少年。出会う。
「おいソラ!この坊主が俺たちの王なのか?」
「そうですよ。だから早くその口を閉じなさい。うるさいです」
「なんだよ!俺はただ聞いただけじゃねぇか!」
ここは……どこだ……
僕は……そうだ……亜種と戦っていて……
気を失ったんだ…。
僕はその重い瞼を開く。
そこは真っ白な正方形の部屋だった。男が2人いる。
「おいソラ!王が起きたぞ!」
「分かっていますよ。それより早く黙りなさい」
「お前流石に冷たすぎねぇか……泣くぞ…」
赤髪の体格の良い元気なタンクトップの男と、蒼髪の眼鏡をかけたスーツの似合う男が喋っていた。
「すみません。ここはどこですか?エリーと爺は無事ですか?亜種は、あいつはいったい何者なんで………」
「待て待て坊主!いっぺんに何個も質問したって答えらないって!」
「王は死の間際、突然"こちら"に来たのです。取り乱してしまうのも仕方のないことでしょう」
彼らが言う王とは、僕のことなのだろうか。
「王って僕のことですか?」
「そうだぜ坊主!!称号に書いてあるだろ?」
「そうですね。まずは自己紹介といきましょうか」
蒼髪の男がクールに応える。
「私はソラ・サファイア。ソラとお呼びください。私は称号ーー英雄王之右腕を持っています。末永くよろしくお願い致します」
「俺はサン・アレキサンドライト。長いからサンって呼んでくれよな!称号ーー英雄王之左腕を持ってるぜ!これからよろしくな!」
「僕はアース・ランドルト。アースって呼んでください。称号ーー英雄王之兆を持っています」
状況が整理できない中、僕は応えた。
「さてさて!自己紹介も終わった事だし、坊主の質問に応えてやるか!」
「そうですね。珍しく貴方と同意見ですよサン」
「一言余計だっての…じゃあまず最初の質問から。ここは深層世界。英雄と英雄達の魂だけが来れる場所だ。ここの1秒は現実世界の1万秒に等しいから、坊主が気絶してからそんなに時間は経っていない。だから2人とも無事だよ。……まだな」
ちょっと何言ってるか分からなかった。時間が経つのが遅いというのは…。やっぱりよく分からない。
「王よ。信じられないとは思いますが、事実です。そして王がここにいられる時間は限られています。このまま王を現実世界に帰してしまえば、十中八九死んでしまいます。そうならないよう、我々が王の右腕、左腕として、眠る力を目覚めさせ、鍛えさせて頂きます」
目を見開く。重かった瞼はもう軽くなっていた。
2人を守る力が得られる。
「その力は、本当に僕の中に眠っているのですか?」
「勿論です。王の中に眠る力。それは英気と呼ばれます。早速王には英気を目覚めさせて頂きます」
僕の英気を得る鍛錬が始まった。