」
「眼鏡外してるの反則じゃない??」
──待て。
これ、俺に送る内容じゃなくないか?
既読をつけるか迷っている間にも、メッセージは続く。
「しかも優しいの!」
「連絡先交換したいって言ったら」
「普通にいいよって!!」
「心臓止まるかと思ったんだけど!!!」
完全に恋バナだ。
しかも、主語がない。
でも、状況的にどう考えても──
「これってさ」
「もう脈ありって思っていいのかな!?」
「いやでも期待しすぎると死ぬから!!」
「でも期待しちゃうんだけど!!」
数秒後。
「……」
「……あ」
「……ああああああ」
来た。
「ま、まって」
「これ」
「一ノ瀬くんに送ってないよね??」
送ってる。
めちゃくちゃ送ってる。
そして、すぐ。
「!!!!!!!!」
「違います!!!!」
「今の全部友達に送るやつです!!!!」
「見てないですよね!!!!?」
──見てないって言えるか?
少し悩んでから、正直に送る。
「と既読ついてたってのが全ての答え、、、」
数秒の沈黙。
そして。
「………………」
「死にます」
「穴があったら入りたいです」
「今すぐ転校したいです」
想像できる。
顔真っ赤で、頭抱えてる姿。
「そこまでじゃないだろ」
そう送ると、
「あります!!」
「ありますから!!」
「もうどう思われたか……」
「変な子ですよね……」
さすがに放っておけなくなった。
「変じゃないよ」
「正直だなとは思ったけど」
「悪い意味じゃない」
既読。
しばらくして、恐る恐るみたいな文が来る。
「……引いてないですか?」
「こういうこと知るのめったにないからちょっとびっくりした、でも嬉しかった」
それは本音だった。
「え」
「え??」
「えええ???」
「ちょっと待ってください今整理します」
整理できてないのは伝わる。
「ごめん」
「本当は」
「直接言う勇気なかったので」
「誤送信でバレたの、最悪なんですけど……」
「でも」
「嫌われてないなら」
「それだけで、救われました」
……ずるい。
そんな言い方。
「じゃあ」
「今度は誤送信じゃなくて」
「ちゃんと話そう」
そう送ると、
「……はい」
「ちゃんと、ですね」
「がんばります」
スマホを置いて、息を吐く。
──連絡先交換。
──誤送信。
──恋バナ暴露。
ラブコメの教科書みたいな流れなのに、
当事者になると、こんなに落ち着かないものなのか。
明日、学校で芦戸と会ったら。
絶対、目を合わせられないだろう。
……いや。
合わせられないのは、俺の方かもしれない。
1日で2話投稿しました!いやー作者偉いですねー。今回はちょっと色々攻めさせ過ぎたかなーとは思いつつも周りもめっちゃ進展してるので良いかなーって感じです笑笑今回も読んでいただいてありがとうございました!よければブックマークといいねお願いします!感想もお願いします!




