エピローグ
【後日談】
「カゲツ。朝だよ」
リィラはカゲツの腹の上に乗りカゲツを起こす。カゲツは眠い目をこすりながらゆっくりと体を起こそうとした。
「ほら、危ないから降りなよ」
リィラにそう言って優しくベッドから下ろす。そして、ベッドの上に二人で座った。
「いやはや、お腹というものはすぐに大きくなるものですな」
「それセクハラだよ。それに失礼」
「ごめんなさい」
「でも、本当にすぐ大きくなっちゃったよね」
2人はそう言ってリィラの大きくなったお腹をさする。どうやらその中には赤ちゃんがいるらしい。
カゲツとリィラは2人だけの家で静かに寄り添い合う。
「ミラがブライについて行ってから静かになったと思ったけど、そんなことも無かったな」
「そうね」
2人はそんな会話をする。
「男の子なんだけど、名前どうする?」
「……まだ決めてないなぁ。すっごく迷うんだよ」
「だよね。かっこいい名前にしたい」
カゲツはリィラのその言葉を聞いて少しだけ悩む素振りを見せる。そして、唐突になにか思いついたかのように笑った。
「どうしたの?」
「いやさ、なんか思い出しちゃって」
カゲツはそう言って立ち上がる。そして、机の引き出しからアルバムを取りだした。
「前にさ、同じ話になった時決めたような気がしたんだよ。ふっ、ほら、ここに書いてある」
カゲツはリィラの元までアルバムを持ってきて指をさしながらそう言う。すると、リィラも笑う。
「早いね。この時まだ妊娠すらしてないよ」
「だろ?だから笑っちゃうんだよなぁ」
「でも、いい名前」
リィラはそう言って優しく笑う。そして、アルバムを置いてお腹を優しく抱きしめる。
「ユエラ……それにしましょ」
「そうだね。初めまして。ユエラ」
カゲツもそう言って優しくリィラのお腹を横から抱きしめた。そして、2人は仲良く笑った。
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