251 封印と対策
巨石群を囲み、魔術を使おうとしている者たちの一人が近づいてくる鳥に気付いて、運んできたメモを受け取る。
それに目を通して近くにいる者たちに声をかける。
「ほかの三ヶ所でも準備が整ったようだ。いつでもいけるぞ」
「いつから始める?」
「タイミングを合わせやすい時刻がいいと思うが」
その場にいる皆が考え込む。
その中の一人が太陽を見て、口を開く。
「日が沈んだ直後とかどうだ。合わせやすいタイミングだと思うぞ。たぶんこのあと雲が広がることはないと思うが」
「いいな。そのつもりでいよう。拠点とほかの三ヶ所に知らせるぞ」
早速四枚のメモに日暮れに発動と書いて、鳥を飛ばす。
手紙を受け取った者たちは日暮れに合わせて魔術を使うように準備を始める。
巨石群に魔王がいる確証を人間たちは持っていなかった。しかしいるならそこだろうと予想していた。
もし魔王がいなくてもアンクレインを封印できれば、魔王軍の動きを鈍らせることができる。ほかの高位の魔物も一緒に封印できるのならよりベターだ。
時間が流れて、邪魔が入ることなく日暮れ直後に魔術が行使される。
小さな祭壇が作られて、そこに銀色の杯がある。
とくとくと水筒から薄い緑色をした液体が注がれて、その液体に魔術を使う者が己の血を垂らす。
ぽたりと落ちた魔力の篭った血が水面に波紋を生み出す。広がる波紋に追従するように液体の色が透明へと変わっていく。
無色になった液体が入る杯を前にして、血を注いだ者が詠唱を始める。数秒で杯から湯気が上がり始めた。
それを見て、そばにいた者たちは魔力充填を使う。
その場に満ちた力に反応し、魔力を帯びた湯気が高所に集まって小さな台風のような動きを見せる。
ほかの三ヶ所でも同じようなことが起きていて、血を使った者たちはその小さな台風をその身に取り込む。
そして今にも破裂しそうな魔力を押さえ込み、巨石群がある方向を見る。
己の中にある魔力が巨石群へと飛ぶように、制御しながら魔術を仕上げる。
覚悟を決めた目で魔力の制御を手放した。次の瞬間、体が砕け散った。
魂と肉体を使った魔術が赤い閃光となって巨石群へと飛んでいく。さながら地表を飛ぶ流れ星のようにも見える。
ほぼ同じタイミングでほかの三ヶ所から、巨石群へと封印の魔術が迫る。
迫る魔力にアンクレインたちは気付く。
「あれは封印の? やっぱり使ってきたわね。遠距離からというのは予想から外れたけど問題ない。一番警戒すべきものなのだから、対処している決まっているでしょ?」
巨石群にいて感知したアンクレインが、ニィッと笑みを浮かべた。
「封印など意味なきもの。飲み込み変質して返してあげよう。カウンターカース」
アンクレインの仕込んでいた魔術が発動し、黒い魔力が巨石群を満たす。魔術を使ったところから封印の影響を見守っていた者たちにとっては、黒い膜が巨石群を包んだようにみえた。
封印の魔術はそれに触れて、溶けるように消えた。
封印の魔術を取り込んだ黒い膜は砕けて小さな破片と化す。
封印の魔術が飛んできた道をたどるように、その黒い欠片が飛んでいく。
夜闇に染まりかけている空を黒い軌跡が飛ぶ。
魔術の術者を手伝っていた者たちはその黒い破片に気付くことはできた。そして逃げた方がいいと考えた。だが彼らのほとんどが離れる前に黒い欠片が彼らを飲み込み。
欠片が消えるとその場に残ったのは、体の機能を封印されて死んだ者たちだ。
しかしただ一人だけ影響が少なくてすんだ者がいる。なんとかこのことを知らせようと拠点に戻ろうとするが体の動きが鈍く、歩くだけで精一杯だ。モンスターの襲撃を避けて移動するのは困難だが、なんとか戻ろうと歩を進めていった。
封印の魔術が使われたというのに魔物たちの動きに乱れがないことに、拠点にいる指揮官たちは戸惑う。
「まさか失敗したのか?」
「それこそまさかだろう。一ヶ所だけならトラブルで発動できなくなるかもしれないが、補佐する者もつけて四人の魔術を使う者を送り出したんだぞ?」
抵抗されることも考慮して一度に四回の魔術を行使したのだ。そのすべてが失敗したというのは信じられなかった。
「しかしなんの変化も起きていない。確認した方がいい」
人を送り出すことして、それから四時間ほどで現場を確認した者たちが帰ってくる。
死体や祭壇を回収し、それを目の前にして指揮官は溜息を吐く。
「死んでいた、か」
「魔物やモンスターに襲われた様子はありません。突然死んだように綺麗な死体です」
「なにが起きたのだろうな?」
「わかりません。ですが異常事態です」
死んだのが一人だけならば、偶然病死といった突発的なアクシデントが起きたと納得できるが全員同じような状態で死んでいたら、確実になにかあったのだと疑うしかなかった。
「もう一回魔術を使ってみたいが、どう思う?」
「使える者はまだいますが、無駄に命を散らすことになりそうで賛成しにくいですね」
「魔王や魔物を封じるためにその命を差し出しくれるのだからな。言いたいことはわかる。だがなにがあったのかわからなければ対応のしようがないのもたしかだろう」
「そうなんですけどね」
「その命を無駄にしないと説得しよう。それならばどうだ」
「脅迫とかしないで説得できるなら、問題ないかと」
当然だと返した指揮官は封印の魔術を使える者たちを呼んでもらう。
集まった彼らに、夜中に呼び出してすまないと詫びてから、魔術が失敗したことを告げる。その原因も不明ということも説明してから、なにが起きて失敗したのか知りたいと伝える。
「再度魔術を使っても原因がわからない場合は無駄死にするのではないか?」
当然の疑問に、指揮官は誤魔化すことなくしっかりと頷いた。
「それは否定できない。だがなにがあったのか知ることは大事だと考える。封印を成功させることを前提にして、兵や冒険者たちには今戦ってもらっている。我らにとってこの戦いに勝ち目があるとしたら魔物の殲滅や魔王の討伐ではない。封印の成功なのだ。封印が失敗して無駄になるのは君たちの命だけではない。囮になってもらっている兵たちの命もだ。そして失敗すれば戦っている者たちの命は当然として、戦えない者たちの命も散ることなる。だからこそ確実に封印を成功させなければならない。どうか頼む、成功のための礎となってもらいたい」
「もとより礎になる気はあった。本当に無駄にはしないと誓えるのですか」
「四神に誓えたら信じてもらえるのだろう。しかし正直に言ってしまうと、絶対無駄にしないとは言えない。自分勝手なことを願っているとなじられても仕方ない。だが必要なことなのだ。人間の未来に」
土下座をして頼みそうになったが、そこは耐える。
そこまでしてしまえば強要と受け取られかねないと考えた。
必要なのは誠意と熱意。自身の考えを隠さず、全て伝えて納得してもらう。
もし土下座を求められればすることに躊躇いはしない。命を賭けることに比べたら軽いものだ。
視線をそらさず自分たちを見てくる指揮官に、封印の魔術を使う者たちは考え込む。
そうして一人が口を開く。
「あなたの言うように戦っている者たちは魔物を倒すのがやっとで、魔王を倒せるとは思わない。希望があるとしたら封印なんだろう。それを成功させるために必要なことだと理解できる。私がやりましょう。なにが起きて失敗したのか突き止めてください」
指揮官は感謝の思いを抱きながら頷く。
すぐに準備を始めると告げて、拠点から少し離れたところに祭壇を準備する。
指揮官たちは拠点から魔術の準備が進むのを観察する。少しの異変も逃さないように真剣な表情で、暗いなか松明に照らされている彼らを見る。
そして準備が整い、魔術の行使が始まる。
魔術が発動し、術者の体が砕け散る。補助していた者たちは急いでその場を離れる。
指揮官たちは死んだ者へと心の中で感謝と安からな眠りを祈る。
「ここまでは何事もなくきたか」
今は暗くて見えない巨石群のある方向を睨むように見ながら言う。
このまま封印が成功してほしいと願いながら、観察を続ける。
再び封印の魔術に反応し、カウンターカースが発動して黒い膜が出現する。しかし指揮官たちはそれを見ることができなかった。距離が離れていること、夜で暗いため。この二つの理由で視認できなかったのだ。
「なにか来ました!」
夜目のきく者が空を指差す。
すぐに指揮官たちもわかる。暗い夜空の中を不気味ななにかが接近してきた。
祭壇へと着弾したそれを指揮官たちはしっかりと視認した。
「あれがなにかはわからん。だが死者がでた原因はあれだろうな」
「巨石群のある方角からきましたから、魔物の仕業ということで間違いないでしょう」
「魔法使いに、あそこになにかしらの影響が出ているか調べてもらおう。手配してくれ」
指揮官が指示を出し、兵の中にいる魔法使いたちがまずは遠くから観察する。
「強力な力がそこに残留していますね。少しずつ消えてなくなっています。離れていると悪いものとしかわかりません」
「近づけばわかるということか。近づいて大丈夫かね?」
指揮官が聞くと、今は近づきたくないと返される。
少し時間を置いて調査を頼むと魔法使いたちは頷いた。
夜が明けて、魔法使いたちが儀式跡を調べている間に、戦いに出た者たちが砂漠でモンスターに襲われていた生き残りを発見し連れ帰ってきた。
「報告! 魔術の補佐をした者の一人が救助されました」
「本当か!? なにが起きたのか聞きたい。連れてくることはできるか?」
「動かせない状態です」
ではこちらから行こうと指揮官たちは生き残りが治療を受けているテントへと向かう。
「こちらに魔術を担当した者の生き残りがいると聞いた。誰か知りたい」
「あちらの彼ですね」
医者の一人が指差す。
「ありがとう。彼はどういった状態なのだ? 会話をしても大丈夫だろうか」
「目立った症状は疲労です。そして魔法の影響があるようです。彼が言うには動きづらいということです。魔法使いに調べてもらため人を出しています」
話せるということで、指揮官たちは近寄り声をかける。
「昨日、なにがあったのか聞きたい。疲れているということだが、聞かせてもらえるかね」
「はい」
起き上がろうとした彼を止めて、寝かせたままで話を聞く。
魔術が問題なく発動し、その後に巨石群が黒い膜で包まれたこと、魔術がその膜に触れて、黒い流れが自分たちに襲いかかってきたこと。黒いものに触れた仲間たちが死に、自分も動きが鈍くなったこと。どうにか知らせようと拠点へと移動しているときにモンスターに襲われて助けられたこと。
そこまで話した彼は疲れた様子を見せる。その彼に礼を言いテントから出る。
「封印が対策されていたということか」
苦々しい表情を指揮官たちは浮かべる。
「どういった対策なのか詳細がわかれば、その守りを突破できるのでは?」
「そうだな。今調査を進めている魔法使いたちにこの話を伝えよう」
希望はあるはずだと考えて指揮官たちは魔法使いたちに情報を渡す。
調査結果と情報から、推論を重ねて魔法使いたちは指揮官たちのいるテントにやってくる。
「わかったことと推測したことがあります」
「続けてくれ」
「黒いなにかは呪いでした。それも強い呪いです。人間相手には過剰ともいえる強さですね」
「呪いか。そう言われるとあの嫌な感じは納得できる」
「次に推測したことになります。その呪いは封印の魔術を変化させて返したものではないかと思われます」
なぜそう考えたのか指揮官は聞き返す。
「生き残りの証言から、封印の魔術は黒い膜に触れたのは間違いありません。魔術を防ぐだけなら膜は消えずにそのまま残るはずですが、砕けたような光景だったそうですね。そして黒いなにかが巨石群から飛んできた。膜は魔術を弾くのではなく、受け入れて変化したため形状を変えたと考えました。外から見たら膜なのかもしれませんが、巨石群の中から見ると内部を満たす黒い霧や液体のようなものだったのかもしれません」
「膜ではないとなぜ考えた?」
「封印への対策を考えて、あのようなものがある。それは間違いないでしょう。であればバズストが使用した魔術への対策ということになります。伝承ではバズストは魔王と一対一で戦い封印したとなっています。近距離で封印を使ったのですからそれを警戒するなら、遠距離から飛んでくる魔術への対策にはしないでしょう。いつでもどこでも対応できるように、戦場そのものを対象としたものになると考えました」
「まあ、納得はできる」
「次になぜ人間相手には過剰な呪いなのかということですが、これは簡単です。魔王を対象にした封印の魔術が返ってきているのですから強力で当然です」
「なるほど。では一番聞きたいことだが、その対策を破る方法は?」
魔法使いたちは効果的なものは思いついていないと前置きして続ける。
「まず魔術を使っての力押しは無理だと思ってください」
最初に四ヶ所から魔術を使って、それに対応されたのだから、それ以上の人数で一斉に使っても対応されると魔法使いたちは考えた。
封印対策に必要な力や物資はかなりのものになりそうで、魔術を連打してコスト消費を狙うのも得策ではないと考えた。
封印対策をした本人も消費の激しさは自覚があるだろう。今回の戦いまでに時間はたくさんあったのだから、準備にぬかりはないと思われる。
その説明を聞いて、指揮官たちも力押しは無理そうだと判断した。
「この状況で我らが思いついたのは、魔法陣のような基点を潰すことです。あの対策の発動は魔法のように簡単ではないでしょう。魔法陣といったものが必ず作られています。そして巨石群のような広い場を包むのに、魔法陣一つでは足りません。ゆえにいくつかある魔法陣やそれに類する基点を潰し、魔術を使うという流れが良いのではと考えました」
「問題があるな」
指揮官の言葉に魔法使いたちも頷く。
「魔法陣といったものが見つかったという報告が入ってきていません」
「ああ、そうだ。そのような目立つものが複数あるなら誰かが見つけているはずだ」
「ないということは我らがまだ足を踏み入れていないところ、つまり巨石群にあるということなのでしょう」
「突入班を作る必要があるな」
「予測にすぎないので、魔法陣といったものはないかもしれません」
指揮官はわかっていると頷いた。
「それでもこのままただ魔物と戦い続けて消耗していくよりはましだと思うのだ。ちなみに魔法陣やそれに類するものは、破壊すればよいのかね?」
「はい。それは間違いありません。ただし一つ壊すだけでは意味はなく、複数を壊す必要があると思います」
「わかった」
報告を終えた魔法使いたちは、この後も効果的な対策を話し合うと言ってからテントから出る。
指揮官たちも突入班を作るため、急いで強者や斥候に適した者の情報収集を始めた。
夕暮れ過ぎにファードやロッデスをはじめとして実力者が指揮官に呼び出しに応え集まる。冒険者も兵も、出身地や身分に関係なくここにいる。
彼らに神妙な顔で指揮官は頭を下げた。
「忙しいところを集まってもらって感謝する」
「命を賭けた作戦を行うということだが」
「その通り。なぜそうなったのかを説明しよう」
指揮官は封印の魔術を使用して失敗したこと。なぜ失敗したのか、今後どうすればいいのかまで話す。
「魔法陣やそれに近いものが巨石群にあるかもしれない。それを壊さなければ封印はできないということか」
ロッデスが溜息を吐きながら言う。その大変さは容易に想像できて、溜息もでるというものだ。
「そうだ。そして侵入と破壊を君たちにやってもらいたい」
「俺たちが抜けて大丈夫なのか?」
ロッデスではない別の男が聞く。
今ここに集まった者でも魔物との戦いは楽ではないのだ。魔物と戦える上澄みが抜けて、前線は崩壊しないかと心配になる。
「厳しい戦いになるのは必定。死者も増えるだろう。しかし魔王を封印しなければ、我らに未来はない。このまま戦っても押し切られるだけだ」
「我らもここで戦い、魔物の相手が精一杯で魔王討伐なんぞ無理というのはわかっている。封印が希望というのも理解できている。しかし敵のホームグラウンドに向かい、ノーヒントで探せというのも無理がある。なにか特徴などないのか」
この作戦の必要性はわかるが、犬死は勘弁だと集められた者たちは主張する。
「残念ながらない」
「わりと本気で自殺してこいという命令だな」
「申し訳ない。使い捨てなどする気はないが、情報がないという事実は変わらないのだ」
「本当になにもないのか? 魔法陣を設置する場所が特別だったり、魔法陣が異様な気配を放っているとか。そういった通常とは違った特徴がなにかないのか?」
「ない。むしろ探しづらいだろうというのが魔法使いたちの意見だ。封印への対策が巨石群を包むことで、内部と外部は雰囲気が違うだろうと彼らは予測した。その雰囲気のせいで外部ではわかりそうな異常が、わかりづらくなっている可能性が高いと言っていた」
「悪い情報を聞きたいわけじゃなかったんだが。ハイポーションといった物資の支援はどうなんだ」
「そちらはしっかりとする」
今後ポーションの類は必要になるのがわかりきっているが、死地に送り込む彼らへの支援をけちるのは自殺行為だということもわかりきっている。
「さすがに支援もないということはなかったか。支援なしならば断ることも考えたぞ」
「死地に送り込むが皆を殺したいわけではない。少しでも成功確率を上げられるように支援をけちるような真似はせんよ」
「そうか。俺は行こうと思う。皆はどうだ?」
指揮官と話していた男が皆に問いかける。
彼らも必要なことだとわかっているようで、断るという声は出てこなかった。
出発は魔物やモンスターに見つかりづらいように深夜ということになり、侵入組が出発準備をしたり休憩をとっている間に、指揮官たちは急いで物資を準備する。
侵入組の仲間が行くことを反対するところも見られた。しかし必要なことだと説得されていた。
皆も実際に戦って魔物の強さを身に染みて理解しているため、このままでは押し切られると理解できてしまい反対する声に力がなくなっていた。
感情は納得できずとも戦う者としては納得してしまい、今生の別れになるかもしれないため話し込む。しかしもっと話していたいという気持ちを押さえ込んで、休憩の邪魔をしないように会話を打ち切る。
三時間ほど睡眠をとったファードたちはハイポーションなどを受け取って夜闇の中を出発した。
ファードたちが拠点を出て少し時間が流れ、夜明けが近づいた頃。
見張りが力の限り警告の鐘を鳴らす。拠点に緊張がはしる。
「なにごとだ!」
「魔物が接近中! 数えきれないほどです!」
なぜ今なのかそんな疑問を抱きながら兵や冒険者たちは撃退の準備を整えていく。
魔物や従魔に拠点を狙う指示を出したのはアンクレインだ。
ファードたちが拠点を離れて攻め時だと考えた。というわけではなく、封印対策がばれたことで人間たちがなにか動きを見せるだろうと考えた。その動きを潰してさらなる困難に陥れてやろうと大群を動かしたのだ。
これに対し人間側の動きは撃退は当然として、封印の魔術を使える者の後退も行う。
拠点は蹂躙される可能性が高く、ここでは守ることができない。だから魔物たちから離れてもらう。
指揮官はチャンスとも考えた。ここまで大群が動くなら巨石群はがらあきだろうと。そのチャンスを生かして魔法陣を潰してもらい、封印を成功させる。そのためにも魔術の使い手たちには生きてもらわなければならない。
希望はあると戦う者たちに伝えて、耐えてもらう戦いが始まる。
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