ゴブリン狩り①
主人公がゴブリン狩って強くなろうとします。
【別に暇だし、いいすよー、なぁゴリ】
【俺は筋トレが出来ればいい】
「よっしゃぁあああ!!」
強くなるぞ!この2人に寄生してさえいれば、私だっていつか2人みたいになれるはずだ。いつも後ろを2人から守られてるだけで心強い。死にそうになっても助けを呼べば倒してくれる。
ぐへへへ。最高じゃないか。
【じゃあやぱ最初はゴブリンからだね、あいつらすぐ増えるし、森と草原の境界線にいる雑魚だし】
【うん。あそこが1番弱い。】
「おお!!私にピッタリじゃん!!いこー!!」
【いや、行くのはZAKOさん一人っすよ?】
「んん?」
【俺ら一緒に行っても、強くならないじゃないですか、だから案内はしても、行くのは一人だよ】
【死線を乗り越えた先に筋肉はある】
「えー!!!やだよ!!もしかしたから死んじゃうじゃん!!彼らだってこの前武器もってたもん!やだよ!いーや!!」
【いや、あんな雑魚にやられるなら、むしろ死んだ方がマシっす。また夕方ここに帰ってくればご飯と寝る場所は用意するんで!!】
【俺が運んであげる。死体を。】
「いやだー!!!!」
私は昨日通った道を今度はゴリさんにひきずられながら、戻るのであった。
★
最初にゴブリンに出会った場所から、更に下流へ進むと、10メートルくらいの崖が現れ、崖下にゴブリン集落があった。集落と言っても崖に横穴が10個くらい空いている中にゴブリンが住んでいるらしかった。
【この横穴の中に奴ら住んでるっす。なるべく小さい穴に入れば横幅も狭いんで1体1に持ち込めるはずっす、それじゃあ暗くなる前には帰ってきてくださいよー】
笑顔で親指を立てるうさちゃん。
【お守り、あげる。】
ゴリさんが私にキノコを渡してきた
色や形が絶対毒があります!とわかる。食べたら絶対ダメなやつ
「なんですかこの毒キノコは」
【意識飛んで、気持ちよくなれるやつ】
「ダメ絶対!何持たせようとしてくれてるのさ!」
【死にそうになったら食べるといい。結構頑張れる】
ふざけてるのかと思ったら案外真剣な眼差しだったので、捨てずにポケットにしまう。
【準備はいいっすかー!それじゃ!いってみよー!】
ドンッ。と、うさちゃんが前足で私の背中を蹴った
崖から思いっきり突き飛ばされ、一気に転がり落ちる
「死ぬ!乱暴!ぐえっ!痛っ!クソうさぎぃぃぃぃぃぃぃぃいいい」
こうして私はゴブリン集落まで、転がりたどり着いた
★
崖の上を見上げても既に2人はいない。
登ろうと思っても地層がもろく、すぐ崩れてしまう。
「諦めて穴に入るか」
持ち物はククリナイフ1本と毒キノコと、水。
実に心もとないが、うさちゃんの言う通りに1番小さい穴に入ってみる。
穴の中は足元や壁がうっすらと明るい場所だった
よくみてみると、床や壁に自生している苔が光っている
「これなら、なんとか進めるか」
ククリナイフを構えながら、ソロリソロリと歩を進める。
★
やばい。
20分ほど歩いた。
穴はアリの巣のようになっており、道はグネグネ曲がっている。分岐点も多く、完全に迷子になってしまった。景色がどの道も一緒に見える。
「やっちまった。緊張して、前しか見ないで進んだらどの道から通ったか完全に忘れた。ゴブリンだって1匹も出会わねぇ、、」
その場で腰を下ろし水を飲み、休憩する。
「ぁあ、タバコ吸いてぇ。」
目を閉じて深呼吸する。
その時、来た方向の道から足跡が聞こえた。
ザッザッと、複数の足跡が聞こえ明かりがゆらめいて近付いてくる。
「く、来るっ、、、」
曲がり角まで場所を移し、背中を壁に着けて身を屈める。ええい。やるしかねぇぇ、、、待ち伏せのほうが、少しは勝率あがるだろ。頑張れ私。
角から緑の足が見えた瞬間
「おりゃあああああ」
自分を鼓舞するつもりで、大きな声を出しながら
ゴブリンの足めがけてククリナイフを振るう。
勢い止まらず腰を屈めながら一気に駆け抜け、咄嗟に目をつぶってしまってあたので、途中でつまずいてコケる。
何回かナイフに当たった感触があった。
振り返って見ると四体のゴブリンが膝をついて唸っていた。それぞれ、石斧や、石槍を持っているがいきなり足を切り付けられて動揺してる。
【ナンダッナンダア!!ナカマヲヨベエエ】
1番奥のゴブリンが角笛に手にかけるのが見えた
「なんかわからんが、今仲間呼ばれるのはやべぇ」
1列になっている先頭のゴブリンに上段からククリナイフを振りおろす。
ズシャャアア!!
先程とは違う深く刺さった感覚。
しかしゴブリンの身体半分で刃が止まる。
【グポォオオ】
ゴブリンからの吐血をモロに顔に浴び、気持ちが悪い。もう成るままにしかならねぇ、、
柄を両手で持ち直しそのままゴブリンに体当たりする。
「うぉおおおお!!」
力いっぱい前に押し、すぐ後ろの二体目のゴブリンに、飛び出した刃を突き刺して押し倒す。
2体の上に覆い被さるように倒れる。すぐ三体目のゴブリンに顔を向けるとそこには、すでに石斧を振りかぶったゴブリンが見えた。
「やっべぇ!」
咄嗟に体を捻ると石斧は私の左肩に直撃した。
っっっぐ、、
切れてはないが、強打されて意識が飛びそうになる
こんなに痛いのは生まれて初めての経験だった。
視線をあげると、もう一度石斧を振りかぶっている
ゴブリンが見えた。
ぁあ。これ。殺されるわ
走馬灯のように、ゆっくりと時間が流れ出した。
続く




