少年。決意する。
自分に魔力がないと分かった夜、僕はベットの中で気持ちを整理していた。
魔力がない=英雄になれない
そんな考えが自分の頭から離れない。現実に打ちのめされそうになる。
何度も何度も間違いではないのかと頭に浮かぶステータスを見返した。
そんな中、扉をノックする音が聞こえた。
「入ってもいいかのぉ」
正直今はあまり入ってきて欲しくなかったが、爺が自分の部屋に訪ねてくるのには、何か理由があると思い、部屋に招いた。
部屋に入った爺の第一声に僕は驚かされる。
「アースは英雄になれる」
僕は何も言っていない。
なのに自分の悩みに気づいた爺に、僕は涙を零さずにはいられなかった。今1番かけて欲しかった言葉。その言葉が僕の考えを否定する。不可能でないと告げる。
「儂がよく語る英雄の話によるとな、彼には魔力なんてなかったそうじゃ」
僕は目を見開いた。
信じられない。その考えが、希望がアースの脳内を埋め尽くす。爺の話によると、英雄は輝く剣で敵をなぎ倒していた。その話が本当ならば魔力を使っていないはずがない。彼はどのように敵を倒していたのか。
憧れた英雄は自分と同じステータス。そして僕は彼の遺言を思い出す。
「人を守るために必要なのは、魔力でも剛力でもない。助けたいと思う強い意志と、日々の努力だ。それがあれば、自然と力はついてくる」
この言葉の"真意"は分からないが、アースは彼の言った意味は分かった。
諦めるな。努力をやめるな。
彼に言われた気がした。
それを自覚したからか、力が湧いてくる。
今までの何倍も。強く固い力が。もう迷いはない。英雄になりたい。
「どうやら立ち直ったようじゃのぉ。フォッフォッフォッ」
「じいちゃん。ありがとう…僕…なるよ。ミリガ…彼のような英雄に…」
気がつけば夜は明けていた。
まるで僕の気持ちを反映するかと如く、綺麗な朝日だった。
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