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魔力のない僕は英雄に憧れる  作者: Saisai
少年。力を得る。
2/43

少年。絶望する。




ミナスという魔法が存在する世界。


そんな世界で生きる少年ーーアースは今日初めてモンスターを斬る。


僕の妹であるエリーも今日初めてモンスターを倒す。


僕は剣を、妹は杖を持って爺と一緒に森の奥へ向かった。


緑豊かな森はどこまでも続いているように錯覚する。動物たちが鳴いている。足元から伸びる草は僕と同じくらいある。


茂みを掻き分けると、少し平らな野原があり、2匹の"ホーンラビット"が野草を食べていた。


"ホーンラビット"は額に20cm程の1本の角がある、白い体毛がある、碧色の瞳の兎型のモンスターだ。


大きさは小型犬くらいで、素早いのが特徴だ。


チャンスだ!今なら斬れる!


そう思った僕は1匹の"ホーンラビット"を襲撃した。


1匹をがこちらに気づいたが、逃げる前に剣を左斜め下に下ろし"ホーンラビット"を倒した。


隙だらけの僕をもう1匹がその角で貫こうと迫る。素早いのが特徴なだけあって、対応が遅れる。


「ーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」


1匹討伐した事で気を抜いていた僕は命の危機を感じた。


その時、エリーの声が森に響く。


「エアカッター!!!」


風の刃を標的に向かって撃つ呪文だ。杖を両手で持った彼女を緑色の光が包んでいた。その光は、エリーの魅力を引き立てる。


エリーはある日風の魔力に突然目覚め、日々この魔法の練習をしていた。


その日々の努力が実り、"風の刃"によりもう1匹も切り刻まれた。


そして、女の甘美な声が脳内で響く。


<ミナスの祝福ーーステータスを授与>


アース・ランドルト


攻撃 20


防御 10


敏捷 15


幸運 20


爺によると、同世代の子供の平均は10らしい。中々の高ステータスだ。

一点を除いては…



魔力 0




魔力だ。僕には魔力がなかった。


魔力というのは、火、水、風、土と4種類ある特別な力。


魔力を消費するだけで、大規模な爆発や洪水、嵐、地震を起こせる万能な力だ。突然使えるようになったり、条件を満たすと使えるようになったりするなど、よく分からない力だ。


僕は絶望した。どこに向ければいいのか分からない苦しみが、胸を締め付ける。夢が、遠いところに行ってしまう気がした。


ほぼ同時にエリーにもステータスが授与された。


<ミナスの祝福ーーステータスを授与>


エリー・ランドルト


攻撃 5


防御 8


敏捷 8


幸運 15


魔力 25


攻撃と防御はやや平均に劣るものの、魔力の適性は目を見張るものだった。


魔力の無いことに2人は気にすることはないと言ってくれたが、重い気持ちが軽くなることはなかった。


それでも笑顔を作り、初討伐を喜んだ。


鉛のように重くなった足で僕は家に帰ることとなった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ステータスでありがちな何の説明もなくいきなり数値だけ出すパターンではなく、ちゃんと平均が10という基準を出して強さを想像しやすくしている点に工夫が感じられます。 (・∀・)b〈ナイスー!…
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