少年。剣を握る。
僕は覚悟を決めた。
2人を守るために。過酷な戦いでも、地獄でも受け入れる。
その時、脳に甘美な声が響く。
称号ーー英雄王之兆
僕の願いが称号となった。効能は5つあるが全て見る余裕はない。
僕は1つの効能に注目した。
英剣召喚
称号を持つ者が願うと現れる、英雄の剣。剣を失った僕にはこの効能が必要だ。
僕は、すぐに叫んだ。
「英剣召喚っっっ!!!!!!!」
僕の足元に碧色の魔法陣が出現する。その中心から英剣が現れた。
その英剣は刀と同じ形だ。
僕の背丈ほどある英剣は、大きすぎるかに思われた。
しかし、僕が剣を握ると、英剣は彼の腰ほどの大きさとなり、最適化された。
僕は再度英剣を見る。英剣は僕の瞳と等しく碧色だった。この世のものとは思えない美しさと、力強さを兼ね備える。
英剣の事が自分の事のように分かる。使い方がまるで生まれた頃から一緒に鍛錬したかのように分かる。
この剣があれば亜種を狩れる。2人を守れる。
そのことに喜びを感じている時間はない。目の前の亜種がそれを許さない。
亜種も既にアースを、今までとは違うと認識しているのか、その紅き瞳に力が籠っている。
僕と亜種が見つめ合う。紅と碧が交差する。
その時間は2秒もない。しかしプレッシャーにより永遠にも等しい時間に感じられた。
風が草木を揺らす。1枚の葉が地面に落ち、戦闘が始まった。
僕が動く。
「ハァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
英剣を左腰に構え、殺意をむき出しにし、亜種へと足を運ぶ。
亜種も負けじと骨を地面に突き立て、地面から骨を突き出す。
骨の杭に僕は英剣を右に振り、骨の杭に当たる。
英剣と骨の杭はぶつかり合い、甲高い衝撃音が響く。僕は更に力を込め、骨の杭を斬る。
目の前には次の杭が迫っている。僕は英剣を地面に突き立て、剣を握りながら上に跳び、遠心力を利用して杭を両断した。
英剣を構える僕と、異質との永い戦いが激化する。